政治とは、社会の課題を解決するための仕組みです。そして、社会の分裂を統合する役割もあります。無秩序になるのを防ぎ、安心して幸せに暮らせるようにすることです。代表制民主主義になると、社会の利害を代表するグループ=政党ができます。その時々の社会内対立を、反映することになります。資本家対労働者、保守主義対革新、自由主義経済対社会主義経済(統制経済)など。
さて、現代日本では、何が対立軸でしょうか。私は、世代間対立(年金受給者対若者)や、都市対地方が対立軸だと考えていました。しかし、近年は、日本社会で最も大きな亀裂は、正規対非正規だと考えています。経営者対労働者の対立は、過去のものとなりました。労働組合も、今や正社員のグループです。そこに入れない非正規の人たちが大きな割合になり、所得も低く不安定な状態にあります。子どもを産めないという原因にもなっています。これが、現代日本の大きな社会問題の一つでしょう。しかし、その人たちの声を代表する仕組みがないのです。
5月26日の朝日新聞オピニオン欄・論壇時評、小熊英二さんの「二つの国民 所属なき人見えているか」は、まさに私の考えと同じでした。
・・・19世紀英国の首相ディズレーリは、英国は「二つの国民」に分断されていると形容した。私見では、現代日本も「二つの国民」に分断されている。
そのうち「第一の国民」は、企業・官庁・労組・町内会・婦人会・業界団体などの「正社員」「正会員」とその家族である。「第二の国民」は、それらの組織に所属していない「非正規」の人々だ・・・