3月23日の朝日新聞オピニオン欄は「改憲議論とアメリカ」でした。この記事は、「「いまの憲法は、米国を中心とする連合国が押しつけたものだ」という見方が根強くある。なぜ「押しつけ」にこだわるのか。とうの米国ではいま、人権や多様性を重んじる憲法的価値に揺らぎもみえる。米国との関係が、私たちの憲法論議にもたらすものは――」という趣旨の企画です。
それはそれで興味深いのですが、ここでは、阿川尚之さんの発言から、アメリカ憲法の仕組みを紹介します。
・・・米国の憲法と選挙制度は、最も優れた人物を大統領に選ぶことを、保証してはいません。この国の政治システムは、凡庸な大統領も多数生み出してきました。ただし万が一、国民の自由を正当な理由なしに制限する強権的な大統領が誕生すれば、さまざまなしくみで害を最小限にくい止める。それが憲法制定者の知恵です。
米国史上最大の危機は、1860年代の南北戦争でした。その直前、リンカーン大統領は最初の就任演説で、自分に投票しなかった人々に向け、大統領の権限は限られており、4年ごとに変えられるのが憲法の仕組みだと強調しました。「どんなに愚かな、あるいは邪悪な政権でも、国民が勇気を失わず、警戒を怠らない限り、わずか4年ではこの国の統治システムに(取り返しのつかない)深刻な損害を与えることはない」、安心してほしいと伝えたのです。・・・
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