5月27日の読売新聞に「[戦後80年 昭和百年]町内会 維持へ試行錯誤」が載っていました。「地域運営組織」の続きにもなります。
・・・人口減や価値観の変化で地域コミュニティーの中心であった町内会も変革を迫られている。
タワーマンションが立ち並ぶ川崎市・武蔵小杉駅近くの「小杉町3丁目町会」は3月末、役員の高齢化などを理由に解散した。会長を務めた五十嵐俊男さん(82)は「自分たちが元気なうちに整理しよう」と決めたという。
周辺はかつて工場や個人が営む商店が集まり、40~50年前は町会に850世帯ほどが加入していた。祭りや餅つきを企画し、野球部の活動などを通じて住民が親睦を深めた。
バブル経済の崩壊後、工場が移転した跡地に超高層マンションの建設が相次いだ。一帯の再開発で住民の多くは転出するかマンションへ入居し、町会は加入世帯が半減、コロナ禍以降は地域の清掃や防犯パトロールをやめた・・・」
・・・総務省によると、町内会や自治会などは23年4月時点で全国に約29万5000ある。同省の調査では、600市区町村の20年度の加入率は71・7%と、10年度に比べて6ポイント余り低下していた。東京都内では40%を切る区もある。
国や自治体は町内会の維持を後押ししている。公共サービスを補う役割を期待するからだ。
一般財団法人「地方自治研究機構」によると、加入や維持などを主眼にした条例のある自治体は3月現在、30以上ある。4月に条例を施行した宇都宮市は活性化や防災力向上のための事業向けに補助金を交付し、地域社会への関心を高めてもらうイベントも開催する。
不動産業界と連携して売買・賃貸契約時に加入を呼びかけたり、加入率向上や負担軽減に関する業務にあたる「地域おこし協力隊」を募集したりする自治体もある。愛知県刈谷市などは、デジタル化を推進する自治会に対して補助金を交付する。
総務省も、市町村による加入促進の支援経費などについて地方交付税措置を講じている。
国などは、町内会を補完しつつ、住民自治を充実させる「地域運営組織」という仕組みに注目している。小学校区程度の範囲で、町内会やPTA、消防団などが参画し地域課題に対応する。893市区町村に8193団体(昨年度)ある・・・