カテゴリーアーカイブ:行政

社会保障

2005年4月19日   岡本全勝

17日の朝日新聞は、「シリーズ社会保障-選択の時」で、医療・介護・年金の3保険について、世代間の収支(保険料と受け取るサービスの比較)を解説していました。
簡単に言うと、「高齢者は得、若者は損をする」です。理由は、記事にも指摘してありましたが、
①少子高齢化=今の仕組みは、現役世代が払う保険料で高齢者を支える仕組みなので、少子高齢化で若者からの「仕送り」が増える。
②支給額に見合った保険料を取っていないこと、の2つです。
今や、階級対立やイデオロギー対立がなくなった社会と言われます。私は、世代間対立は、今後の日本の社会対立・政治的亀裂の一つになると思っています。
「私の給料は孫が払っている」(拙著p115)は、国と地方の予算について述べた私の「名言」ですが、保険においても、今の日本人はひどいことをやってます。

社会を作る

2005年4月19日   岡本全勝
16日に内閣府が、「裁判員制度に関する世論調査」を発表しました(17日朝刊各紙)。
裁判員制度は、一般市民が刑事裁判に参加して、裁判官と一緒に、被告人が有罪かどうかなどを決める制度です。
調査では、参加したくないが70%、参加したいが26%でした。また、参加したくないの理由は、有罪・無罪の判断が難しそうが47%、人を裁きたくないが46%のほか、裁判や事件にかかわりたくないが24%でした。
まだ国民に知られていない制度ですが、「面倒なことは関わりたくない」という意識が、明白に出ていますね。私が批判している「戦後日本のお任せ民主主義」(「新地方自治入門」p262など)の、一つの帰結です。社会は、みんながつくらないとできないのです。天や外国、あるいは官僚が与えてくれるモノではありません(拙著p309)。

自治体を経営する

2005年4月11日   岡本全勝

11日の日本経済新聞1面連載「平成の開国」第4部3は、「国を飛び越える-架け橋、自治体から」を載せていました。三位一体改革で地方に権限が移ること、そして首長が「自治体を経営する」という発想に立てば、国の指示を待たずに地方から経済外交が進み、地域での外国人教育も変わるという実例と主張です。
拙著「新地方自治入門」第6章では、自治体が取り組むべき課題は、これまでのように国から降りてくるのではなく、地域から起こることを述べました。
ところで、そこでは、地域社会の機能を説明するために、スウェーデンの中学教科書を紹介しました(p175)。「あなた自身の社会」です。先日、皇太子様が詩を引用されたのは、この本です。
読売新聞1面の連載「家族第2部成熟社会のきずな」は、10日が第6回でした。そこでは、国民の意識が『ものの豊かさ』 から『心の豊かさ』に重心を移していることを述べています。これについては、拙著p158で述べてあります。

政治と経済

2005年4月10日   岡本全勝

佐々木毅東大学長が、日本経済新聞「やさしい経済学」に「市場と国家と政治」を連載しておられます。(3月21日)

(幸せ)
朝日新聞で、3日から連載「幸せ大国をめざしてー未来を選ぶ」が始まりました。第1回は、「時代遅れの成長志向、豊かさ映さぬGDP」です。(拙著「新地方自治入門」p161~、p328~参照)。
同じく3日付で「選択のときー年収の4割負担できますか」を解説していました。年金負担や税負担が上がることです。また、経済同友会も歳出削減の上、消費税の増税を提言しました。前にも書きましたが、よく時代劇にでてくる「お上が増税して庶民が泣く」といった絵ではなく、「国民が増税を提言して、政府が先送りする」という不思議な構図になっています。(4月3日、4日)

10日の朝日新聞は、連載「幸せ大国をめざしてー未来を選ぶ」の第2回「消費は美徳か、モノよりゆとり6割」を、「選択のとき」は「消費税20%耐えられますか」を載せていました。

日本の魅力力

2005年4月4日   岡本全勝

浜野保樹著「模倣される日本-映画、アニメから料理、ファッションまで」(祥伝社新書2005年3月)が面白いです。かつては中国、近いところではヨーロッパやアメリカを模倣し続けた日本が、いろんな分野で模倣される対象となったことを解説しています。
日本のアニメが世界を席巻していること、フランスで一番有名な日本人は鳥山明(漫画ドラゴンボールの作者)であること、すしが欧米で珍しくなくなったこと、台湾での「ハーリー族」などが紹介されています。「デザイナーの成功は、市場に出回っている海賊版の数によって測られてもいる」には、なるほどと思います。
日本が世界の生活文化に貢献したのは3つ=インスタントラーメン、カラオケ、テレビゲームだけだ、と聞いたことがあります。
GDPならぬ「グロス・ナショナル・クール」=国のかっこよさ度は、ソフトパワー(拙著「新地方自治入門」p264参照)です。パリを芸術の都としてあこがれること、アメリカ流の生活をあこがれること。これらに対し、日本はどのような「文化戦略」を講じるべきでしょうか。
「官僚は着物を着て出勤しないのか」とか「首相がなぜ外国メーカーのマークの付いた帽子をかぶってゴルフをするのか」も、考えさせられます。