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経済

会社で初の賃上げ

2月28日の日経新聞に「モスフードサービス、初のベア実施 定昇含め8%賃上げ」という記事が載っていました。
・・・モスフードサービスは27日、4月に正社員や嘱託社員約650人を対象に賃上げを実施すると発表した。ベースアップ(ベア)の実施は記録が残る限り今回が初めてとしている・・・

よい話だと思いつつ、ベースアップが記録に残る限り今回が初めてということに驚きました。日本では30年間にわたって給料が上がらなかったのですから、このような会社は多いのでしょう。給与担当者も、前例がないので困るでしょうね。

日本のGDPが世界4位に

内閣府が、2023年の国内総生産の数値を公表しました。各紙が「ドイツに抜かれた」と伝えています。
・・・2023年の国内総生産(GDP)は、物価の影響をふくめた名目GDPが前年より5・7%増え、591・4兆円だった。米ドルに換算すると1・1%減の4・2兆ドルで、ドイツ(4・4兆ドル)に抜かれて世界4位に転落した。1968年に西ドイツ(当時)を追い越して以来、55年ぶりに日独が逆転した・・・「日本GDP、4位に転落 円安響きドイツ下回る」2月16日の朝日新聞。

報道では、第4位に転落したことを強調していますが、問題はそこではありません。ドイツの人口は8000万人余りで、1億2000万人の日本の3分の2です。すなわち、一人あたり国内総生産では、日本はドイツの3分の2なのです。それは、個人の豊かさと言い換えることができます。

2月17日の日経新聞5ページに、「物価を考える 名目GDP600兆円」という記事が載っていて、各国の名目GDPの伸びがグラフで出ていました。
このグラフでは、1993年を起点に100として、日本やアメリカ、ヨーロッパ先進国の名目GDP(自国通貨建て)の伸びを示しています。アメリカ、イギリスは3倍以上、フランス、イタリア、ドイツが2倍以上、日本は横ばいです。毎年2~3%程度の伸びがあると、30年間でこれだけの差が出るのです。日本だけが独自の道を歩んでいます。

30年間とは結構長い時間です。どこに問題があったのでしょうか。昭和後期に奇跡のような高度成長を遂げ、ジャパン・アズ・ナンバーワンと言われて自慢していたのに。
数字では見えない、悪いことがあります。企業はリストラという名の下に社員を解雇し、非正規や派遣社員に置き換えました。役所も行政改革の旗印の下、職員を非正規職員に置き換えました。そして、就職氷河期、年越し派遣村、子どもの貧困、結婚できない若者という言葉に象徴されるような、不安な社会を作ったのです。子どもの数が減るのも、これが大きな要因でしょう。
数字の上では横ばいですが、正規と非正規の間の格差、社会の分断を生んでいるのです。社会は悪くなっています。

各国比較、ラーメンの値段

1月23日の日経新聞に「世界に広がる日本の外食、味とサービスでアジアに浸透」が載っていました。日本の外食企業が海外展開を加速しています。
主な外食企業10社の2022年度の海外総店舗数は、2万店を超えました。2012年度の4千店と比べると5倍です。ミスタードーナツは約1万1千店、吉野家は約1千店です。
おいしい日本食を、どんどん世界に広めてほしいです。参考「海外に増える和食店

気がかりな数字も、並んでいます。ラーメンチェーン「一風堂」の商品「白丸元味」の値段です。日本では850円ですが、アメリカでは2899円、フランスで2139円、フィリピンで1108円、中国で909円です(1月10日の為替相場で換算)。ビッグマック指数のラーメン版ですね。
日本は安い。円安という要因もありますが、原材料費に大きな差があるとは思えず。主な要因は労働費でしょう。

夏に稼ぐスキー場

朝日新聞夕刊連載「現場へ!スキー場経営のいま」、1月29日は「絶景いかし、夏にも儲ける」でした。北アルプスのふもと、長野県白馬村にある「白馬岩岳スノーフィールド」が舞台です。

スキーの国内市場は縮小し、同スキー場は2016年に記録的な少雪の影響を受け、前季は11万9千人だった冬季の来場者が約7万7千人に落ち込みました。
しかし、昨季の冬季が12万人、春から秋(4月から11月)は22万人でした。雪のない時期に稼いでいるのです。
山頂の展望台から標高3千メートル近い白馬三山などの山容を眺められることが、売りです。逆転の発想と言ったらよいのでしょうか、経営を立て直した手法は、記事をお読みください。

デジタル国際収支、5兆円の赤字

1月16日の日経新聞1面連載「昭和99年 ニッポン反転(11)」は「デジタル小作人、米に貢ぐ5兆円 稼ぐ日本「壊」より始めよ」でした。

クラウドなどアメリカの情報産業への依存が高まり、日本の国際収支は5兆円を超えます。デジタル化を進めるほど、アメリカ企業への支払いは増えます。記事ではそれを「デジタル小作人」と表現しています。

・・・クラウドの草分けは米アマゾン・ドット・コム。リスクを取って赤字覚悟の投資を重ね、コンピューターサービスの新市場を創出した。01年にはメインフレーム(大型汎用機)で世界シェア4割を握っていた日本の影はもはやゼロに近い。
日米の明暗を分けた誤算は何か。変化の速さというデジタルの本質を見失った点にある。マサチューセッツ工科大学のマイケル・クスマノ教授は「日本はソフトウエアを製造業として捉えてしまった」と指摘する。

米企業はサービスを運用しながら顧客と対話を重ね、失敗をいとわずに自らの意思と知恵で新たなサービスを素早く作り変えていく。対照的に日本はIT(情報技術)企業が顧客から丸投げされた提案を、忖度しながら作り込む。
顧客に納める以上、ミスは許されない。綿密に擦り合わせるため、時間がかかり技術は陳腐化する。失敗を避けるもたれ合いの構造が生まれ、進化を阻んだ。
オランダの社会心理学者ヘールト・ホフステード博士が開発した国民文化を測るモデルがある。日本は不確実性を回避する傾向がロシアなどに続いて高く、世界で2番目に完璧さを好む国だ。逆に変化を恐れない傾向が顕著だったのは北欧。デジタル競争力ランキングの上位に名を連ねる・・・