23日の朝日新聞は「失速小泉改革・下」を載せていました。副題は「見えぬ理念ー人々の不安、首相隔たり」です。「改革のエネルギーが年々、弱くなっている。結局、どういう社会をめざすのかがはっきりしないからだ」「首相がこだわるのは各論。全体像やビジョンは関心がない。あるべき理念を共有しないから、お任せ改革になり、最後は数値目標に向けた役所同士のつじつま合わせに終わる」。
正しい指摘でしょう。これに合わせ、今の政治や行政機構、官僚組織も、そのような問題に取り組む仕組みになっていません。総理にも責任がありますが、日本の政治家と官僚にも、大きな責任があると思います。
例えば、そこにも示されているように、国民が悪くなっていると考えている「治安・雇用労働条件・教育・社会風潮」について、取り組む行政組織はありません。
「何かというと財政出動による景気刺激に走った経済無策の振り子を戻した面はある」。私は、これを小泉内閣の主要な功績だと数えています。もっとも、「小さな政府とは裏腹に、この4年間の国債の発行額は歴代内閣でトップ」との指摘もあります。いつもながら鋭い記事ですね、辻陽明記者。
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三位一体改革45
2005.04.20
「地方交付税のあらまし」(地方財務協会)の平成17年度版が、出版されました。地方交付税制度と最近の改革をまとめた資料集です。関係者の間では、ベストセラーなんですよ。税込み800円です。
政治の役割
同じく17日の朝日新聞に、連載「幸せ大国をめざして-未来を選ぶ」第3回目が載っていました。1億総中流と言われた日本で、所得格差が広がっているという記事です。フリーターやニートの増加に対し、日本の社会と政治が有効な手を打てていません。
13日の日本経済新聞「経済教室」は、玄田有史先生が、「ニート、学歴・収入と関連」を書いておられました。ニートは、親が子どもを甘やかせた結果だと批判されるが、そうではなく、経済的に余裕のある家庭より、経済的に苦しい家庭である傾向が強くなっているのだそうです。
家庭だけでは解決できず、もちろん学校や職業紹介所で解決できる問題でもありません(拙著p256「手法が難しい政策分野」)。私たちと政治は、何ができるのでしょうか。
社会保障
17日の朝日新聞は、「シリーズ社会保障-選択の時」で、医療・介護・年金の3保険について、世代間の収支(保険料と受け取るサービスの比較)を解説していました。
簡単に言うと、「高齢者は得、若者は損をする」です。理由は、記事にも指摘してありましたが、
①少子高齢化=今の仕組みは、現役世代が払う保険料で高齢者を支える仕組みなので、少子高齢化で若者からの「仕送り」が増える。
②支給額に見合った保険料を取っていないこと、の2つです。
今や、階級対立やイデオロギー対立がなくなった社会と言われます。私は、世代間対立は、今後の日本の社会対立・政治的亀裂の一つになると思っています。
「私の給料は孫が払っている」(拙著p115)は、国と地方の予算について述べた私の「名言」ですが、保険においても、今の日本人はひどいことをやってます。