笹川陽平・日本財団会長のブログ、1月27日は「養子縁組あっせん法の成立」でした。詳しくは原文を読んでいただくとして。これを読んで、官の役割と民の役割を考えました。生みの親が育てることができない子どもを、誰がどのように支援するかです。
・・・日本の養子縁組の制度には、普通養子縁組と特別養子縁組がある。普通養子縁組は、古くから家の跡取りなどを迎えるために行われてきた。これに対して特別養子縁組は30年ほど前に創設され、生みの親が育てることのできない子どもに、あたたかい家庭を提供するための児童福祉としての制度である。諸外国では、養子縁組は子どもが家庭で健やかに育つための重要な児童福祉と捉えられているが、日本では、これまで児童相談所などの行政機関は積極的に取り組んでこなかった。
そのため、民間の養子縁組団体が、予期しない妊娠で悩む女性の相談にのり、子育てを希望する夫婦への仲介を担ってきた。不妊治療をしても子どもを授からず、養子を希望する夫婦は多く待機しており、赤ちゃんは安全で愛情にあふれた家庭ですこやかに育つことができる。日本の虐待死で最も多いのは0歳0ヶ月の赤ちゃんで、10年間で111人が死亡しており、その9割は実母によるものである。特別養子縁組は赤ちゃんの虐待死を防ぐ上でも重要な役割を果たすことが可能である・・・
これまでは、民間の団体が斡旋していましたが、中には営利目的で問題を起こす団体もありました。日本財団が支援している「ハッピーゆりかごプロジェクト」によると、次のようになっています。
・・・様々な家庭の事情で、生みの親と暮らせない子どもたちがこの日本にも約4万人います。こうした子どもたちは、国連のガイドラインによると養子縁組や里親制度を通じて家庭で暮らすことが望ましいとされていますが、日本では、社会的養護下にある子どものうち、約85%が乳児院や児童養護施設などの施設で、約15%が里親家庭やファミリーホームで暮らしています。諸外国では里親家庭で暮らす子どもの方が多く、日本でも子どもが家庭で暮らせるようにする取り組みがさらに必要です。
また、生みの親の元に戻ることができない子どもについては、養子縁組により新しい家庭を得ることが望ましいとされ、日本では公的機関である児童相談所と民間団体が、子どもの福祉を目的とした養子縁組を行っています。日本で特別養子縁組される子どもは年間540人程度ですが、アメリカでは毎年5万人以上、イギリスでは4,500人以上の子どもたちが養子縁組されています・・
このような恵まれない子どもたちへの支援を、誰が責任を持って行うか。これまでは民間に任せていましたが、それでは問題が出ることがわかってきました。また、なかなか養子縁組が進みません。「赤ちゃんポスト」も、様々な意見があります。しかし、恵まれない子供たち、困っている母親たちをどのように救うか。民間の力を、行政がどのように引き出すか。法的規制だけでなく、財政面やノウハウ面での支援も行うべきでしょう。
この項続く。