11月17日の朝日新聞オピニオン欄、ロバート・ゼーリック元世界銀行総裁のインタビュー「米中の共存共栄は幻か」から
・・・「習近平体制下で中国が圧制の傾向を強めたことは確かです。国家主席に就任した習氏は、『最優先事項は何ですか』と尋ねた私に『8668万人の共産党員です』と答えました。1949年の建国以来変わらず共産党は人民の『前衛』として指導する立場にあり、その強化が最優先だ――。そんな彼の本心が伝わってきました」・・・
11月17日の朝日新聞オピニオン欄、ロバート・ゼーリック元世界銀行総裁のインタビュー「米中の共存共栄は幻か」から
・・・「習近平体制下で中国が圧制の傾向を強めたことは確かです。国家主席に就任した習氏は、『最優先事項は何ですか』と尋ねた私に『8668万人の共産党員です』と答えました。1949年の建国以来変わらず共産党は人民の『前衛』として指導する立場にあり、その強化が最優先だ――。そんな彼の本心が伝わってきました」・・・
日経新聞私の履歴書、11月は、化粧品のファンケル会長、池森賢二さんです。ご苦労なさった人生を書いておられますが、きょう紹介するのは、役所の対応です。どうやら、無添加化粧品の評判を気にした同業者が、行政を使って嫌がらせをしたようです。
11月14日「小瓶革命」
・・・人気がうなぎ登りとはいえ、世間的な認知度はまだまだ低い。当然様々な妨害行為や理不尽な目に遭う。1985年、厚生省の薬務課の職員が「おたくの会社は製造年月日を入れているようだが、インチキだという連絡があった。確かめさせてもらう」と言ってきた。ライバルからの嫌がらせだろう。
千葉県流山市の工場に調べが入り、説明した。化粧品は製造した原料をタルクという容器に保管し、3日後に瓶詰めにする。ファンケルではタルクに保管した日を製造年月日としていたら担当者は「製造年月日は瓶詰めの日で構わない」と話す。インチキどころか、良心的だったわけだ。この話はこれで終わった。
当時の神奈川県の薬務課の対応にも手を焼いた。「無添加とは何か」と聞いてくるので、「防腐剤などが入っていない化粧品です」と答えると「既存の商品は規制をクリアしている。ファンケルは我々のやり方にケチを付けるのか」などと因縁を付けてくる。そして「無添加」という言葉を使うなともいう。
そこで「新鮮作りたて」はどうかと聞くと、「それならいいだろう」という。別の担当者に変わると「新鮮というのは意味が不明確だから無添加ならいい」というので再び無添加に戻した。初めての商品とはそういう目に遭うのかもしれないが、余りにひどい。すると今度はチラシにもご指導が入る。とにかく県庁までチラシをもってこいという・・・
11月15日「行政指導と反社」
・・・神奈川県の薬務課からお呼び出しがかかった。担当者にチラシを見せると「この表現はおかしい」「あの表現もダメ」とダメ出しを食らう。何度足を運んでもOKが出ない。しまいには「1文字も書くな」などと怒られる。チラシを出すことさえ、許されない状況に追い込まれた。
しょぼくれてエレベーターに乗ると同じ薬務課の人が乗ってきてくれて「大変だね。チラシがうまくいくヒントを教えましょうか」と言ってくる。何かと聞くと・・・
どのようにして、このとんでもない行政指導を切り抜けるか。続き原文をお読みください。公務員の皆さん、他山の石としてください。
11月4日の日経新聞オピニオン欄、ジャナン・ガネシュ (ファイナンシャルタイムズ、USポリティカル・コメンテーター)の「移民と福祉は二律背反か」から。
・・・カナダは外国生まれの国民の割合が約20%と米国より高い。それでいて国民皆保険制度もジニ係数でドイツ並みの所得分配も実現している。選挙では有権者の多くが所得再分配を掲げる政党に投票し、最大野党・保守党もあからさまな移民批判は控えた。
カナダのような国籍・民族にとらわれないコスモポリタンな社会民主主義は現実的でないという指摘をよく耳にするようになった。欧米で近年、左派が憂き目をみているのは移民と福祉が並立しないからだとされる。市民は互いの共通項が減れば、暮らしを支え合おうとはしなくなるという理屈だ。
経済協力開発機構(OECD)の加盟国中、租税負担率が最も高いのがフランスだ。しかしフランスを閉鎖的だと思う人はいない。スウェーデンとデンマークは移民の増加で社会保障サービスが以前ほど手厚くなくなったが、福祉国家の旗は降ろしていない。国民の25%以上が外国生まれのオーストラリアは、米民主党がうらやむような公共サービスを備えている・・・
10月31日の日経新聞経済教室、林知更・東京大学教授の「改憲論議の視点 冷静なエンジニアの目を」から。
・・・第三に、条文と運用の両面から憲法のメカニズムを考える場合、諸国の憲法は20世紀に大きな構造変動を経験している。これを家にたとえれば「平屋」から「2階建て」への変化と整理することができる。憲法の古典的な課題は、「物事を政治的に決める仕組み」をいかに整えるかであり、統治機構の編成こそは憲法の中核をなす。
20世紀の憲法はこの上に新たな階層を付け加えた。
それは「行われた決定を事後的に検証する仕組み」であり、違憲審査制がそれである。政治的決定はしばしば、時間的な制約の下で、一定の政治的目的を実現するために行われる。違憲審査制はこれを、憲法の定める長期的な国の基本原理に合致するか否かという観点から改めて審査する。
この仕組みの導入は、多くの国々で全体としての統治の質を高める上で重要な意味を持ったと考えられる。現代憲法がこのような構造を持つとすれば、日本の憲法の問題点を検証する際も、1階と2階それぞれの課題を区別して論じなければならないはずである。
特に、日本の違憲審査制がこの点で大きな問題を抱えていることは学界の共通認識に属しており、この論点を無視した憲法論議は考えられない。憲法を平屋構造で捉え、この事後的コントロールの問題を十分に顧慮しない改憲論は、現代憲法の基本的な水準に到達していない・・・
納得します。
憲法が作られるときは、新しい政治体制ができて、理想とする政治の仕組みや社会のあり方を宣言します。その後、時代の変化によって条文を修正したり(日本では解釈を変えることで対応してきましたが)、政治体制が変わって憲法そのものを取り替えます。
しかし、林先生が指摘しているように、宣言したあと、次に「書き換える」という過程の前に、「運用を検証する」が必要ですよね。すると、「宣言する。検証する。書き換える」という過程になるのでしょう。
11月4日の日経新聞オピニオン欄に、芹川 洋一・論説フェローが「今ふたたびの大平研究会 望まれる長い目の政治」を書いておられました。
大平正芳総理は、総理に就任すると民間有識者による政策研究会をつくり、合計9つの長期的な政策を議論し、提言をまとめました。田園都市、環太平洋、家庭基盤、総合安保、文化の時代などです。
この研究会が活動した頃、私は官僚になったばかりでした。
学生時代に、月刊誌『諸君』が、硬派の議論を展開して多くの支持を得ていました。それまでの論壇は、月刊誌『世界』に代表される、理想主義的左派の議論が主流でした。それに対し、より現実的な議論、日本のあるべき論でした。
大平研究会の主題が現在、重要な課題になっていることに、改めて驚きます。
中長期的な課題を取り上げ、それを議論する。その方向を国民に示し、政策を実行することも、政治の重要な任務です。選挙の際のマニフェスト(選挙公約)も重要ですが(最近、はやらなくなりました)、もっと長期の課題と対策です。
沿岸部を航海するときは、岸を見ながら船を進めればよいですが、大洋を航海するときは海図が必要です。