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三位一体改革12

2004年7月6日   岡本全勝
日々の三位一体改革
【官房長官の釘刺し】
21日の毎日新聞は「正念場迎えた自治体」という野倉恵記者の記事、読売新聞は青山彰久記者による「地方交付税」の解説が、大きく載っていました。
先週は、地方6団体の代表が、財務大臣と官房長官とそれぞれ会談しました。また18日の閣議では、官房長官から各大臣に「地方団体の補助金見直し作業に邪魔をしないように」との発言がありました(各紙による)。(6月21日)
【自民党の公約】
25日の日本経済新聞には、自民党の全面広告が載っていました。小泉総理と安倍幹事長の大きな写真です。そこでは、7つの「日本の中長期的な課題」が取り上げられていました。経済、社会保障などと並んで、三位一体改革は6番目に掲げられています(他紙にも、順次載るんだと思います)。
一方、民主党は全紙に4段広告でした。岡田代表の写真とともに、今回は8つの約束を載せてあります。補助金改革は、引き続き2番目の項目です。(6月27日)
【知事の意見】
連日、三位一体改革関連記事が新聞をにぎわしています。28、29日の日本経済新聞は、47知事のアンケートを載せていました。
それによると、「骨太の方針2004」で3兆円の税源移譲規模を明記したことについては、おおむね前進と評価されています。一部の知事を除き、三位一体改革の実現可能性は十分ある、政府が求めている地方団体による補助金廃止案づくりは可能となっています。補助金廃止に合わせて、国による規制もなくすべきという意見が多いです。
義務教育補助金廃止には消極的な知事もおられます。今後、3兆円の廃止すべき補助金を選定する過程では、いろんな意見が出ると思います。しかし、3兆円の税源移譲につながる補助金となると、絞られてくるはずです。
その他、29日の朝日新聞では「検証マニフェスト」として、三位一体改革が取り上げられていました。(6月29日)
今日30日は、東京新聞が「目で見る参議院選挙」シリーズで、三位一体改革を取り上げていました。小泉純一郎首相が進める、構造改革の柱の一つとしてです。
また、朝日新聞は、29日に開かれた全国知事会の委員会の模様を伝えています。それは、三位一体改革を扱う委員会と、教育改革を議論する委員会です。知事5人が、義務教育費国庫負担金について議論し、結論は出なかったということです。(6月30日)
今朝(6日)の日本経済新聞は、「なるか地方発補助金改革:上」を載せていました。「霞が関に総務省包囲網」という見出しです。地方団体がつくる補助金廃止案に対し、各省が阻止に回っているとの内容です。もっとも、その包囲網の代表として文部科学省が出てくるのはわかるとして、財務省が出てくるのは不思議ですよね。
地方紙は、共同通信社が実施した、全国知事アンケートを載せていました。ポイントは、義務教育国庫負担金の廃止に11知事が反対しているということでした。
なお、日本経済新聞に先月末に載った知事アンケートの詳細は、「日経グローカル」7月5日号に載っています。ポイント(既に紹介したことですが)は次の通り。
①「骨太の方針2004」は、7割の知事が評価
②「税源移譲額明記」は、8割が評価
③補助金改革とりまとめは、8割が可能
④補助金改革は、国の関与廃止が前提
⑤補助率引き下げは反対
⑥義務教育負担金廃止は、3分の1が反対
⑦交付税改革は、財源保障機能維持、です。(7月6日)

外国の地方行政

2004年7月1日   岡本全勝
自治体国際化協会(クレア)から、レポート257号「フランスの都市計画」の他「スウェーデンの地方自治」「イギリスでの地域リーダーシップの強化と公共サービスの高品質化」という冊子が発行されました。
このうち「イギリスでの地域リーダーシップの強化と公共サービスの高品質化」は、ブレア政権が進める地方自治制度改革の根拠となっている白書の翻訳です。
イギリスでは、総選挙の際に政党がマニフェストを国民に示します。政権を取ると、そのマニフェストを実行するために、より具体化した「白書」ホワイト・ペーパーがつくられます。そして、ものによっては法律が作られ、また実施計画の達成状況が政策評価を受けて公表されます。
地方自治制度改革もこのような手順を踏むため、「法律改正」もしばしばあるとのことです(前回の出張で聞いてきました)。イギリスの地方自治全般については、同じくクレアから「イギリスの地方自治」という立派な本が、昨年発行されています。
ヨーロッパ探検記でも書きましたが、日本も地方自治という制度は欧米をお手本にそろえましたが、運用はかなり違うようです。この本は、制度改革の進め方や目標などについて、おもしろいことが書いてあります。日本は制度を「輸入」する時代は卒業しましたが、運用や精神はまだまだ見習うことが多いと思います。

三位一体改革11

2004年6月18日   岡本全勝
地方団体へのメッセージ
今回の「骨太の方針2004」、特に「3兆円税源移譲明記」には重要な意義があると、私は考えています。まずここには、地方団体に対し、いくつかのメッセージが込められています。
(1)地方団体に安心感を持ってもらう。
①「安定的な一般財源総額の確保」という記述=これは16年度において交付税等の削減が大きく、また突然だったことに、地方団体から反発が大きかった。それに答えるものです。
②「3兆円の税源移譲目標の明示」=16年度は1兆円の国庫補助金削減に対し、一般財源化は0.4兆円でしかなかったことに、地方団体からの不満が大きかった。それに答えるものです。
③「18年度までの改革の全体像を、秋までに明らかにする。その際には、地方団体の意見を聞く」との記述=これも地方団体からの意見を取り入れたものです。
これらは、改革を進めるためには、地方団体の理解が必要だからです。
(2)地方団体にも責任を。
「3兆円の国庫補助金改革の具体案を、地方団体に取りまとめてもらう」=これは、地方団体にも、三位一体改革に責任を持ってもらおうとするものです。
もちろん、なかなか進まない改革を進める「てこ」になる意味や、政治と官僚の関係などの論点もあります。それらは、追い追い解説しましょう。今朝(4日)の、読売新聞の解説(青山彰久記者執筆)や朝日新聞の社説が、参考になります。(6月4日、6日)
これからの困難
先週、内閣府が、全国知事会などに「8月20日までに、補助金改革案を取りまとめるよう」要請しました。また11日の閣議では、麻生大臣が各大臣に対し、地方団体が案を取りまとめる際に「邪魔をしないでほしい」旨を訴えました。大臣は、全知事・市区町村長・議長に、御手紙も出されました。(12日付け朝日新聞など。13日付読売新聞解説がわかりやすいです)。
「骨太の方針2004」に「3兆円税源移譲」が明記されましたが、実現には、まだ困難が予想されます。
進む改革
しかし、「三位一体改革」は、いくつもの困難を伴いながらも、着実に進んでいます。片山プラン(5.5兆円の税源移譲提案)が14年5月。三位一体改革の方針が閣議決定されたのが、その6月。3年間で4兆円の補助金改革を決めたのが、15年6月でした。16年度には1兆円の補助金削減と部分的税源移譲を実現しました。そして16年6月には、3兆円税源移譲目標を決定しました。
こうして見ると、とぎれることなく、確実に前進していることがわかります。近年の構造改革の中でも、もっとも進んでいるものでしょう。
現在、論点を整理して、「進む三位一体改革-評価と課題」という原稿を執筆中です。しばらくお待ちください。乞うご期待。(6月13日、14日)
大きな政治争点
17日の朝刊各紙に、民主党の全面広告が載りました。岡田代表の顔が大きく写っているものです。ごらんになった方も多かったと思います。そこに、マニフェストとして、3つの約束が掲げられていました。その2が「18兆円の補助金を廃止し、地域で住民が使い道を決められる自主財源に」でした。
地方財政改革は、ここまで大きな政策争点になりました。
今朝の日本経済新聞の社説は、「地方の結束が試される番だ」でした。地方財政は、毎日のように新聞をにぎわしています。国民にこれほどまでに関心を持ってもらえて、ありがたいことです。「数年前には考えられなかったことですね」とは、ある旧知の新聞記者の談です。
今晩も、政策研究大学院で講義をしてきましたが、新聞切り抜きだけでも、議論ができます。
もっとも、私は地方分権も重要ですが、日本にはそれに劣らず重要な政策課題があると考えています。例えば教育についていえば、教員の給与の財源をどうするかより、教育の内容・いじめ・不登校・学力低下・学級崩壊・非行を議論すべきでしょう。しかも三位一体改革は、教員の給与を下げるといったような議論をしているのではないのです。文部省が早く、「補助金官庁」から「政策官庁」に転換することを望みます。(6月18日)