20日の日経新聞「雇用ルールを問う」は、「時代遅れ、労政審議会の疲弊」を取り上げていました。労働政策審議会は、厚生労働大臣の諮問機関で、雇用法制を決める際に審議会に諮問する(意見を聞く)ことが通例です。労働行政は、厚労大臣が責任者ですから、大臣が決めて法律案をつくり、内閣で決定して国会に提出すればすむ話です。しかし、「関係者の理解を得る」という理屈で、このような審議会の意見を聞く、あるいは原案を審議会がつくることが、これまでの日本の行政では多用されてきました。
特に、労働関係は、使用者代表と労働者代表という対立する利害の代表が意見をぶつけ、第三者である有識者(学者など)が間に入るという構成になります。医療(医者対支払い側)なども、同じ構図です。もっとも、記事が指摘しているように、原案は官僚が準備し、上手に結論(落としどころ)に持って行くのです。
今回浮き彫りになったのは、このメンバー構成です。労働組合代表が、労働者の代表として入っているのですが、労働組合の組織率は2割を切っています。パート労働者・フリーター・外国人労働者などは、そこから漏れ落ちます。パート労働者の処遇の低さに対し、これでは機能しません。審議会は、一部の者の既得権益保護になってしまうのです。
これまでは、審議会で労使が手を結べば結論が出、国会も通るという構図でしたが、それでは機能しないのです。そもそも、国民の間の利害対立を解決するのは、国会の仕事です。それを、審議会に委ねてきたのが、間違いです。
審議会の問題点については、拙稿「中央省庁改革における審議会の整理」月刊『自治研究』(良書普及会、2001年2月号、7月号)をご覧ください。