カテゴリーアーカイブ:再チャレンジ

イギリス、お金をかけず社会で子育て

2023年2月14日   岡本全勝

日経新聞夕刊連載「人間発見」、1月30日からは、認定NPO法人キッズドア理事長 渡辺由美子さんの「学ぶ機会の平等を」でした。東日本大震災では、無料で学習指導をしてくださいました。

2月1日は、2001年から1年間英国で暮らした経験です。
「お金をかけず社会で子どもを育てることの大切さを学んだ」
長男は日本では保育園の年長でしたが、英国では小学1年生。何か準備するものはあるかと問い合わせたら、何もないと言われました。筆記用具も教科書も学校側が用意してくれます。英語ができない息子のために半年間、同級生の保護者を補助員として雇ってもくれました。
学校で必要な教材や備品はバザーや寄付でそろいます。子育てにお金がかからないと感じました。そのバザーも経済的に厳しい家は出さなくても構わない。全ての家庭に等しく負担を求める日本とは異なります。

通った小学校は授業中に落ち着かないとペナルティーがたまる仕組みでした。週3回廊下に立たされると翌週は昼休みなどが没収され、先生と反省部屋にいきます。ある日、お迎えに行くと長男のクラスメートのベンが駆け寄ってきました。
彼いわく、長男は「すでに今週2回立たされていて、次に注意されたら大変だ。明日は木曜日だからあと2日頑張れと本人に言っているのだが彼は英語がわからないから伝わらない。ぜひ、お母さんから伝えてほしい」――。友達を守ろうと小さな男の子が勇気を出して伝えてくれたのです。周りに温かく見守っていただき、なんとか1年を過ごすことができました。

帰国して買ったランドセルは5万円。やれ鍵盤ハーモニカだなんだとお金がかかる。夫婦の両親から服やゲームもどんどん与えられますし、周りが通っていると聞けば水泳教室にも通わせてあげたい。「子どもがマーケットにされている」と感じました。
息子たちは都内の公立小学校に入学しました。クラスでちょっとしたいじめがあり、どうすればいいのか親しいママ友に相談すると「絶対巻き込まれないよう、子どもに伝えた」というのです。クラス全体より自分の子を大事にするのが日本のスタンダードなんだと、英国との違いに気づきました。

学童保育の重要性

2023年2月10日   岡本全勝

1月30日の読売新聞が、「学童保育の課題 学童 減らない待機児童 1万5000人 居場所作り不可欠」を書いていました。

・・・共働き家庭などの小学生が、放課後の時間を過ごす学童保育(放課後児童クラブ)。新型コロナウイルス下で減った待機児童の数が、経済社会活動が元に戻りつつある中で、再び増加している。自治体は待機児童解消に向けた取り組みを進めている。

「保育園落ちた」という匿名のブログが話題になってから7年。近年は、公立の学童保育の申し込み結果が出る2月頃になると、SNSに「#学童落ちた」の言葉が並ぶ。
フルタイムで勤務する女性の増加などから学童へのニーズが高まっている一方で、待機児童数は高止まりしている。保護者の勤務状況や子どもの学年などの状況から預かりの可否が決められることも多く、枠が足りずに利用できない人もいる・・・

・・・待機児童の解消には、受け皿拡大とともに専門性のある職員の確保も不可欠だ。しかし待遇の低さなどで離職が後を絶たないのが現状だ。
学童の職員には、保育士や社会福祉士の資格があるなどの条件を満たし、都道府県の研修を受けた「放課後児童支援員」がいるが、基準を満たした職員を確保するのは難しく、学生アルバイトなど非常勤も多い。
全国学童保育連絡協議会が2014年に実施した、学童の正規・非正規の職員を対象とした実態調査によると、週5日以上勤務する職員の46.2%が年収150万円未満だった。半数は勤続年数が1〜3年で、安定した生活を見込めずに離職するケースも多いと指摘されている・・・

新型コロナの感染が広がった頃、保育園、幼稚園、小学校とともに、学童保育が閉鎖され、共働きや一人親が働きに行けなくなるという事態が生じました。学童も子育て中の親にとっては必須の施設です。ところが、保育園や学校に比べ、学童保育は法律や制度の整備が不十分です。
児童福祉法で、市町村の実施責任を定めているのみで、詳細は設備運営基準(や運営指針)が国による参酌基準として定められ、具体的には市町村条例等に委ねられているようです。保育園や幼稚園並みの位置づけが必要でしょう。

10代に教える社会保障の利用法

2023年2月6日   岡本全勝

1月27日の朝日新聞生活面に「困った時の社会保障、10代目線で紹介 社会福祉士・横山北斗さんが本出版」が載っていました。

・・・人生のピンチに使える公的な支援制度は、実はたくさんある。でも、その存在を知らなければ、利用できない。10代の若者に社会保障をもっと知ってもらいたい。そんな願いを込めた本が出版された・・・

・・・「ケガで仕事を休まなくてはならず、医療費と生活費に困った20代のユウジ」
「高校生で妊娠し、生活に困ったマミ」
「母は昼夜のダブルワーク、祖母と弟の世話をしなければならない中学生のサクラ」
中心になるのは、様々な事情で苦境に陥った人のストーリーだ。それぞれが、医療支援や子育て支援などの社会保障制度につながり、暮らしを安定させていく。その過程が、若い世代が感情移入できるような登場人物の目線で描かれる。各自のストーリーに関わる社会保障の制度や相談窓口の情報が、末尾に一覧で示されている。

「社会保障というと高齢者の医療・介護・年金というイメージで、10代には遠いものと思いがち。でも、どんな年代も利用する可能性があります。社会保障を知ることは自分だけでなく、身近な誰かを支えることにもつながる。中学生や高校生が社会保障を学ぶ機会が必要です」・・・

このホームページや拙著『新地方自治入門』で、スウェーデンの社会の教科書を紹介しました。失敗を犯した子供が立ち直る過程を教えること、社会保障などを教えていることです。これまでの日本の教育は、勉強して立派な大人になることを教えましたが、失敗した場合や社会保障を受ける方法などについては触れてこなかったのです。「坂の上の雲」を目指すことを教え、「坂の下の影」は教えなかったのです。「失敗した場合を教える教育、スウェーデンの中学教科書

外国人への生活保護適用

2023年2月4日   岡本全勝

1月26日の朝日新聞生活面に「生活保護、外国人は受けられる?」が、載っていました。
・・・「外国人に生活保護は出ない」「国に帰ればいい」。愛知県で昨年11月、日系ブラジル人の女性が生活保護を申請しようとしたところ、市役所職員からそう言われ、一時、申請を断られる事態が起きました。在留資格を持ち、日本で暮らす外国人は約296万人(昨年6月末)で、中にはコロナ禍で困窮している人もいます。外国人と生活保護の関係はどうなっているのでしょうか・・・

Q 外国人は生活保護を受けられるの?
A 外国人は「事実上、保護の対象」とされているよ。
Q 「事実上」というのはどういう意味?
A 生活保護法では保護の対象を「すべての国民」としている。ただ、1954年の旧厚生省の局長通知で、「生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取り扱いに準じて必要と認める保護を行うこと」とした。
つまり生活保護法の対象ではないけれど、人道的な観点から保護する必要があるので、事実上は生活保護の対象になっている。
2014年の最高裁判決でも「外国人は行政庁の通達等に基づく行政措置により事実上の保護の対象となり得る」とされた。

このような人権を守る制度が法律でなく、通達で行われていることは、疑問です。

不登校、公的支援充実を

2023年2月1日   岡本全勝

1月27日の日経新聞「教育岩盤・迫る学校崩壊」、今村久美・認定NPO法人カタリバ代表の「不登校、公的支援充実を」から。

不登校の小中学生が急増し2021年度に過去最多の24万人に達した。インターネット上の仮想空間を使った不登校児の支援などを進める認定NPO法人カタリバの今村久美代表は「公的支援が足りない」と訴える。

――不登校が増え続ける状況や背景についてどう考えていますか。
「きっかけは多様で一概に増加の理由は語れない。ただ、一律に同じ内容を同じスピードで学習することに合わない子どもはたくさんいる。学校がこれまでそこに目をつぶってきたことは一因だろう」
「子どもが自ら学校に行かないことを選ぶ『積極的不登校』の考え方もあるが、現実には学校に行きたいけれど行けない子どもが多いと感じる。同じ学区の子が楽しそうに登校する姿を見て苦しい思いをしている親子は多い」

――不登校の子への支援の現状をどう思いますか。
「全く足りていない。ケアは家庭が背負ってしまっている。国の調査で学校や民間など誰の支援も受けていない不登校の子は全体の36%に上る。行政が手掛ける教育支援センターを利用したケースも1割と少ない」
「フリースクールのような民間団体の運営には公的補助がない。月会費などの経済的負担も大きい。全ての子どもが利用できる公的支援を強化する必要がある」

――どんな取り組みが必要ですか。
「まずは公的な支援につながっていない子を把握する責任者を置くことから始めるべきだ。教員だけで家庭訪問を続けるのは難しい。登校支援コーディネーターのような役割を置き、きちんと追いかけられる仕組みが必要だ」
「もう一つは子どもたちの居場所をつくる事業者や地域の団体を行政が認定し、連携することだ。自治体の壁を越えてデジタルなどの支援に生かせるツールを共有することも大事だ」

――学校に求められる役割は。
「学校は全国各地で子どもが歩いて行ける場所にある重要な教育福祉機関だ。親から離れても安心安全で、公的な第三者として自分のことを見守ってくれるような大人がいれば、孤立を防ぐ有効な手立てになる」
「不登校でも学校に相当する場所に通ううちに人とつながって楽しいと感じたり、新しい考え方を発見したりする。教員と合わないと感じた場合には他の選択肢を選べる公的なオルタナティブ(代替)を充実させる必要がある」