28日の朝日新聞オピニオン欄、鷲田清一さんの「クールビズ3年目」から。
クールビズはおしゃれだと見ていますか、との問には。
ノーです。なぜか。室温を28度にした、だから少しでも涼しい服装をする、ネクタイを外す。ファッションとはそういうものではありません・・クールビズは主張ではなく、横並びでしょう。みんなでやめればいいんだ、という。自分のスタイルの意識があってやめているのではない。みんながネクタイをしているから自分もしなければ、というのと同じなんです。みんなが、世の中がある方向を向いているから、自分もそれに合わせるというのは、流行現象ではあっても、おしゃれではないです。
そして、背広とネクタイ姿について、次のように話しておられます。
おしゃれでない人、ファッションにあまり関心のない人が、かっこよく見せることができるのが、背広にネクタイです・・ネクタイは男の唯一の装身具。おしゃれに自信のない人でも、これをつければしゃんと見える。その背広とタイの服装から、クールビズは大事なものを取ってしまう・・襟が立っているシャツ、胸のチーフ、シャツの色や柄・・・クールビズと言われている服の方が、背広とネクタイよりはるかにセンスを問われます
・・ファッションって、本来は世の中の大勢、メーンストリームとの距離感で決まるんです。大勢がこうなら自分はこうだ、と。
クールビズを実行している人たちにも、2種類あると思います。一つは、ネクタイを外せばいいんだという人たち。そこで止まってしまっています。もう一つは、背広並みにそれなりの緊張感をもたせたい、とおしゃれを意識するようになった人たち・・お仕着せの情報に頼らず、今まで以上に着るものに意識が行くようになったとは言えるんじゃないでしょうか・・・