1月9日の日経新聞経済教室「大転換に備えよ」は、砂原庸介・神戸大学准教授の「非主流派政治に取り込め。政策提示、個別より一括で」でした。配偶者控除の改正が、2017年度の税制改正で議論になりつつ、選挙を前にして進まなかったことについて紹介した後。
・・・配偶者控除のように個別のテーマごとに議論すると政治的にリスクが大きい中で、働き方改革のようにパッケージで議論することには意味がある。なぜなら一つのテーマでは負担が増える敗者となったとしても、別のテーマと組み合わせることで、その負担を軽減できるからだ。
例えば配偶者控除を廃止するのならば、他方で育児に対する給付を増やすことで専業主婦世帯に報いられるかもしれない。また、単に共働き世帯を優遇するだけではなく、子どもへの一定の給付を前提として、保育所の利用料引き上げにより収支のバランスを考える方法もありうる・・・
・・・そこで政党は世論の反応をみながら支持拡大につながるパッケージを提示し、既存の政策的対立軸とは異なる形で新たに包括的な改革連合を形成していく必要がある。そのとき、従来は政治的に代表されてこなかった女性を中心とした非正規労働者などの「アウトサイダー(非主流派)」を政治過程に包摂することは政党の支持基盤を広げるという点でも重要な意味を持つ。
近年の日本政治でこうした取り組みがなかったわけではない。具体的には、各省庁にまたがる論点を包摂する形で、内閣府に首相直属の会議体を設け、調整がなされてきた。しかし党内に「抵抗勢力」を定めて、それとの積極的な対立を辞さない姿勢をとった小泉政権を除けば、基本的に関係者のコンセンサス(合意)を重視するコーポラティズム(協調主義)的な手法がとられてきたといえる。
そうした手法ならば、関係者にとって受け入れやすい漸進的な改革が中心となる。しかし、それでは従来の政治過程から排除されてきたアウトサイダーの利害が反映されるのは難しいところがある・・・
続いて、次のような指摘もあります。
・・・しかも会議の乱立は重要な首相の時間資源を奪うことになった。外交における首相個人の役割が大きくなる中で、すべての重要案件を首相の責任の下で処理するのは不可能に近く、積極的なリーダーシップを発揮するのは困難だ・・・
原文をお読みください。