眼の誕生

眼の誕生―カンブリア紀大進化の謎を解く」アンドリュー・パーカー著(草思社、2006年)が、面白かったです。
35億年の生物の歴史で、5億4300万年前・カンブリア紀に、なぜ生物が爆発的に進化したのか。NHKテレビでも紹介された、あのバージェス頁岩の奇妙な動物たちです。この本は、その理由を「眼の誕生」、すなわち光を感覚としたことにあるとしています。それまでは、近づいてくる食物を食べていたのが、目を手に入れることで、目標を見分けることができるようになったのです。すると、食われる方も身を守る必要ができ、まさに食うか食われるかの闘いが始まりました。攻撃と防御の「軍拡競争」が始まったのです。軍拡競争から逃れ、身を隠す生物も出ました。
学会でどこまで賛成を得られているのか知りませんが、なるほどねえと、納得しました。このような本は、寝る前に布団の中で読むのですが、楽しく読めます。それに比べ、本業の本・副業の本は、なかなか進みません。

公務員制度

日経新聞「やさしい経済学」は、清家篤先生が「人的資本」を連載しておられます。
・・企業特殊的な生産能力の向上と、それに対応した長期雇用は、「人的資本」の主要概念だった。この特殊性は、最近の公務員制度改革を考える際にも重要な意味を持つ。というのは、もともと民間ではできない仕事を公務員が行っているとすれば、その仕事能力は公務部門でのみ役に立つ特殊な種類のものと考えられるからである。
典型的な例として、国の予算作成といった仕事をするための能力は、民間ではあまり使えそうにない。そうした高度に公務特殊的な能力を高めるための費用は、国、すなわち国民が負担しなければならない・・
公務員が民間ではできない特殊性のある仕事能力を磨いてきたとすれば、彼らが民間に転職することは容易ではない・・そうした公務員には、最後まで公務員として仕事をしてもらわなければならない。
もちろん公務員の中にも、民間企業で役立ちそうな能力によって仕事をしている人もいる。たとえば経済分析といったような仕事をする能力は民間企業でも使えそうだ。そうした仕事に従事する公務員なら、比較的容易に民間に再就職できるかもしれない。しかし、よく考えてみれば、民間でもできる仕事なら、それをわざわざ公務員にやってもらう必要はなく、外注すれば良いともいえる・・
こう考えると、公務員制度改革の柱が、民間企業への再就職支援制度というのは、やはり変である。むしろ改革の中心は、職業生活の最後まで、安心して公務員として仕事をしてもらえる制度(適切な年金制度も含む)をつくることであるべきだ・・・