税源配分その2

平成19年度
1 2007年度国と地方の税源配分
2007年度予算と地方財政計画を元に、作りかえました。この図1の見方は、国と地方の税源配分(18年度)を見てください。
2006年度試算と違う大きな点は、国地方とも税収が増えていることです。これは、定率減税がなくなったことと、景気回復によって税収が増えたことによります。2007年度では、税源配分は国57対地方43です。交付税などの移転後は、41対59になっています。
今回も、自治税務局職員の協力を得ました。(2007年2月15日)
2 国と地方の財源移転
その財源移転(交付税、国庫補助金など)を図示したのが、次の図2(パワーポイント)です。この図は、ご覧になったことがあると思います。税収は2005年度、歳出は2004年度です、これが直近の数字なので。
右側に、国と地方の税収配分を5:5にするためには、あといくら税源移譲が必要かを試算してあります。
2005年度決算では、8.8兆円。2007年度予算では、6.8兆円です。
この間に、3兆円の税源移譲がありましたが、国地方とも税収が伸び(国の方が大きく伸び)たので、必要額は3兆円縮まらず、6.8兆円になっています。(なお、図1は地方財政計画外税収を含まず、図2は含んでいるので、地方税収額が少し違います。)
3 税収偏在の要因
次に、税収偏在の状況(税目による分析)を、見てましょう。
次の図3(パワーポイント)は、県民一人当たり税収(市町村税を含む)の最大と最小との差を、平成元(1989)年度と平成17(2005)年度とで見ています。最大は東京都、最小は断りがない限り沖縄県です。右へ行くほど、偏在度が高まります。吹き出しで書いてあるのが、主な税目の偏在度です。法人2税が偏在が大きく、個人住民税、固定資産税、地方消費税の順に偏在が小さくなります。
元年度は、税収全体で4.7倍の差がありました。格差を引き上げているのは、法人2税です。9.5倍もありました。
平成17年度では、3.2倍に是正されています。この要因は、地方消費税が導入されたこと、バブルがはじけ都の税収が落ち込んだことです。すなわち、地方消費税は県間格差が2倍です。これが導入されると(増えると)全体のばらつきを引き下げます。次に、都の税収が減少すると(他県はそれほど落ちないので)、県間格差が縮まります。
18年度以降、更に格差が縮小するはずです。それは、まず17年改正で、法人事業税の分割基準を見直し、富裕県から貧乏県に税収を移しました。この影響は18年度から出ています(まだ決算が出ていません)。次に、19年度に税源移譲をする際に、個人住民税を10%の比例税率にしました。これで、都など富裕県より貧乏県の方が税収が増えます。このような制度改正の効果が、出てくるのです。もっとも、都の税収が急激に増えれば、バブルの時のようなことが起きる恐れがあります。しかしそれは、都がますます金持ちになるのであって、貧乏県がますます貧乏になるのではありません。
4 今後の考え方
今後税源移譲をするとして、どうすれば偏在が少なくなるか、考えてみましょう。
図3から言えることは、法人2税を増やすと、偏在度が大きくなります(図では、「全体」という目盛りが右に行きます)。地方消費税を増やせば、偏在度は小さくなります(「全体」という目盛りは左に動きます)。個人住民税を増やしても、偏在度は縮小します。(法人2税を減らしても、偏在度は縮小します。)
(2007年4月28日。今回も自治税務局と、福田補佐の協力を得ました。)
5 増田プラン
2007年11月8日経済財政諮問会議に、増田総務大臣が、法人2税と消費税の交換を提案されました。
詳しくは、地方財政改革の動き2をご覧ください。
それを簡単な絵にしたのが、図4です。
(2007年11月12日)