郵政民営化法案について、自民党内での議論が報道されています。「内閣と与党との関係」「政党の党議拘束」など、政治学の良い勉強材料だと思います。
いくつも解説が書かれていますが、15日の東京新聞は「時代を読む」で、佐々木毅学習院大学教授(前東大総長)の「郵政法案と国会審議の新しい形」を載せていました。
「首相が国民に公約した重要な法案が党内審議の結果として葬り去られるという事態は、首相のリーダーシップや国民との約束という観点からして決して好ましいものではない」
「与党内に根強い反対があるような法案を国会に提出するのは、内閣にとって大きな政治的リスクである。しかしながら、国民に対する約束を根拠とするにせよ、あるいは、内閣の政治的・政策的信念に基づくにせよ、そうしたリスクに挑戦する自由を初めから与党内で封殺するという慣習は安定した国会運営にとってはメリットがあるかもしれないが、それ以上の積極的な意味を持つわけではない」
「内閣と与党とが基本的に政治的一体性を保つことは議会制の大原則であるが、時には両者の間で一定の緊張関係が露わになることをすべて排除しなければならないわけではない。その場合、国会が決着の場になることには何の不都合もないし、むしろ密室で処理されてきた議論を公開の場で吟味する機会を国民に提供することができる」