12日の朝日新聞は、「赤字減らし加速へ」として、全国首長アンケートを報告していました。今回のテーマは、財政健全化です。
夕張市の財政破綻が財政運営見直しのきっかけになったという首長が、4割です。新しい地方自治体財政健全化法を評価する首長は約半数です。病院会計、国民健康保険などについての解説もあります。時宜を得たアンケートと解説です。
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地方行財政-地方財政改革
国が決める地方税制
今日、福田総理と石原都知事が会談し、都の税収を暫定的に他の県に配分することを、条件付きで同意したと報道されています。ここに見えるのは、地方税制が、国によって決められているということです。
もちろん、日本は単一国家であり、連邦制ではありません。国とは別に、地方が完全に独自に税制を決めることは、現実的ではありません。しかし、都知事が発言していたように、国が一方的に決めることが、分権の姿から適切なものか、疑問があります。今回は総理と都知事が会談しましたが、これは珍しいことです。初めてのことではないでしょうか。
私は、地方税制改正に際しては、地方団体の代表の意見を聞く場を作るべきだと考えています。地方税は国庫補助金と違い、地方の本来の収入なのですから。
これに関連して、大臣と知事との会議の様子を、思い出しました。政府主催の知事会議です。議事録を見ると、税財政・医療福祉・教育・道路などに関して、意見が交わされています。そしてその多くは、知事から大臣への「お願い」になっています。
日本語では、対等の場合や上の者が下の者に対しても「お願い」を使う場合がありますから、文脈をよく読まないと陳情なのか依頼なのか、わかりません。しかし、依頼にしろ陳情にしろ、知事が自らの責任で処理をできない、あるいはできないと考えておられるようです。これに対し、連邦制のアメリカでは、州知事は滅多にワシントンに行かないのだそうです。
国庫補助金の状況
2007.11.26
24日の読売新聞で、森洋二記者が「地方法人2税見直し、知事会意見集約できず。地域格差是正へ独自案必要」を解説しておられました。
税源交換
国と地方の税源交換について、「税源交換と交付税財源との関係は、どうなるのですか」との質問をいただきました。
税源交換に厳密な定義はありませんが、私は次のように考えています。
1 地方税と国税を交換する。例えば法人2税と法人税を交換する。
2 その際に、地方交付税財源を交換する場合が、「交付税財源を使った税源交換」です。
例えば、5月25日諮問会議民間議員ペーパー「地方税財政改革による自治の確立」の「原則2、矢じりの2つめ」には、この二つが書き分けられています。今回の総務大臣提案は、このうち、「2 交付税財源を使った税源交換」です。この場合は、各税目でも国の取り分に影響しません。
もし、さらに消費税を使って税源交換をするなら、残る交付税財源の消費税は0.5兆円と少なくなっていますので、次は交付税財源でない税源交換になります。
3 もう一つ、同じ税目での税源交換があります。三位一体改革で、3兆円の所得税から住民税への税源移転を行いました。実は、この際に、住民税を累進税率から一定税率(比例税)にしました。所得の低い階層では3.4兆円の国への移譲、所得の高い階層では0.4兆円の地方から国への移譲を行ったのです。0.4兆円は税源交換だったのです。
「地方財政の将来」神野直彦編『三位一体改革と地方税財政-到達点と今後の課題』(2006年11月、学陽書房)p206か、「今後の課題と展望」『三位一体の改革と将来像』(ぎょうせい、2007年5月)p86をご覧ください。