26日の朝日新聞夕刊「夕日妄語」で加藤周一さんが、「退職症候群」について書いておられました。
イラク戦争の直前、国連の安全保障理事会で戦争の必要性を力説したのは、パウエル国務長官であった。退職後のパウエル氏は、今も続く戦争を批判している。このような「退職症候」発現は、アメリカの方が、日本よりはるかに多いのではないか。それは、次のような背景からであろう。
伝統的な日本社会では、職場の集団へ個人が高度に組み込まれていること。そのことは、一方で個人の安全を保証すると同時に、他方では成員すべてを同化させようとする強い圧力として働く。強制的な同化現象、個人・少数意見の圧殺、個人の自由の極端な制限。これが、集団の中の個人の次のような3つのあり方を生み出す。
第一、少数意見を持ち、それを表現する。第二、少数意見を持ち、沈黙する。第三、多数意見に順応し、それに従う(合唱に参加する)。第一は極めて少なく、第三は大多数である。退職症候群は、第二に現れる。意見が退職後に変わるのではなく、現役の時から多数派と対立していたが、退職後に沈黙を破るのである。
アメリカの指導者が現職の間は愚行を演じ、退職後に自由を行使して自説を唱えるのは、自由な批判精神の「沈黙」の証言であると同時に、自由な精神の「存在」の証言でもある。
月別アーカイブ: 2007年3月
規制改革の効果
内閣府は、1991年度から2005年度までの、規制改革による経済効果を発表しました。それによると、累計で18兆円、国民一人当たりでは14万円になります(29日付け日本経済新聞など)。経済効果は、規制改革がなかった場合と比較して、「競争による価格低下」と「需要の拡大」を試算したものです。大きかったのは電力で、小売り自由化などで価格が4割近く下がっています。知りませんでした。携帯電話も、価格(料金)が6割低下しました。トラック貨物運送も、料金規制や参入規制をゆるめたことによって、価格が3割近く下がりました。
2007.03.31
今日は、元部下の結婚披露宴に行ってきました。新郎は国家公務員、新婦は国際公務員です。新郎のおばさんである嘉田由紀子滋賀県知事の挨拶は、「新郎新婦が、働きながら子育てができる社会をつくらなければならない。そのために、官僚もがんばって」というものでした。知事は私の方を向いてお話しされたので、再チャレンジ室長として、「がんばります」とお答えしました。会場からは、笑いが出ました。
その後も、知事と、20世紀型会社社会、産業振興型行政から、生活者重視の社会・行政に変えなければならないと、議論してきました。なんと知事は、「新地方自治入門」を持参され、私は下手なサインをさせられました。
分権推進委員会
29日に、地方分権改革推進委員会委員が、国会同意されました。委員会は、4月1日に発足します。地方六団体が、声明を発表しました。詳しくは、原文を見ていただくとして、次のようなことを述べています。
議論の進め方については、
1 優先課題を見定め、審議対象事項を選択すること。改めて一から個別の事務事業や国庫補助負担金の調査審議するのではなく、地方分権改革を進めるための大きな議論に力点を置くこと。
2 第一次分権改革の際のような、「霞ヶ関が了解した実現可能な案」をつくるのではなく、委員会が考える「あるべき地方分権改革の姿」をつくり、政府に大胆に提言すること。
3 国民に開かれたオープンな議論が展開されるよう、委員会の審議は原則公開で行うこと。
4 政府が「地方分権改革推進計画」を作成するにあたっては、地方六団体の代表者と事前に協議を行うこと。
内容については、
1 国と地方の役割分担の見直しと権限の移譲
2 税源移譲を含めた地方税財源の充実強化
3 国と地方の二重行政の解消等による行政の簡素化
① 国による関与、義務付け・枠付けの廃止・縮小
② 国庫補助負担金の削減
③ 国の地方支分部局の廃止・縮小による国と地方の二重行政の解消
4 「地方行財政会議」の設置
などを求めています。
春です
東京は温かい日、いえ、暑いくらいの日が続いています。外務省の前の桜も満開です。ご近所の桜は、1か月ほど前の温かい陽気で咲いてしまい、今はすっかり葉桜です。すでに、青い小さな実がなっています。桃の花も咲きました。我が家では、プランターのチューリップも、きれいな花を咲かせました。椿は、花が終わりました。枯れ木状態になっていた夏椿は、青葉をひろげ始めました。春ですね。