移民を受け入れ福祉も充実している国

11月4日の日経新聞オピニオン欄、ジャナン・ガネシュ (ファイナンシャルタイムズ、USポリティカル・コメンテーター)の「移民と福祉は二律背反か」から。

・・・カナダは外国生まれの国民の割合が約20%と米国より高い。それでいて国民皆保険制度もジニ係数でドイツ並みの所得分配も実現している。選挙では有権者の多くが所得再分配を掲げる政党に投票し、最大野党・保守党もあからさまな移民批判は控えた。
カナダのような国籍・民族にとらわれないコスモポリタンな社会民主主義は現実的でないという指摘をよく耳にするようになった。欧米で近年、左派が憂き目をみているのは移民と福祉が並立しないからだとされる。市民は互いの共通項が減れば、暮らしを支え合おうとはしなくなるという理屈だ。

経済協力開発機構(OECD)の加盟国中、租税負担率が最も高いのがフランスだ。しかしフランスを閉鎖的だと思う人はいない。スウェーデンとデンマークは移民の増加で社会保障サービスが以前ほど手厚くなくなったが、福祉国家の旗は降ろしていない。国民の25%以上が外国生まれのオーストラリアは、米民主党がうらやむような公共サービスを備えている・・・