「行政」カテゴリーアーカイブ

行政

新しい仕事48

(祝プラン決定)
昨日、再チャレンジ会議で「再チャレンジ支援総合プラン」を決定し、今朝、関係閣僚会合を開いて了承いただき、公表しました。プランは、本文行動計画(各省の施策、237項目)、関係する法律改正案、関係予算からなっています。簡単には、説明資料をご覧ください。
(施策の全体像と手法)
このプランは、政府が取り組む施策を網羅してあります。その際には、対象となる人にきめ細かな対策をうち、障害となっている既存制度を改正します。また、予算や制度改正だけでは達成できないことも多く、社会意識や慣行を見直すことも必要です。
(3つの対象と目指す目的)
特色は、対象者を大きく3つに分類したことです。一つは、フリーターやニート、非正規労働者など長期デフレによる被害者です。二つめは、デフレの被害者ではありませんが、不平等でな扱いを受けている人です。子育て女性、障害者、母子家庭の子供など。これは日本社会が持つ問題です。この人たちには、機会の均等化を目指します。三つ目は、障害はなく、これからもう一花咲かせようという人たちです。退職する団塊世代などです。この人たちには、複線型社会を目指します。「再チャレンジは漠然としていてわかりにくい」との批判も多かったので、制約条件によって、この3つに分けました。それによって、目指す目的も明確になったと思います。
(目標数値)
もう一つの特色は、できるだけ数値目標を掲げたことです。フリーターを2割削減する、女性の労働力人口を25万人増やす、60歳以上の労働力人口を160万人増やすなどです。また、これら社会数値目標(成果)の他に、各施策でも利用率などの数値目標(産出量)を掲げました。例えば試行雇用事業では、常用雇用移行率を8割以上にするとかです。大きな成果目標数値に向かって、それぞれの施策が産出目標を達成するようにがんばるということです。そして、その産出目標は数字ですから、毎年度達成度を測ることができます。このような政府の大きな施策で、ここまで数値目標を掲げているのは、珍しいと思います。
まずは2か月で、ここまで来ることができました。関係者に感謝します。このあと、各省ではこれら施策を実行してもらいますが、私たち対策室では、国民に広く理解してもらうことが必要です。

これからの見通し

日経新聞「経済教室」は、12月15日から20日まで「日本の統治改革、小泉後に向けて」を連載していました。青木昌彦教授は「首相主導、流れは戻らず」「社会の変化と連動。促進へ野党の役割重要に」、岡崎哲二教授は「首相・無任所相で新機関を」「基本政策に決定権。明治以降の縦割りと決別」、朝比奈一郎補佐と木村伸吾補佐は「霞ヶ関、構造改革が急務」「官邸に統括本部を。キャリア廃止で人事も刷新」、北坂真一教授は「官の調査機能、国会に移せ」「政の政策立案促進。審議会は内閣に集約を」を主張しておられました。
こうして、政治改革、特に政治主導のあり方が、具体的に議論されることは喜ばしいことです。これまでは、幅広いが抽象的な議論や、逆に個別だが一貫性のない議論が目立ちました。「どうせ実現しないだろう」という、無力感もありました。そして議論はかみ合わず、建設的な蓄積もなされませんでした。現に、適当な教科書がないのです。
官僚主導・旧来型自民党政治が行き詰まり、国民多くがそれを実感したこと、そして小泉政治を見て「変えれば変えられるんだ」と思えるようになったからでしょう。おかしいと思っていても、社会がそれなりにうまく回っているときには改革はできず、改革とは危機の時代にしかできないのでしょうね。

新しい仕事32

再チャレンジ寄付金優遇税制を、創設することになりました。再チャレンジ支援の事業を実施する民間企業に対する寄附(直接型)と、再チャレンジ支援の事業を実施する民間企業等に対して、助成を行う公益法人に対する寄付(間接型)の2種類です。このうち、公益法人への寄付についての優遇税制の仕組みは今でもありますが、直接型は初めてです。
「日本には寄付文化がないので、そんな寄付をする人がいるのかね」という指摘もあります。その通りだと思いますが、この税制はそれを変えるために=日本に寄付文化を広めるための口火になることを願っています。
初めてのことなので、ここにこぎ着けるまでには、多くの人の協力を得ました。ありがとうございました。まだ、政府での方針と与党の了解を得た段階で、これから法律改正が必要です。西脇君、ご苦労さん。(12月22日)
このHPで、22日に再チャレンジ寄付金優遇税制を書きました。早速、指摘を受けました。もっと他にも、苦労している職員がいる。その人達にも、感謝せよと。すみません。内閣官房構造改革特区推進室・地域再生推進室の小林補佐、飯島君、白垣君、ありがとう。これでいいかな、井上君。

新しい仕事31

22日の日経新聞は「進化する北欧モデル」として、高福祉・高負担のスウェーデンが、一方で規制改革で競争を促していることを紹介していました。企業が解雇しやすい代わりに採用もしやすく、転職が自由だとのことです。会社に職業訓練を義務づけ、職業紹介を民間に開放したりしています。

政治主導・党との関係

このHPでも何度か取り上げていますが、政治主導には、政治家が官僚に代わって主導することと、内閣が党の政治家を主導することの、2つの局面があります。前者がよく言われますが、後者もまた重要なことです。
後者については、政治家がめいめい勝手に官庁(行政)に口を挟むのではないことと、党が内閣とは別に方針を立てることを止めることの、2つがあります。政治家がめいめい口を挟むのは「政治家主導」、内閣とは別に党が方針を立てることは「二元政治」です。
最近は、この面でも変化が生じています。昨日書いた、与党の事前承認を廃止しようとする動き、総務会の決定を全員一致でなく多数決にすること、与党調査会の力を削ぐことなどは、これに当たります。
このほか、予算編成や税制改正での、族議員の低下や調査会の力の低下が伝えられています。
15日の日経新聞夕刊は、「永田町インサイド」で「予算編成、官邸が主導」「熱き折衝、今は昔。族議員、活躍の場減る」を大きく書いていました。「永田町・霞ヶ関で年末の最大イベントといえば、予算案の編成だ。かつては予算獲得に奔走する自民党族議員と、応援する関係省庁・団体、地元の支持組織などが入り乱れ、異様な熱気をはらんだ。しかし、そうした光景も今や昔。復活折衝などの儀式は残るものの、官邸主導で淡々と調整が進むパターンが定着しつつある」。
11月30日の東京新聞は、「自民税調、様変わり」「出席者まばら。強力官邸、部会ひっそり」を書いていました。
また、12月17日の日経新聞は、「税調会長自ら税調批判」を書いていました。「自民党の柳沢伯夫税制調査会長は16日、党本部で開いた新人議員勉強会で、自民党税調が主導権を握る税制改正のあり方に疑問を投げかけた」
「柳沢氏は『英国の税制改正は財務相の専権事項だ。日本では財務相が税制改正にかかわっていないことは、皆が知っている。めちゃくちゃな国だ』と強調。『(政府との関係を)直さなければいけない。税調幹部は怒るかもしれないが、私の方が絶対に正論だ』と持論を展開した」。
その通りだと思います。これまで、予算編成で族議員が活躍できたこと、また財務大臣を抜きに党税調が税制を決めることができたのは、利益の配分だったからです。