抵当証券会社「大和都市管財」の被害者が国に損害賠償を求めた裁判で、国が負けました。6月7日の各紙が、大きく取り上げていました。消費者の被害について国の賠償責任を認めた、初めての判決だそうです(6月10日付け朝日新聞社説)。
問題は、1995年に大蔵省近畿財務局が、同社の経営状態に問題があるとして業務改善命令を出そうとしました。しかし、呼び出された社長が、あたかも同和団体であるかのような名刺を示し、「組織を挙げて闘う」と抗議すると、財務局は改善命令を撤回してしまったことです。そして3年ごとの登録を更新したことが、合理性を欠いて違法と認定されたのです。判決には、「及び腰」「先送り」「検査を放棄」といった文言が、並んでいるとのことです。
新聞は、次のことも指摘しています。
・・当時は、大蔵省による護送船団方式にほころびが見え始め、金融システム不安が広がりつつあった。金融機関の経営危機に対応する制度も未整備だった。金融庁幹部は「100%の証拠がないと、危ない印象だけで破綻なんかさせられなかった」と振り返る・・(7日付け朝日新聞「官僚の失政浮き彫り」)。