今日から、日大大学院での授業が始まりました。初日から、学生さんも集まり、早速、授業を開始しました。今学期は、「公共経営論」です。市役所組織の経営だけでなく、地域社会の経営まで広げて、話をしようと考えています。
地方自治体の課題は、組織の課題と、地域の課題の二つがあります。前者は、行革であったり、NPM、組織と人の管理などです。後者は、不況と不安に悩む地域社会を、どのように活性化し安心な社会にするかです。市役所組織は、あくまでも住民生活を豊かにするための「手段」であって、地域社会の経営を考えないと、組織経営論だけでは狭いのです。「夕張市の経営」といった時に、市役所だけを考えていても、市域の活性化にはなりません。「国家経営」といった時には、国家行政組織(省庁組織)の経営ではなく、日本国・日本社会の経営を考えるでしょう。
実は、自治大学校の基本課程(幹部養成課程である第1部、第2部)は、公共政策(政策立案能力養成)と行政経営(組織管理能力養成)の2本柱からなっています。それと同じです。また、春学期に講義した、地域社会のリスクと行政組織のリスクの2つにも、対応しています。
春学期もそうでしたが、このテーマをまとまって話すのは初めてなので、準備が大変です。でも、自分の考えを整理するのには、良い機会です。
参加の院生さんたちに連絡です。今日使わなかった配付資料は、来週使うので、持ってきてください。
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学生の現場の声
今日の放課後に、入校中の女性学生さんたち(第1部第2部特別課程)と、懇談する機会がありました。私は最近、自治体現場から離れているので、このような生の声は、勉強になります。皆さん中堅どころになっておられ、また自治大に入校するくらいの優秀な方々です。約30人のパワーに、圧倒されました(失礼)。
私生活や家庭でも、いろいろとご苦労をされています。それはさておき、職場でのご苦労を聞きました。多かったのが、一つには、窓口でのクレーマー対応、執拗な苦情電話の対応、モンスターペアレントです。もう一つは、職場でのうつ病職員、コンプライアンス違反への対応です。おわびの記者会見設営のプロも、おられました。児童虐待、定住外国人特にその子どもたちへの支援など、地域の困難もありました。多くの人が、それぞれに苦労しておられます。
住民の多くは、根拠なき思いこみや、一部の不届き者をみて、「地方公務員は楽な職場だなあ」と思っておられます。そんなことはないのですがね。私たちのPR不足なのでしょうか。また、職場の恥は外に出したくない、苦労は言わないという美徳を、守っておられるのでしょうか。
自治大学校での授業も、これら「職場と地域の困難」に力を入れつつあります。法制度や知識を授けるだけでは、実践的幹部研修にならないと、私は考えています。
自治大学校、学生による評価
自治大学校では、教授たちの担当時間をもらって(削減してもらって)、私の講義を入れたりしているので、ますます忙しくなっています(自業自得)。しかし、自治大のカリキュラムを見渡すと、抜けている部分があって、どうしてもお話ししておきたいのです。
自治大でも、学生による講師の評価があります。消防大学校では5段階評価でしたが(2009年12月11日)、自治大は3段階評価です。といっても、学生の満足度や理解度を測ることに、違いはありません。また、ほかの講師と比較されることも、同じです。東大を始めとする一流の教授や研究者と、比べられるのです。
先月行った校長講話の、学生による評価が、報告されました。それを見ると、ほとんどの学生には、私の言いたいことが伝わっていて、ほっとしました(全員ではないことに、反省)。教育内容の水準を保つためには必要な評価ですが、しゃべる者にとっては、心臓に悪いですね(笑い)。
このほか、モニターテレビで、私の授業を見ていた教授たちから、「校長、今日の講話は、脱線が多かったですね」と批判されたり。「講話は、入校したばかりの学生に心構えを説くとともに、緊張を解いてもらうためだよ」と反論しました。講義は、そうはいきません。
日本大学2010年秋学期
2010年秋学期は、「公共経営論」です。
授業の内容
主に市役所を例に、「地域社会の経営」と「市役所組織の経営」を議論します。
「国家経営」が、行政機構(省庁)の管理だけではなく、国民の集合体としての国家を経営すること、豊かで安全な社会を発展させることを指すように、公共経営も地方自治体の組織を運営することだけではありません。社会は、政治システム、経済システム、社会システムの3つからなっていますが、経済システムと社会システムをうまくいくようにすることも、政治と行政の仕事です。
何を行政の課題とするかは、その時代と社会を反映しています。今、行政改革だけでなく、地域経営が議論になるのは、それが社会の課題であると認識されたからです。
講義では、これまでどのような課題が認識され、どのように取り組まれてきたか。また、これからの課題は何かを議論します。
授業計画
はじめに
1 講義の狙い
2 公共経営、2つの次元
3 公共とは何か
4 政治と行政の役割:3つのシステムの統合・経営
第1部 公共経営論の現在
第1章 今、なぜ議論されるのか
1 停滞する日本と地域
2 行政と日本社会の成功、その後に来た停滞
第2章 「日本の改革」:行政改革から社会の改革へ
1 行政改革の歴史
2 近年の改革の分類
3 行政改革から構造改革へ
第2部 自治体は地域を経営したか
第3章 市役所は「良い地域」を作っていたか
1 住みよい地域とは何か
2 地域の課題は何か
3 市役所はマチをつくってきたか
第4章 地域を経営する
1 住みよい地域をつくる主体
2 政府の役割
3 行政の役割の変化
第3部 市役所の経営
第5章 組織管理論から経営論へ
1 官と民のガバナンス論
2 行政改革の進化:スリム化から新公共管理論へ
3 社会の制度設計
第6章 市民の満足
1 市民の満足を得る成果(アウトカム)
2 市民を納得させる説明(アカウンタビリティ)
第7章 組織の管理
1 部門の管理
2 全体の管理と部分の管理
3 役所では経営と管理が行われているか
第8章 大きな政府と小さな政府
1 政府の大きさとは何か
2 大きな公共と小さな政府
授業の予定
シラバスに記載した内容を、少し順序を変えて講義します。
9月18日 はじめに
9月25日 第1章 今、なぜ議論されるのか
10月2日 第1章続き
10月9日 第2章 「日本の改革」
10月16日 第2章続き
10月23日 第2章続き、運営・管理と経営・統治との違い
10月30日 (大学院休み)
11月6日 第3章 市役所は「良い地域」をつくっていたか
11月13日 第4章 地域を経営する
11月20日 休講
11月27日 第4章続き
12月4日 第5章 組織管理論から経営論へ
12月11日 第5章続き
12月18日 第6章 市民の満足
1月15日 第7章 組織の管理、第8章 大きな政府と小さな政府
本間研究部長のブログ
自治大学校の幹部(と言ってもまだ若いのですが)に、本間奈々研究部長がいます。かつて、自治大で教授をしていたことがあり、この夏に、春日井市副市長から転勤してきました。
実名で、ブログをつくっています。ブログを読んでいただくとわかりますが、パワフルな女性です。担当業務や授業のほかに、自主ゼミ(読書会)を開講するとのことです。1日で30人の申し込みがあったと、うれしい悲鳴を上げています。その積極性といい、参加する学生といい、うれしいことですね。