地方分権改革推進委員会が、30日に議論の方向を示す「基本的な考え方」をまとめました。内容については、各紙が伝えています。31日の朝日新聞では、坪井ゆづる編集委員が、次のように解説しておられます。
いったん停止していた分権改革が動き出した。地方分権改革推進委員会が、「地方政府の確立」「条例制定権の拡大」を柱とする基本的な考え方をまとめた。経済財政諮問会議と連携しながら、国と地方の役割分担の見直しを突破口にする構えだ。権限と定員、財源を削られる中央省庁とのせめぎ合いが再び熱を帯びる。
これまでの分権改革では、補助金を廃止して、それに見合う税源を自治体に移す論議が主役だった。だが、今回の「考え方」には、補助金廃止の文言も、税源移譲の目標額もない。その代わり、まずは国と地方の役割分担に焦点を当て、政府の出先機関の廃止、縮小にとりかかる。
各省の出先機関には約21万人の国家公務員がいる。自治体の仕事との「二重行政のむだ」を指摘されており、分権委で自治体に仕事と同時に権限も渡していく発想だ・・・役割分担と定員を絡めた協議は難航が必至だが、丹羽委員長は分権委で素案(諮問会議民間ペーパー)を取り上げると明言。丹羽氏を接点に、分権委と諮問会議が二人三脚で取り組む姿勢を鮮明にした。
「考え方」は「思い切った税源移譲」を唱えるが、地域格差を埋める地方交付税のあり方など、財政調整にはほとんど踏み込んでいない。この問題でも、経済財政諮問会議の民間委員が先行して提言・・「法人2税を地方交付税の財源にして、その同額の消費税を地方に渡す」など3案を書き入れ、「税源移譲の際の偏在を拡大させない方法を自治体も提案すべきだ」とした・・・
読売新聞では、青山彰久編集委員が「地方政府目標に。税財源、具体策見えず」として解説しておられます。
・・目を引くのは、地方自治体を「自治行政権・自治財政権・自治立法権を持った地方政府」とすると掲げた点だ。自治体について「地方政府」とする表現は、政府関係文書では例がない。住民と首長と議会で構成する自立した組織という意味があり、分権の目標として新鮮な響きがある。
・・政省令を条例で書き換える権限を設ける考え方は、政策決定の一部を地方主体で行う意味があり、大きな問題提起になりそうだ。国の出先機関の縮小・廃止という方向は、25日の経済財政諮問会議で民間委員が・・・具体案を提出しており、現実的な課題に発展する可能性がある・・
「これまでの改革で各省が同意できる範囲のことはやってしまった。この間、各省はどう抵抗すればいいかについて、知識も経験も積んでいる。今度の委員会は改革案を提案する場だと割り切り、最後の決断は主要な政治家が行う仕組みにしなければならない」旧地方分権推進委員会の委員だった西尾勝氏の指摘だ・・・