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分権改革委員会・中間とりまとめ原案

2007年11月14日   岡本全勝

14日の経済財政諮問会議は、地方分権も議論しました。丹羽分権改革推進委員長が「中間的とりまとめ」の概要をご説明され、民間委員からも意見が出されました。「中間的とりまとめ」はまだ原案の段階で、これから確定します。39ページにもなる大部のものですが、興味深い点がいくつも含まれています。
1 各府省が分権に反対する理由(統一性が必要だなど)について、それは理由にならないと明確に指摘しています(本文p8)。
・・地方自治体が行う事務については、国において事務処理の適正性を特に確保する必要があるものでも、法律などで明確な基準を定めていれば、国が個別に関与するまでもなく統一性が十分担保できるものと考える。現実にも、法定受託事務で処理基準が示されているものは、地方自治体が具体的な適用の判断を適切に行っていると考えられる。こうした「統一性」の主張の背後には、地方自治体の行政能力に対する懐疑が潜んでいる場合もあるように見受けられるが、根拠があるとはいえない・・
2 個別の行政分野・事務事業の抜本的見直しに踏み込んでいること(本文p13)。
・・都道府県は指定区間外の一般国道(一般国道の道路延長の約6割を占める。)について現に道路管理事務を行っているのであるから、一般国道に必要とされる道路の維持管理水準を確保することは十分に可能である。したがって、指定区間の国道について、大規模投資の必要等から新設・改築は国が行うとしても、維持、修繕その他の管理の事務についてまで国が行わなければならない特段の理由はなく、指定区間の一般国道について、維持、修繕その他の管理の権限を都道府県に移譲するべきである・・
・・一の都道府県内で完結する一級河川は、都道府県が管理する二級河川とは規模が異なるにすぎず、治水への取組みに差はないことから、指定区間外が国管理である必要はない。災害時に必要な場合にのみ国が支援すればよく、一の都道府県内で完結する河川については、一級河川の指定区間外を含め、すべて都道府県管理とすべきである・・
3 自治事務をに関する義務付け・枠付けの原則廃止(本文p37)
などです。

税源交換

2007年11月11日   岡本全勝
8日の経済財政諮問会議に、増田総務大臣が「地方の元気が日本の力第2(地方税財政上の対応)」を出されました。p2、p3で、法人2税を国税の法人税(交付税財源)に移し、代わりに同額を消費税(交付税財源)から地方消費税に移す案を提案しておられます。交付税財源を使った、国税と地方税の交換です。消費税1%分だと、2.6兆円を交換することになります。
地方税総額は変わりませんが、法人2税は東京都の割合が26%、地方消費税だと14%なので、都の税収はその差12ポイント分減ります。それがp2に出てくる3,000億円です。愛知県の減収が800億円。これらの分が、その他の県に回ります。それが、p3の真ん中の帯グラフです。
国の取り分は変わらないので、国家財政には迷惑をかけない案です。ただし、財務大臣は消極的な意見を述べておられます。
なお、国と地方の税源配分の現状は、「税源配分その2」の図1をご覧ください。図の中で、法人課税については、法人2税9.6兆円(青色)から2.6兆円を、法人税の交付税部分(灰色)へ移します。消費税は、国の消費税のうち交付税部分3.1兆円(灰色)から2.6兆円を、地方消費税(青色)に移します。青色(地方税)と灰色(交付税財源)は入れ替わりますが、白色(国の取り分)には影響ありません。
さらに簡単な図を載せました。税源配分その2の図4です。
財務大臣の反論のうち、「3 国と地方の税収比」について質問があったので、解説します。3は、次のようなものです。
「国と地方の業務量の比率(4:6)と税収比率(6:4)との差は、地方交付税などで賄われており、地方に必要な財源は確保されている。業務量の比率に税収比率を近付けるということは、地方税を拡大して、その分地方交付税などを削減することになるとともに、財源超過団体の税収が一層増加することになるため、地域間の財政力格差は一層拡大することになる。したがって、国と地方の税収比については、あらかじめ数値を設定して取り組むべきものではない。」
このうち、前段の「国と地方の税収比6:4と業務量の比4:6の差を、交付税などで賄っている」という指摘はその通りです。地方に必要な財源が確保されていなかったら、大問題です。我々は、交付税と国庫補助金とで「財源を移転していること」を問題にしているのです。
(1)財務大臣資料は、なぜか国庫補助金に触れていません。地方が問題にしているのは、交付税より国庫補助金です。
(2)そして、わざわざ補助金と交付税で国から地方へ移転しなくても、地方税として地方が徴収すればいいのです。国が、国税として徴収し、補助金で地方へ配るというのが、「中央集権システム」なのです。
 後段の「地方税を拡大し交付税を削減すると、財政力格差が広がる」というのも、それだけだと事実です。
(1)まず削減すべきは、交付税でなく補助金です。なぜか、ここでも補助金は触れられていません。補助金は全団体に交付されていますが、交付税は交付団体にしか交付されていないので、それを先に削減すれば格差は広がります。
(2)格差が拡大しないように、今回提案されているような、法人2税と消費税との交換などの知恵を出しているのです。

地域連合国家

2007年11月6日   岡本全勝

6日の朝日新聞社説・希望社会への提言2は、「地域連合国家・ニッポンへ」でした。提言は、「暮らしにかかわるすべてを地域政府が決める」「地域共有の財源を設け、新たな仕組みで分け合う」です。私も、大賛成です。次は、なぜ進まないか。抵抗勢力を解説して欲しいです。

税収格差

2007年10月31日   岡本全勝
30日の日経新聞経済教室「法人二税を考える」は、片山善博慶応大学教授(前鳥取県知事)の、「格差縮小に国依存は禁物。税源偏在是正急げ、財政調整制度で補完を」でした。片山さんは、知事になる前は、地方税財政の専門家でしたので、論点が明確に整理されています。(10月30日)
31日の日経新聞経済教室「法人二税を考える」は、小西砂千夫教授の「地方消費税と税源交換を」でした。
読売新聞は、青山彰久編集委員が「地方の税収格差是正、税財源全体の充実不可欠」を解説しておられます。

イギリスの経済道州制

2007年10月24日   岡本全勝

英国イングランドには、地域開発公社(Regional Development Agencies ;RDA)という広域単位の機関があるのだそうです。務台俊介自治体国際化協会ロンドン事務所長に、教えてもらいました。以下、その概要です。
・・RDAは、労働党のブレア政権が1999年に発足させた組織であり、法的には国から独立した機関とされていますが、国務大臣の監督下に置かれています。イングランドを9地域に分けて、9つあります。
イングランド各地の経済開発、地域全体のハード・ソフトにわたる社会基盤整備を目的としており、設立当時、政府をはじめとして多くの地域再生関連事業が移管されています。予算も関係省庁の地域再生関連補助金を一括して新たな補助制度を創設し、公社の裁量度合いが非常に高い資金となっています。
RDAを作った発想が、英国特にイングランドとしてEU統合の中で広域の地域を大括りした開発戦略を作っていかないと、国際競争に勝てないとの危機感があったとのことです。イングランドの従来の自治体単位で地域開発戦略を立てていくのは困難であり、かといって国がこれを一括して戦略を作っていくのでは大きすぎる。そこで、イングランドを9つの人工的な地域の括りに分割し、その単位でRDAを設置するに至ったとの説明でした。イメージからすると、日本の道州制の経済開発分野の機能が、RDAにあるようです・・
そうですね。私は道州制導入の目的の一つとして、地域経済の振興を主張しています。例えば九州が道州になって、国への依存が少なくなれば、東京ではなくアジアを向いて経済活動を行うだろう、ということです。九州は、オランダ並みの経済力を持っています。既に、観光ではその動きが始まっています。韓国をはじめアジアの観光客が、別府の温泉に入り、阿蘇と桜島を見て、ゴルフをして、買い物をして帰る。企業誘致や販路拡大だって、東京だけを見るのでなく、アジアを相手にすべきです。距離的に近く、これから拡大する市場なのです。経済戦略を立てる際に、県単位では小さいのです。道州制なら、それぞれの地域が、ヨーロッパの中くらいの国々と同じくらいの、人口、面積、経済力があるのです。イギリスが、そのような戦略をとっているとは、知りませんでした。