ホームページの整理

「日本の政治」が27ページにもなったので、3分類に整理しました。内閣・国会・省庁のあり方については「政と官9に、社会と政治のかかわり方については「社会と政治5」に、そのほか政治のあり方については「政治の役割10」というようにです。もっとも、截然とは分類できませんが。

組織論

(上からの割付方式)
私の研究テーマの一つに、組織論があります。日々の仕事のなかで、次々と考えさせられる問題が生じます。今日は、「下からの積み上げ方式」と「上からの割付方式」について述べましょう。
どの役所でもあると思いますが、国会(議会)答弁をどの課が書くかで、もめることがあるでしょう。これまでにない質問や複数の課にまたがる質問だと、関係課同士で、譲り合い(押し付け合い)をするのです。これを、下からの積み上げ方式でやっていては、いつまでたってもけりがつきません。早く結論を出すためには、上からの割付方式(より上位のものが担当課、担当者を決めること)が良いのです。
割付方式の場合には、最も良い答弁を早く書ける課に、答弁作成を割り付ければいいのです。このことは、明るい係長講座中級編に、体験談を交えて書きました。
役所としては回答しなければならないけれど、担当する適当な部署がないことも、まま生じます。それは、各課の編成(所掌事務の割付)が時代に合っていないか、あるいはこれまでにない問題が生じたからです。それをこれまでの各課で議論していても、引き受けるところがないのは当たり前です。このような場合に、「積み上げ方式」は役に立たないのです。役所の縦割り組織(各課の編成)は、既存テーマについては積み上げ方式で機能を発揮しますが、これまでにないテーマの場合はそれでは機能しないのです。割付方式で、ある課に割り付けてあげないといけないのです。
組織内での意志決定方法として、「ボトムアップ方式とトップダウン方式」の対比があります。これはあるテーマについての意志決定の方法についてですが、私の言う「積み上げ方式と割付方式」は、同じことを組織論として述べています。
(上司の仕事)
これに関連してもう一つ、「誰が書くか」という問題があります。各課が答弁作成を拒否するのは、担当者が今までに書いたことがない質問だったり、回答が難しい質問だからです。すると、それ以上課員に対し書くことを強要しても、良い答えが出るとは思えません。その場合は、誰か上司のしかるべき人が書くべきでしょう。
ここには、二つの課題が含まれています。これまでにない問題である場合は、下位の職員が書くと良い答えにならない。その場合は、上司が筆を取るべきであること。もう一つは、各課にまたがる課題なら、それぞれの課が書いても良い答えにならない。その場合は、その両課を所管する上司が書けば良い答えになるということです。課長になったら、自分ではペンを持たず部下の書類にノーを言うだけ、というのは間違った考えだと私は思います。
(何でも屋が必要)
もう一つ、そのような運用改善だけでは、解決できない問題もあります。どうしても、引き受け手のない問題の場合です。そのような場合には、誰も引き受けない問題を引き受ける部署を作っておく必要があります。総務課とか企画部は、そのようなときに機能を発揮します。
上司の立場から見ると、早く良い答弁を書いてくれることが良い結論であり、それが良い組織なのです。これは、関係職員にとっても同じです。みんな早く帰って寝たいのですから。「上からの割付方式」とは、そのような観点から見た組織論です。

テレビの時報

総務課では仕事柄、勤務中にテレビをつけています。災害用・国会中継・ニュースを見るためです。すると、おもしろいことが起こります。私の前にあるテレビは、地上波デジタルが入ります。職員の前には普通のテレビ(地上波アナログ)が映ります。同じNHKを見ていると、アナログの方が少し音声が早く、私のデジタルテレビが遅れます。時差のあるステレオ放送です。これが、すごく耳障りです。私の頭は、二つの話を同時に理解しないので、意味がとれなくなるのです。片一方だけを聞けばいいのですが。
時報をどうしているのか、前々から職員と疑問に思い観察していました。すると、少し遅れていたデジタルテレビも、アナログテレビと同時に1:00になると1:00を表示するのです。連続ドラマの場合は番組が終わった後、空白時間がデジタルの方が短くなっていて、1:00には双方があうのです。
20日の東京新聞が、このことを解説していました。デジタル放送では、放送局が情報を圧縮して送信し、家庭のテレビがその情報を元の状態に「解凍」して表示するのだそうです。NHKでは、東京で2秒、大阪などで3秒、その他の地方では4秒遅れることがあるそうです。誤差が出るので、あの「ピッ、ピッ、ピッ、ピーン」というおなじみの、時計が映る時報は最近では映らなくなり、今や教育テレビのアナログ放送の正午の時報だけになったそうです。

道州制

地方制度調査会(総理の諮問機関)が、道州制の議論を進めています。また、自民党では北海道での道州特区を議論しています。各紙が報道していますが、17日の朝日新聞松田京平記者の解説が、よくまとまっていました。その見出しは、「権限移譲、霞ヶ関の壁」「北海道特区に各省反発」です。
今回議論されている道州制は、都道府県の合併でなく、国や国の出先機関の仕事を道州に移管することを主な内容としています。そして国は、地方ができないことに特化するのです。市町村合併が進み、県の合併と国からの権限移譲を進める条件が整いました。
もっとも、対象となる各省は、大反対をするでしょう。すでに北海道開発局は、北海道特区に対し反対を表明しています。でも、北海道開発局って、本州・四国・九州では県がやっている仕事を、国の出先がやっているのですよね。道庁に移譲できない理屈を述べることは難しいでしょう。
仕事がなくなる組織が改革に反対するのは、さほど驚くことではありません。「反対するな」という方が無理です。まな板の上の鯉に、「あんた切ってほしいか」と聞いているようなものです。誰か第三者が、決めるしかありません。それは政府であり、国会です。
民間企業では競争が淘汰してくれますが、行政組織は「声が大きいと」温存されます。近年、いやというほど見てきましたよね。官僚が、国民の利益より、自分たちの利益を優先することは。

読者からのお便り

多くの人に、このHPを見ていただいています。意外な人から、「読んでるよ」と言っていただくことがあり、うれしいです。メールでのお便りも、時々いただきます。
昨日「訂正・景気回復と財政再建」を書いたら、ある人は「はじめの議論は分かったが、後半(累乗の部分)が分からない」とか、別の人からは「税収と利払い以外に、名目成長率に連動する歳出も多いだろう。その他の要素もあって、あんな簡単な議論ではないよ」という指摘もいただきました。
その通りです。そもそも、あの議論は、今のような財政状態は異常であること、現世代の消費を後世の負担につけ回していることは早くやめるべきであることを主張するものです。そして、早急に財政再建をするためには、歳出削減が必要だが、それだけではとうてい無理であり、また景気回復だけでも無理なことを述べた文脈でした。地方団体関係者に、「もう、これまでのようにはいかないよ」ということを、理解していただくためのものでした。講演会などで、「わかりやすいように、ごく単純化」した話です。もっとも、不正確になってはいけませんが。
ところで、最近の記事で反応が大きかったのは、「日本の男性は惚れやすい=自己認識が甘い」でした。イタリアと日本が同じなのは理解できないとか、日本の女性がしっかりしていることは同感だとか・・(笑い)。