11日の朝日新聞「舟橋洋一が聞く」は、シンガポールのリー・クアンユー元首相へのインタビューでした。リー首相は、ルック・イーストを掲げ、日本をお手本として国家の発展を進めた方です。アジアの指導者が、日本と世界の将来、そして日本がなすべきことを、どう考えているかを知ることは、大切なことだと思います。もちろん、外国人の話を盲目的にありがたがることは、私は反対です。しかし、外国の有識者の厳しい意見にも、耳を傾けるべきでしょう。
その点で、日本人は、日本人論が好きだという説があります。私は、「これまでの外国人による日本評、あるいは日本人による日本人論は、日本をほめて欲しい、日本だけが特殊だという説を補強するために利用されることが多かった」と考えています。アジア各国が経済的にテイクオフしない時、「日本だけが非白人国で経済発展に成功した」とほめて欲しかったのです。それは、日本人の自意識をくすぐります。だからこそ本が売れるのです。たぶん、これまで流行ったほどには、今後は日本人論は流行らないと思います。悲観論は流行るでしょうが、それは売れませんよね、よほど自虐的でないと。
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〈私〉時代のデモクラシー
2つの公私二元論
そして、この公私二元論が、国家が市場経済に介入しない論理的基礎となり、また家庭に介入しない論理的基礎になったと主張するのです。その理論が、経済的強者と夫の地位を守ることになり、弱者である労働者と妻の不平等を放置したこと。その後の歴史は、国家が市場に介入することになり、さらに家庭にも介入することになったことを、パラレルに論じます。
リスク対策が生む新しいリスク
16日の朝日新聞オピニオン欄は、「監視カメラ社会」でした(遅くなって、すみません)。
映画監督の森達也さんは、殺人事件や刑事犯罪全体が減っていて、日本の治安は悪化していないこと。監視カメラは犯人検挙に多少は役に立つが、防犯効果は疑問であること。それに対し、過剰なセキュリティー意識がもたらす副作用として、逆に人々に不安をあおり、集団に逆らう因子を排除する傾向を激しくすることを、指摘しておられます。排除と厳罰化によってリスクを排除しているつもりが、逆に新たなリスクを生み出してしまうのです。
一方、前田雅英教授は、治安は着実に良くなっていること。防犯カメラは犯罪予防効果があり捜査にも役立つこと。世論調査では9割の人がカメラ設置に賛成していることを、指摘しておられます。問題は、どのような場所に、どのような形でカメラをつけるか。得られた情報を、どう管理するかです。すなわち、プライバシーの侵害です。それは、警察や役所がつける防犯カメラより、民間が設置するカメラで起きる危険性が高いこと。官のカメラには設置場所や方法、情報管理に関する法規やガイドラインがあるケースが多いが、民のカメラでは遅れていると、指摘しておられます。
リスクを軽減するために取る対策が、新しいリスクを生むジレンマです。これは、監視カメラだけでなく、いろんな局面で出てきます。この春の大学院での、講義のテーマの一つです。
東京は世界からどう見られているか
ニューヨークで発表された、世界大都市比較を、ニューヨーク在住の植田君に教えてもらいました。ニューヨーク市に立地する大手企業団体(NY市・州へ企業の立場で提言をする団体)であるPartnership for New York Cityが、大手会計事務所のPWCと一緒に発表した「世界の都市力比較調査」です。世界主要21都市について、都市を活性化する指標を、10領域58指数選んで比較しています。
それによると、東京は、10の領域のうち、「交通・インフラ」が21都市中トップとなり、「健康・安全・治安」が2位、「知的資本」が3位、「テクノロジー知能指数・技術革新」が3位です。東京は、ニューヨーク、ロンドン、パリと並ぶ、経済面での主要都市です。
一方、「産業・生活のコスト」の面では最下位、「人口構成・居住適性」では下から6番目です。このほか、エンターテイメント、旅行、ファッション、食ビジネスの充実度を示す「ライフスタイル関連資産」は、香港やシンガポールにも負けて7位。「持続可能性」の面では、資源のリサイクルや都市の緑化の面で遅れをとり、9位、「ビジネスのしやすさ」では10位、「世界のマーケットへの影響力や投資の誘致, 成長の促進」は11位です。詳しくは、原文または日本語発表をお読みください。