16年度の動き
麻生プラン
17年度と18年度のポイントは、
①所得税から個人住民税への税源移譲(3兆円)の先行決定
②残り3兆円の国庫補助負担金改革
③17年度の一般財源(地方税・地方交付税等)総額を前年度と同水準に、です。
基本的方向は、「地方が元気になる改革」「地方の自由度を拡大する改革」「自主財源(地方税等)を拡充する改革」です。政府案になるには、紆余曲折があると思います。しかし、改革は止まることなく進むと思います。新聞報道、特に反対派の論議を、注目していてください。
財務省の反対
①税源移譲は、既に16年度対策で決定されたことです。3兆円を18年度までに決定することに、なぜ財務省は反対するのでしょうか。もし、その金額に達しなかったら、地方税を国にお返しするとまで言っているのに。
②17年度の一般財源総額を、16年度並みにするということについて。財務省は、「それでは地方行革が進まない」と言っているようです。
では、質問します。16年度の改革に地方から不満が出たのはなぜでしょうか。それは、今回の地方歳出削減が厳しかったからです。麻生大臣は、「日本の財政は危機的状況にある」と言っています。また、民間経営者出身です。歳出カットは、今後とも続けると表明しています。来年度も、カットは続くでしょう。その場合、一般財源は減らさず、借金である地方債が減ることになるでしょう。
16年度予算において、麻生大臣と地方団体はこれだけ歳出カット・財政再建に貢献しました。財務省と国家予算は、何をどれだけ削減されたのでしょうか?(10年前のバブルで税収が増えた時も、地方はそれまでの特例借金を返済し、大蔵省は赤字国債を返済しなかったんですよね。それで今になって、「国の方が借金が多い」と言っておられます。)
新聞記事では、「総務省と財務省の戦い」と、いつものように議論を「矮小化」する記事もありました。記者さんもデスクも、もう少し勉強して欲しいですね。地方分権を進めたいのか、そうでないのか。もし、このHPが健在なら、2~3年後に、もう一度記事を読み返して検証しましょう。そのためにも、記事は署名入りで書いて欲しいですね。(4月27日)
改革の評価
改革が評価されるためには、もちろんその内容が良いものである必要があります。しかし、それだけでは十分ではありません。
①まず、スピード感が重要です。時間をかけていては、国民の支持を受けることは困難です。決めたら、さっさと実行すべきです。
②もう一つは、シンプルであること=わかりやすいことです。骨太である方が、わかりやすいですよね。変な小細工や妥協をしないことも重要です。
もちろん、改革が国民に理解され、支持されることが必要です(しかし、改革は多くの場合痛みを伴うので、全員の賛成を得ることは難しいです)。その他に、これらが欠けていると、せっかくの改革も、国民の評価が低くなります。
今回の麻生大臣提案は、①スピード感については、良いと思います。2月に地方団体から不満が出て、4月に対応しています。また、これから「骨太の方針2004」が決まります。早くこれを政府の方針と決定し、地方団体を始めとする関係者を、安心させるべきでしょう。また、7月には参議院選挙もあります。ここからは、政治の世界ですが。
②わかりやすさについても、良いと思います。かつ、かなり骨太だと思います。みなさんはどう思われますか。(4月28・29日)
新聞記者の予想
今日は国会がないので、課長室で資料整理をしました。何人かの記者さんが訪ねて来られて、麻生プランについて議論しました。「麻生大臣は、この案にかなり力が入ってますね」「財務省が反対しているけど、麻生プランは実現するでしょうか?」と尋ねられました。
彼らと議論した結論は、「財務省が代案を出さない限り、これで行くしかない」でした。
「財務省が、『たとえば××補助金を1.5兆円を削減する』と、具体的な補助金名を挙げれば、財務大臣の言うように補助金削減が先行するんですよね」「財務省は、補助金名を挙げないでしょうねえ。それができるのは財務省だけなのに」
「でも、反対だけじゃあ、総理も困るでしょう」「諮問会議で、他に大きな玉がないから、これが進むかは焦点ですよ」
「17年度の一般財源を前年度並みにすることに、財務省は反対しているけど、地方税収が増えれば、赤字地方債と交付税の特例加算分が減って、国も助かるのに」
「それでも、財研(財務省記者クラブ)の記者は、財務省寄りの記事を書くんですよね」「財務省は、強力に根回ししますよ」「麻生プラン実現のために、総務省はさらに汗をかかないと」などなどでした。(4月30日)