気になって買ってあった、菅原出著『民間軍事会社の内幕』(2010年、ちくま文庫)を読みました。イラク戦争で、アメリカが民間の警備会社を雇っていたことは有名です。軍隊並みに武装し、警備や輸送などに従事しています。その実態から、「民間軍事会社」と呼ばれています。
その中には、軍隊並みの仕事をする会社、軍隊の補給や基地の炊事洗濯を請け負う会社、人質救出の交渉をする会社、危険地帯に行く人(取材記者)を実地訓練する会社など様々です。
戦闘地域やその周辺で活動するので、とても危険です。日本人社員(兵士)が、巻き込まれて死亡したこともありました。
アメリカ軍の経費や職員削減を受けて、「事業」を外注に出すことが広がったとのことです。確かに、基地の炊事や洗濯を外注に出すことは違和感がありませんが、武装して政府要人を警護することになると、ここまで外注ができるのかと、感心します。捕虜収容所で捕虜の通訳をすることも理解できますが、尋問をすることまで請け負うとなると・・。まあ、中世ヨーロッパでは、軍隊自体が傭兵で外注していたのですから、できないことはないですが。
一方、受託する会社は、軍のOBそれも特殊部隊の経験のある元兵士を雇っています。軍人の給料は安く、軍事会社の報酬は高いです。ここに、兵士=従業員の需給が成立します。
記者が取材地で反政府勢力にとらえられた場合を想定した訓練(もちろん有料)を、受けた経験が載っています。平和な日本にいると理解しがたいですが、危険地帯に行く記者や外交官などは、必須の教科でしょう。