自己評価と外部評価、甘い評価と厳しい評価

ある日の記者さんとの会話
記:政策評価など、行政での評価が、重要視されてますよね。
全:そうやね。これまでの行政は、いくら予算を増やしましたという「入力」ばかり競っていて、それでどんな「成果」を生んでいるかを評価してこなかったから。「新地方自治入門」p246以下に、詳しく書いておいたよ。
記:ええ、それはいいことなんですが。でも、外から見ていると、まだまだ生ぬるいんですよ。
全:新聞社は、行政に厳しいからね。ただ、あなたの指摘に関していうならば、「自己評価」は甘くなるだろうね。
記:そうなんですよ。自分で評価すると、厳しいことは言えませんよね。内心分かっていても。特に、行政って「自分たちは間違わない」と信じている人たちでしょ。「この事業はムダだからやめよう」とか「この組織は廃止するか、民営化しよう」なんて評価が、出てきませんよね。
全:まあ、そういう点はあるわな。でも、新聞社だって、自己批判はしないだろ。
記:そうですが。だから、社内でなく社外の人に、紙面評価をやってもらってます。外部評価です。
全:それをいうなら、行政だって、審議会や評価委員会に、外部の人を入れてるよ。
記:うーん、外部の人を入れるだけじゃだめ、ということですね。外部の人にも、「身内並み」と「本当の外部」があるんですかね。
全:そういうことやろう。企業での監査法人のように、企業経理の間違いを指摘するのが使命なのに、企業と一緒に不正経理を隠蔽していた例も多いわな。評価対象に雇われていると、どうしても甘くなるのと違うかな。
記:私は、「適切に行われていた」という評価を続けているような評価組織は、うさんくさいと思っているんです。特に「概ね適切」と書いてある場合は、なおさらです。「概ね」としておいて、逃げ道を作ってありますしね。
一度でも、「こういうムダがあった」と書いてあれば、まだ機能していると思いますが。
全:そこも難しいよ。評価される側が「共犯」になって、あまり痛くない小さなミスを差し出して、「お縄をちょうだいする」と、指摘事項はそろうわな。
記:難しいところですね。
全:だからこそ、新聞の使命があるんだろ。第4の権力なんだから。がんばって。

宿題の採点

提出された75人分の宿題を、採点しました。小泉改革からテーマを選び、それに関連した新聞記事を切り抜き、パンフレットの記述とどのような関係にあるか簡単に記述する、という課題です。
主たる目的は、どのような構造改革があるか知ってもらうことと、新聞記事を見つけ切り抜くことです。新聞を読む癖をつけてもらうため、といっていいでしょう。
予想していた以上の、できばえでした。それぞれ、自分の関心のあるテーマを選び、記述していました。中には、記事を解説し、自らの考えを述べるという、求めていたこと以上のレポートを出した学生もいます。
もっとも、インターネットで記事を検索し、貼り付けた学生も結構いました。インターネットの利用は、事前に質問があったので、許可してはあったのですが。しかも、インターネットの「威力」ですね、数年前の記事まで検索して貼り付けてあったりもします。一つのテーマをさかのぼって探すには、インターネットは良い武器ですが。「新聞を読み、考える」という私の意図からは、外れます。その他の講評は、授業でしましょう。

資料配付サービス

今日は、講義の3回目。学生の反応も分かってきたので、だんだんと調子が出てきました。参加者は、減らずに80人弱。居眠りをしていたのは、真ん中に座っていた男子学生1人だけでした。「欠席しますが、宿題だけは提出します」と、連絡してきてくれる学生もいます。ほぼ全員が、連休中の宿題も提出してくれたので、これから目を通します。でも、分量が多いので、結構大変です。
今日は、日本経済新聞社と朝日新聞社から提供を受けた、新聞の読み方の小冊子を配りました。中西編集委員・坪井論説委員、ありがとうございました。次週は、また別のパンフレットなどを配ろうと、用意してあります。私には見慣れた資料ですが、学生にとっては見たことのない資料だと思います。なかなか親切な、ためになる授業でしょ(自画自賛)。
パンフレットも100部近くになると、結構な重さです。今日は、それが3種類も。宅配便で教員室まで送ってもらってあるのですが、そこから教室までが大変で、学生に手伝ってもらってます。欠席者のために、翌週も持ち込んでいるので、これまた手間がかかります。どこかに余部を置いておいて、欠席した学生が勝手に取っていける仕組みが、あればいいのですが。

国会答弁

今日は、衆議院総務委員会に呼ばれ、政府参考人として答弁しました。といっても、「御指摘の通り」という一言です。1年前までは、ここが仕事場だったのですが、久しぶりです。少し早めに着いたら、部屋の前で、元部下職員はじめ委員会室を出てきた議員から、「何しに来たんですか」と質問されました。さらには、「理事会で、政府参考人出席許可の際、『全勝だけは許可するな』との声がありましたよ」とか、「委員長から『全勝さんには、好きなことをしゃべるな、簡潔にと伝えておくように』との伝言がありました」とか。からかわれました(笑い)。答弁が終わったら終わったで、「何だ、あれだけか」とか、「もっとしゃべりたいだろう」と、いじめられました(大笑い)。

2006年度の結果

昨日、トヨタ自動車の2007年3月期決算が、発表されました。各紙の一面を飾ったので、ご覧になった方も多いでしょう。営業利益2兆円、世界一の自動車メーカーです。喜ばしいことです。売上高24兆円は、ロシアの国家予算と同額、日本の国家予算の30%にもなります。朝日新聞の図表が、わかりやすかったです。
さて、日本の国家財政は、まだ2007年度決算が出ていません。これは会計年度は3月までですが、5月まで出納整理期間があるので、数字が確定しないのです(遅れて納められる税金があるので、それを待ちます)。
もっとも、ここにも問題はあります。収納整理期間は、納めるべき税金は決まっているけど、納付が遅れているためのものです。だから、3月末には、取るべき税収の数字は、あらかた確定します(入るかどうかは不確定ですが、これまでの傾向値が参考になります)。ところが、国税はそうではないのです。1980年度に、税収不足を埋めるために、13か月分を税収としたのです。それ以来、法人税は、翌年5月以降に総額の約半額が入ることになりました(うーん。ということは、国税の出納整理期間は、6月までなのかな?すみません、勉強不足で)。
多分その当時は、「緊急避難」として知恵を出したのでしょうが、その後元に戻すことなく、この特例は続けられています(若い研究者や記者さんは知らないでしょうね。もう少し詳しくは、「新地方自治入門」p122。より詳しい資料を探しているのですが、財務省資料では見あたりません)。