カテゴリー別アーカイブ: 2017年春学期・地方自治論Ⅰ

慶應義塾大学、地方自治論第11回目

今日は、慶応大学で地方自治論、第11回の講義でした。
先週取り上げた議会と条例について、たくさんの質問をもらっていたので、それへの回答で半分時間を使いました。
例えば、「『地方公共団体は法令に違反してはならない』との定めがありますが、反した場合はありますか」。これは、いくつか実例を挙げて、解説しました。
「条例の効力は、区域内、住民だけに及ぶのか。参政権のない外国人にも及ぶのか」。良い質問ですね。時間があれば、最初にこれらを丁寧に説明すれば良いのですが、そうもいきません。すると、教科書を読んでもらい、授業ではポイントだけ説明して、残りは質問に答えることが効率的です。

条例論の延長で、自治体が先導した政策を説明しました。公害・環境、福祉、情報公開、景観行政などなど。多くはその後、国の施策になっていますが、定住外国人対策はまだ国の出足は鈍いようですね。
今回は、具体の事例を最新の情報にして資料を配布しました。整理してくれた小栁君、ありがとう。

学生諸君
授業で紹介した本は、近藤康史著『分解するイギリス―民主主義モデルの漂流』(2017年、ちくま新書)です。

慶應義塾大学、地方自治論第10回目

今日は、慶応大学で地方自治論、第10回の講義でした。
先週講義した議会について、学生の質問に答え、また新たに用意した資料(議会の活性化、都知事と都議会、杉並区議会だより)を配って、問題などを説明しました。ちょうど、都議選が始まり、また小池知事が最大会派の自民党と戦う構図を見せているので、学生には関心を持ってもらえました。
このように、教科書に書いていないこと、今現実に話題になっていることを取り上げると、講義の価値があります。もっとも、そのための準備が大変なのですが。

引き続き、「条例論」に入りました。

慶應義塾大学、地方自治論第9回目

今日は、慶応大学で地方自治論、第9回の講義でした。
最近は、授業の進め方が定着しました。学生はまず、準教科書に指定した本を読んでくる。授業では、ポイントと最近の動き、また教科書に書いていないことを解説する。事業の終わりに、学生が疑問などを提出する。翌週、私がその疑問に答える、です。
この方法は、学生の関心や疑問点が分かり、それについて解説することで、効果的な授業ができます。一つのテーマを、2週に分けて解説していることになります。

今日は、議会について解説しました。仕組みや役割などは、川崎市議会のホームページの資料を使って、説明しました。最近は、各市町村ともホームページが充実しているので、住民にわかりやすくなっています。そして、課題について話しました。議会は、住民の期待に応えているか。何をもって、それを評価するのか。
さらに、今話題になっている住民総会についてです。私は、小規模な町村議会は、平日の夕方や休日に開けば良いと考えています。また、町内会長などを活用できないかも。ヨーロッパでも、戦前日本でも、議員は名誉職でした。フルタイムで従事しなくても良いと思います。

学生諸君
私が見たヨーロッパの市町村議会については、次のページで見てください。2002年欧州探検記。イタリア・シエナ市、フランス、サン・タンニェス村、ドイツ、イッセブルグ市の議会についての聞き取り結果が載っています。もう15年も昔の話ですが。
ホームページの移植の不備で、イギリス、セント・オルバン市については、こちら(旧ホームページ)を見てください。こちらの方が、ページは整理されています。

慶應義塾大学、地方自治論第8回目

今日は、慶応大学で地方自治論の講義。先週は、学校の都合で授業はなし。今日が第8回目です。
いつものように、前回の学生から質問や指摘に答え、また6日の朝日新聞見学に関して補足説明から。
そして、今回から、市役所の仕組みに入りました。市役所がどのような仕事をしているか、どのような組織になっているか。地方公務員なら常識ですが、学生や一般人は知りません。それを説明している教科書も少ないでしょう。自家製の資料を用意して、学生に説明しました。

慶應義塾大学、地方自治論第7回目

今日は、慶応大学で地方自治論の講義。早いもので、もう第7回です。春学期の折り返しです。
そこで、私の授業計画の全体像と、現在どこを話しているかを確認しました。時々立ち止まって、今どのあたりにいるかを確認することは、歩いているとき、仕事をしているとき、本を読んでいるときも重要なことです。

前回の質問への回答として、直営、民間委託、公設民営(上下分離、コンセッション)、分社化(第3セクター)、民営化、民間開放などの違いを説明しました。鉄道、空港でもさまざまな形態が取られていることを、知ってもらいました。
また、行政が行っている事務でも、多くのものが民間委託などが可能であること、例えば駐車違反取り締まり、刑務所の運営などにも導入されていることも。生活に必須のライフライン(上下水道、電気、ガス、通信など)も、多くは民間が担っています。
すると、官が行うのか民が行うのかより、民が行うとして、どのようにして効率化と質の確保をするかが、課題となります。

分権議論でも、ちょうど自治体がハローワークを行えるようになったことを、資料や新聞記事で説明しました。これまで自治体が要望したのに分権が進まなかったのは、「国が統一的に行わなければならない」という理屈です。でも、戸籍の受付や生活保護も自治体が担っています。自治体が基準に沿った職業紹介をできないとは思えないのですが。誰が実行するかと、どのようにして質を担保するかは、別の議論です。

学生諸君への連絡
来週6月2日は、学事日程での補講日です。地方自治論の授業は行いません。