カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

青春期の仕事と、老年期の仕事

三谷太一郎著『日本の近代とは何であったか』(2017年、岩波新書)のあとがきに、次のような文章が書かれています。
・・・私はこれまで、いつのころから、学問人生の中の「青春期の学問」に対する「老年期の学問」の意味を考えてきました。多くの場合、学問の成果(特に目立つ学問の成果)は、「青春期の学問」の成果であり、「老年期の学問」の成果と目すべき実例は、ほとんど念頭に浮かんできませんでした・・・
・・・「老年期の学問」は、所詮「青春期の学問」の可能性の範囲を超えるものではない。それぞれの「青春期の学問」が持っていた可能性を限界にまで追求することによってしか、「老年期の学問」は成り立たない。結局「青春期の学問」のあり方が「老年期の学問」のあり方を決定する。それが私の結論です。・・・
・・・ただ「老年期の学問」は、どちらかといえば、特殊なテーマに焦点を絞る各論的なレベルの発展よりも、より一般的なテーマに傾斜した総論的なレベルの発展に力点を置くべきではないかと考えます・・・

詳しくは、本を読んでいただくとして。納得します。
春から慶應大学に教えに行きますが、行くことが決まってから、どのように授業を構成するかを考えてきました。かつて東大の大学院や慶應大学で教えていたときは、当時の私の問題意識と周りにある実務の実例やデータを教えることに重点を置きました。しかし、この歳になって、またいろいろなことを経験して、それとは違うことを教えるべきだと思うようになりました。
もちろん大学の授業ですから、知っておかなければならない事項を、教えなければなりません。でも、それは、市販されている教科書に書かれています。私が「付加価値」をつけるとするなら、これまでの経験を生かして、現場の実態を教えるとともに、地方自治を通じて「社会の見方」をお教えすることでしょう。
いま、そのような観点から、講義ノートを作成中です。

作業工程の共有

3月19日読売新聞「震災6年」は、青柳隆・元ルネサスエレクトロニクス那珂工場長のインタビューを載せていました。
那珂工場は、自動車用のマイコンを作っている工場です。これは、エンジンや変速機の制御に欠かせない部品で、世界の約4割、日本の約6割を占めています。この工場が被災したことで、日本の自動車生産が止まる恐れがありました。復旧に際しては、取引先の自動車メーカーが社員を応援に出してくれて、9月復旧予定が、6月には生産が再開することができました。取引先からの応援は、ピーク時には1日2,500人、延べ8万人だったそうです。その状況や教訓は、原文をお読みください。ここでは、応援を受けた際の言葉を紹介します。

・・・「トヨタ生産方式」の手法も活用させてもらった。大部屋を設け、組織図からすべての作業の工程まで最新の情報を壁に貼りだし、情報共有を徹底する。復旧計画が前倒しされる中でも、大部屋に行けば誰もが一目で現状を知ることができ、作業が円滑に進んだ・・・

私も、常に心がけていることです。職員は、部分部分を担当しています。その際に、全体はどうなっているのか、そして自分がどの部分を担っているのかを知ってもらうことが重要です。すると担当者は、自分がしなければならないことを理解するとともに、関連部署に対して「ここはどうなっているの?」と問い合わせたり、「ここを忘れているのでは」と指摘することができるのです。
全体工程を管理するのはもちろん、トップの役割ですが、細かいところまでは把握できません。大きな方向と関係者への役割分担を決めて、後は担当者に任せる必要があります。そして、担当者から「ここはおかしいのでは」「ここが抜けています」といった指摘をもらって、全体工程表を修正していきます。

そのためには、全体の工程表と役割分担を、関係者に見せる必要があります。まずは、それぞれを1枚の紙にすることです。それを壁に張り出したり、パソコンでみんなが見ることができるようにします。それを、毎日のように必要に応じて更新していきます。
また、大震災の被災者支援や復興では、住民や自治体、国民、マスコミにも、課題と進捗状況を知ってもらう必要がありました。それは、ホームページに載せることで、誰でもどこからでも見ることができるようにしました。現在も、インフラ復旧などは、それを続けています。

社員満足は誇りから

2月20日の朝日新聞オピニオン欄「くらし、良くなりましたか? 中小企業の経営者に聞く」、住宅メーカー社長の山崎清二さんの発言から。
・・・注文住宅を建てています。売上高は3年間で約3割増え、従業員の基本給は3年連続で上げました。金融緩和で、いまは低金利だからと住宅購入に踏みきる人が増えた面もありました。社員のくらしは、少しは良くなっていると感じています。
でも、金銭的な面だけで判断しているのではありません。くらしが良くなるとは、社会に自分の居場所があり安心できることだと考えます。大切なのは、働く誇り。お客さまに自信を持って自社のサービスをお薦めでき、褒めていただけて、働く背中を自分の子に堂々と見せられる。そんな環境づくりを進めています。
たとえば一般の住宅メーカーと違い、我が社は大型連休は休みます。火曜日は午後6時、他の日も午後8時には退社。土日でも交代で休みます。社員がお客さまと同じ目線で生活していないと、本当に満足していただける家はつくれないからです・・・

異動の季節、心構え

2月13日の日経新聞夕刊「常識ナビ」は「異動の辞令」でした。新しい職場への異動の辞令を受けたら何をしたら良いかを、教えてくれます。この欄は、若手職員には勉強になりますね。いろいろ心構えが書かれています。その中から一つを紹介します。
・・・別のコンサルタント会社、Fフロンティアの深瀬勝範社長は長く人事関係の仕事をしてきた。異動で後任に仕事を引き継ぐ際は「自分のしている仕事内容を紙に書いて残すこと」と語る。A4版の紙1枚に箇条書きでよいから仕事の項目、回っている顧客のリストなどを記して手元に置き、上司にも渡す。特に大事なのはトラブルや問題を抱えている案件を隠さずに明示することだという・・・
続きは、原文をお読みください。
引き継ぎ書の重要性は、「明るい公務員講座」初級編第15回「変えてみよう」で、「引き継ぎ書の重要性」「引き継ぎ方で組織を向上させる」をお教えしました。

カタカナ英語をひけらかす人

読売新聞連載「時代の証言者」は、松永真理さんです。携帯電話でインターネットを見ることが出来る「iモード」の開発者です。リクルートからNTTドコモに転職します。そこで直面した職場文化の違いを述べておられます。2月11日「まいった、言葉が通じない」から。
・・・まいったのは、「言葉」が通じないことです。私の知らない3種類の言葉が使われていました。「マッキンゼー語」「NTT語」「技術語」と、ひそかに名付けていました。
「マッキンゼー語」とは、当時、ドコモのコンサルタントをしていた企業の人が使っていた言葉です。
「今回のアジェンダは、オンデマンド型サービスをユーザーにどうアピールするかのストラテジーを考えること。アベーラブルな日程は・・・」
なぜ、英語の単語ばかりを並べ、日本語はつなぎとしてしか使わないのだろう。不思議でした。
逓信省をルーツに持つNTTの言葉も、私には理解できません。古びたお役所用語が生きていました・・・

この後は、原文をお読みください。役所でもいるんですよね、やたらとカタカナ英語を使って、エエカッコする人が。