20日の日経新聞経済教室は、西尾隆教授の「官民区別せず基本権付与」「特権意識を打破、行政システム変革の機に」でした。
「まず、労働基本権問題については、伝統的な官民の峻別を改め、公務員にも基本権を付与し、これを機に公務員の特権意識を打破することが急務である」
「今や公務が特殊であり、公務員のみが公益を担っていると考える者は少ない。民営化や民間委託などにより、多くの公共サービスを民間やNPOが担い始めた。民間でも、電力事業のストは従来から禁止されている」
「対人口比の職員数を見る限り、日本の公共セクターは先進諸国平均の半分以下のスリムさだ。『情』で定員削減路線を突き進む前に、『理』で公共サービスの総量と提供主体のあり方について、国民的な議論をすることが先決だと思う。しかし、政治的には『小さな政府』が単なるシンボルを超え、具体的な政権の方針として固まりつつある・・。だとすると、この事実を受け入れ、むしろ行政システム全体の変革のチャンスとして生かしたい」
「人も組織も、限界に達すれば何らかの工夫をする。政府の仕事を減らすしかなくなれば、地方分権、補助金の縮小、サービスの民間開放を進めざるを得ない。霞ヶ関の公務員も、国会対応や与党の根回しといった仕事は、政治家に返上してはどうか」
「労働基本権の回復が『公務員の市民化』を促すとすれば、政府規模縮小の効果は『公務の純化』だろう。『市民の公務員化』も課題となる」