2006.03.03

先日の地方制度調査会の道州制答申は、「自治体の再編だけでなく、政府全体の再構築でもある」と指摘されています。私は、さらに日本社会の変更だと考えています。
(東京一極集中打破)
これまで、東京一極集中の弊害が指摘されてきました。しかし、いっこうに良くなりません。47都道府県が競っても、東京には勝てないのがわかりました。この際、47県を8くらいの州にして、州都で東京と戦うことで、少しは勝ち目が出てくるのではないでしょうか。
九州で、オランダくらいの経済力があります。これなら、東京に勝てないとしても、かなり一極集中は是正できると思います。また、戦う相手は東京でなく、アジアの各国になります。どのような産業で競うか、観光客を呼び寄せるか。日本国内でパイの奪い合いをしていても、ゼロサムゲームです。目を海外に向けましょう。それが、結果として東京との戦いに勝つことになるのです。
(霞ヶ関分割)
日本の政治行政の問題点として、官僚支配・中央集権が指摘されています。しかし、分権もなかなか進まないことが分かりました。この際、道州制を導入し、霞ヶ関を分割することが、官僚支配・中央集権打破の良い方法です。すなわち、道州制によって、内政の多くは中央政府(霞ヶ関)から、各州に移譲されます(移譲しないで決定権を霞ヶ関が持ったままでは、単なる県の合併でしかありません)。その権限移譲に合わせて、霞ヶ関官僚も各州に分配するのです。そうすれば、もう優秀な若者が、みんな東京を目指さなくても良いのです。
「岡本君、官僚は東京を離れるのはいやがるよ」と指摘する人がいます。そういう官僚もいるでしょう。でも、国鉄の分割を想像してください。あれが成功したように、うまくいくと思います。
(発展途上国を超えて)
アメリカやドイツでは、一極集中が起きていません。首都への一極集中が起きるのは、発展途上国です。ソウル、メキシコシティー、マニラ・・。先進国に追いつくため、先進国から得た情報を首都から全国に配分します。また資源を首都に集中し、中央から再配分するからです。その点で、日本は世界で一番、追いつき型の経済社会発展に成功しました。それは、世界で一番、中央集権であったということです。
経済は、経済の論理で動きます。経済面での東京一極集中は、止まらないでしょう。製造業から情報産業に主役が移行した今、工場の分散政策では、産業の地方分散はできません。経済の論理を政治で無理にゆがめると、非効率が生じ、国際競争力もなくなるでしょう。
政治と行政を分散することが、東京一極集中を是正し、豊かな社会をつくる方策なのです。