カテゴリーアーカイブ:社会

日本の親「迷惑をかけない大人に育ってほしい」

2026年11月1日   岡本全勝

10月25日の朝日新聞「日曜に想う」、沢村亙・論説委員の「迷惑をかけることから始めよう」に次のような話が載っています。
・・・迷惑をかけない大人に育ってほしい。この願いの強さで、日本の親はきわだっている。
学習意識や基礎学力の国際比較をしているスプリックス教育財団(東京)の昨年の調査によると、日本の親の46%がそう答えた。フランスは22%、中国は6%。他国は「社会のために尽くす人」「経済的に豊かな人」といった回答が上位に目立つ・・・

スプリックス教育財団の調査は、「基礎学力と学習の意識に関する保護者・子ども国際調査2025」のようです。

アメリカ・イギリス・フランス・南アフリカ・中国の5か国、インドネシア・ネパール・エクアドル・ペルー・エジプトの5か国と比較しています。「お子様に、将来どのような人になってほしいと思いますか」という質問の11の選択肢の中から選ぶのですが、日本がほかの10か国と際だって異なるのが、「他人に迷惑をかけない人」の回答が多いことです。「世間の目を気にする」「目立ってはいけない」という国民性が出ていると思います。ところが、「自分の考えをしっかり持つ人」も、日本が飛び抜けて多いのです。これはなぜでしょうか。外国では当たり前のことだからでしょうか。

外国に多く日本では極端に少ないのが、「社会のために尽くす人」「周りから尊敬される人」「リーダーシップのある人」です。
「日本の若者「国や社会に役立つことをしたい」は少ない」

思ってはいても座席を譲らない2

2026年10月30日   岡本全勝

「思ってはいても座席を譲らない」の続きです。10月18日の朝日新聞オピニオン欄「優先席を考える:2 譲るハードル」から。

・・・電車で、座ったほうがよさそうなのに立っている人がいる。席を譲ろうか、でも――。そんな風にためらった経験がある人も多いのでは。どんな心理が、席を譲るのをためらわせるのか、どんな心構えでいればいいのか。交通バリアフリーを研究している、富山大准教授の西館有沙さんに聞いた。

公共交通機関などで、席を譲ろうという気持ちがあっても、実際に行動に出るまでにはいくつかのハードルがあります。最大の要因は、「本当に援助や配慮が必要か判断できない」「どう援助や配慮をしたら適切かわからない」ということです。
たとえば、ヘルプマークをつけた人が立っていた場合です。ヘルプマーク自体の認知度は比較的高いですが、マークが何を意味するのか、見かけたときにどう対応したらいいかへの理解は、まだ十分ではありません。実際、ヘルプマークをつけている人が全員、常に座りたいというニーズを持っているとも限りません。見た目でもマークでもわからない状況だと、援助や配慮をするという判断に自信が持ちにくいのです。

席を譲るという行為自体に対する、心理的ハードルもあります。日本は特にその傾向が強いという研究もあります。要因の一つが「断られるのが怖い」という気持ちです。以前、私自身も一般の方にアンケートをとったところ、断られたことを「失敗」ととらえる回答が少なくありませんでした。「間違いを犯した」と感じてしまうのです。
また公共交通機関だけに、周囲に人がいることも影響します。「聴衆抑制」といいますが、ほかの乗客に自分がどう見られているかを気にします。声をかけたり断られたりするのが「恥ずかしい」という感情が働き、ためらってしまうのです。

さらに、相手を援助が必要な人だとみなしてしまうことが「失礼にあたるのではないか」という気遣いもあると思います。かつて、年配者に席を譲ろうとしたら「年寄り扱いをするな」と言われた、という経験談がネットで広まったことがありました。そうした経験を見聞きしたことで、不安が増している可能性もあります。
また、「自分以外の人が譲ってくれるだろう」という「傍観者効果」も働くと言われています。ほかにも、人は自分の損失と「譲る」という行為をてんびんにかけることがあります。立ったら疲れるだろうといった損失を予想すると、やはり抑制は起こります。

こうした複数の要因が働くことで、援助したいという気持ちがあっても行動に移すことができず、葛藤が生じる。その心理的なストレスを避けるために、見て見ぬふりが起きるのだと思います・・・

思ってはいても座席を譲らない

2026年10月28日   岡本全勝

10月18日の朝日新聞オピニオン欄「優先席を考える:2 譲るハードル」から。私の経験「席を譲られた」

・・・快適な利用には、お互いの配慮が欠かせない、電車やバスなど公共交通機関の優先席。ただ、せっかく譲りたい気持ちがあるのに、ためらいを感じることもあります。2回目は、その理由を調査した2人の専門家に聞きました。

欧州で電車やバスに乗ると、乗客がごく自然に席を譲り合っている。「なぜ日本とは違うのだろう」。そんな素朴な疑問を出発点に、公共交通での協力行動や社会規範を国際比較した研究がある。主導した公益財団法人・日本交通公社の川村竜之介さんに、その成果と発見を聞いた。

日本では、弱者に席を譲ることがマナーとして認知されているはずですが、実際には行動に移している人は少ないように感じます。その違いは何によるものなのか、探ろうと思いました。「鉄道やバスの車内で席を譲る行動」に着目して、2012~13年に、日本・韓国・イギリス・フランス・ドイツ・スウェーデンでウェブ調査をしました。世代による偏りが出ないように配慮した上で、各国の首都圏に住む300人に、席を譲る頻度や意図、規範意識などについて聞きました。
大きな発見は、日本は「席を譲るべきだ」という意識は各国と同様に強かったのですが、実際に席を譲る頻度は最も低かったことです。行動に移すまでに、何らかの壁があると考えられます。日本の事情を分析したところ、いくつかの背景や要因が見えてきました。
まず、優先席は6カ国全てにありましたが、「優先席では席を譲りましょう」と車内などで積極的にアナウンスをしていたのは当時、アジアの日本と韓国でした。こうした呼びかけは「席を譲ることが望ましい」という認知を高めている一方で、「優先席以外では席を譲らなくていい」とも受け止められ、譲る行動を抑制している可能性があります。

また日本では、地域のなかで疎外感がある人ほど、席を譲らない傾向もみられました。公共交通機関をよく利用する人ほど、席を譲らなくなる傾向もありました。
今回の調査対象は首都圏、つまり日本の場合は東京圏でした。一般に、コミュニティーに属している感覚が薄く「自分ひとりで生きている」と思う人は、他者を助けようという意識も弱くなります。利他的な行動が、巡り巡って自分にも利益をもたらすと実感できれば、自然に席を譲るという行動につながっていくはずです。
そのためには、時間はかかりますが、地域への愛着を高めるような施策が大事です。過去の研究では、地域を「歩く」行為が、その人の地域への愛情を醸成することがわかっており、歩ける街をつくるための施策も必要になります・・・

「俺」を使わなくなった

2026年10月27日   岡本全勝

10月17日の日経新聞に「男性の「俺」離れ、半数が使わず 「私」や「自分」で自己主張弱める」が載っていました。

・・・男性一人称の自称詞、「俺」の存在感が揺らいでいる。民間調査によると「俺」を使う男性は約30年で急減し、「私」「僕」「自分」に分散した。専門家らは、立場や関係性に配慮し、摩擦を避けたい意識の表れとみる。

博報堂生活総合研究所が実施した調査によると、家族や友人の前で自分を「俺」と呼ぶ男性の割合は1994年に未婚者で86.0%、既婚者では65.4%と多数派だった。ただ、2026年調査ではそれぞれ42.5%、46.7%と半数を割り込んだ。
「俺」衰退の裏で進むのが分散化だ。1994年では次点「僕」とのほぼ2択だったが、2026年には「私」が未婚・既婚とも2割前後の勢力となり、「僕」は3位に転落した。「自分」も未婚・既婚とも1割前後を占め、存在感を増している。

調査を担当した研究員の加藤あおいさんは、「男らしさを強調する『俺』を避け、より自己主張が弱い『私』が選ばれている」と分析する。「『自分』はSNSなどで匿名で発信したい場合にも便利。主張が強いと思われたくない、属性を明らかにしてたたかれたくないという心理がある」。身近な関係だけでなくフォーマルな場でも広がっているという。
なぜ男性は、自分の色を消そうとしているのか。『自称詞〈僕〉の歴史』著者である友田健太郎さんがこの30年の変化として注目するのが、女性の社会的地位の向上だ。
「『俺』の乱暴なイメージが強まり、女性との対等な関係性を意識する男性が使いにくくなった」と友田さんは分析する。「『僕』にも若干のエリート感がある。一方、『自分』は自身を内省するような率直な響きがあり、男女間の緊張とも無縁で選びやすくなったのでは」

言葉とジェンダーの関係を研究する言語学者の中村桃子さんが注目するのは、生活総研調査での女性側の変化だ。1994年は「あたし」の利用が未婚女性で4割超、既婚女性で3割弱を占めたが、2026年にはともに1割以下となり、「わたし」が大きく増えた。
中村さんによれば、「あたし」は「わたし」より女性性を強調する響きを持つ。「俺」離れと「あたし」離れは同じ変化の表れで、「伝統的な男らしさ、女らしさに魅力がなくなった結果ではないか」と考察する・・・

地方の人は歩かない、都市部の半分

2026年10月20日   岡本全勝

10月6日の日経新聞に「歩かぬ地方、都市部の半分」が載っていました。
このことは、私も昔から気になっていました。地方の人は、すぐ近くでも車に乗るのです。車がないと移動できませんし、車を持っているので使うのです。東京は地下鉄などが発達し、車を持っている人も少ないので、歩くのです。かつて、自治省(合同庁舎2号館)から大蔵省まで行くにしても、結構な歩数を稼ぎました。国会議員会館を走り回っていたのは、別の事情ですが。
座りっぱなしの仕事は、足腰を弱くします。私はぎっくり腰にもなりました。今は健康のために、万歩計をつけて歩くようにしています。

・・・1日の平均歩数を都市と地方で比較すると、最大約3700歩の差があることが専門家の研究で明らかになった。約30分の歩行に相当し、住民の健康維持に地域差が生じることが懸念される。国や自治体は歩きやすい靴で通勤する「スニーカービズ」を推し進めるなど改善に乗り出している。
東京大学の鎌田真光准教授らの研究グループが6月に発表した研究結果によると、調査自治体のうち、1日の平均歩数が最少だったのは宮崎県小林市の4026歩。住民は車移動が中心で、歩く機会が少ないとされる。
地域によって歩数の差が生じ、住民の健康状態に影響するとみられる中、これまで自治体ごとに歩数の差を定量的に示した研究は限られていた。

同市は2020年度、歩数に応じポイントがたまる事業を始めたが「健康に無関心な層に届いていない」(市担当者)。25年度の登録者数は市の人口の約5%にとどまる。最多だった東京都豊島区(7750歩)と小林市との差は約3700歩でほぼ2倍。福岡県うきは市(4205歩)や長崎県南島原市(4216歩)なども低水準だった。
研究グループは歩数を自動計測するスマートフォンアプリの利用者データを分析。対象は951市区町村の20〜64歳の現役世代約150万人で、各自治体の平均歩数と、人口密度や道路の接続性など「歩きやすさ」との関係を調べた。その結果、首都圏や近畿などの歩きやすい都市ほど歩数が多く、東北の北部や九州南部など歩きにくいと評価された地方都市では少なかった。

歩数減少は健康上のリスクとなりうる。
厚生労働省は身体活動が不足したり、デスクワークなどで座る時間が長くなったりすると、筋肉や骨といった運動器の障害などのリスクが高まると指摘。腰痛や肩こりなどにより労働生産性に影響する可能性もあるとする。
同省が24年に公表した手引は、歩行と同程度以上の活動を成人は1日60分以上、高齢者は40分以上することを推奨し、歩数に換算すると成人は8千歩以上、高齢者は6千歩以上となる・・・