カテゴリーアーカイブ:再チャレンジ

男女の賃金差公表

2023年4月3日   岡本全勝

3月27日の朝日新聞生活欄「男女の賃金差公表、見えた会社の姿」から。

・・・男女の賃金格差の解消に向け、政府が企業に義務づけた格差の公表が徐々に始まっている。正社員の賃金格差は、男女の管理職の比率や勤続年数の違いの影響が大きいとされる。一方、賃金水準が低い非正規雇用の女性が多い企業は、全従業員でみた賃金格差が大きくなる傾向がある。

昨年7月以降に決算期を迎えた企業(従業員301人以上)から順次、男性の平均年収に対する女性の平均年収の割合を「全従業員」「正社員」「非正社員」それぞれについて公表することが義務づけられた。
イベントの企画などを手がけるグッドウェーブ(東京都渋谷区)では、正社員(183人中61人が女性)の年収は女性が男性の97%とほぼ同じだった。
その一因が、女性の管理職比率が28%(40人中11人)と比較的高いことだ。厚生労働省が2021年度に調査した企業の平均(12%)の2倍以上になる。
背景には、管理職を選挙制にしていることがある。管理職が昇進して空きができたときなどに、希望者が後任に立候補。管理職になったらどんなことをしたいかなどの「公約」を掲げ、部門の全社員が投票して決める。女性社員の一人は「自分たちで選んだ結果なので納得性が高い」と話す。
一方、非正社員(25人中12人が女性)の年収は、女性が男性の167%にのぼる。仕事内容は正社員と大きくは変わらず、「例えば子育てを優先して時給制の非正規を選ぶことができる。たまたま女性の非正規の方が長く働いていた」(同社)。
その結果、全従業員の年収でみると、女性が107%と男性を上回った・・・

・・・一方、低賃金の非正規で働く女性が多い企業は、「全従業員」で見たときの賃金格差が大きくなる。
のりやふりかけなどを作る大森屋(大阪市)の女性の賃金比率は、正社員では68%、非正社員では105%。だが、全従業員でみると26%と低くなる。
正社員は男性が多いが、工場や物流センターでパートとして働く非正規はほとんどが女性だからだ。「非正規の女性と、正社員の男性の賃金を比べるような構図になっている」(総務部)。
おもちゃ卸のハピネット(東京台東区)も、全従業員における女性の賃金比率が40%と低い。正社員では約7割を男性が占める一方、物流倉庫などで働く非正規では女性が7割以上を占めることが要因だ・・・

次のような解説もあります。
「厚労省の22年の調査で、フルタイム労働者の所定内給与(月額)をみると、女性は男性の75.7%だった。格差は20年前に比べると9.2ポイント縮小した。正社員や管理職に占める女性の割合が少しずつ増えてきたことなどが影響している。
それでも海外に比べると格差は大きい。経済協力開発機構(OECD)の調査では、働き手を男女それぞれ賃金順に並べたときの真ん中の人(中央値)で比べると、日本の女性の賃金水準は男性の77.9%。主要先進国(G7)ではイタリアが91.3%と最も高く、ほか5カ国も80%台で、日本が最も低い」

インターネットにのめり込み心身を壊す人

2023年3月30日   岡本全勝

読売新聞は、3月28日から1面で「情報偏食 ゆがむ認知」という連載を始めました。
・・・インターネットが普及しSNSで誰もが発信者となり得る「情報過多」の現代。個人の興味・関心に合わせて押し寄せる情報が、時に人々の行動を左右する。第2部では、偏った情報に流され心身に傷を負った人たちの姿を通じ、ネットやSNSが認知に及ぼす影響を考える・・・

28日第1回は「「激やせ」検索 壊れた心身」で、美しくなりたいとSNSにはまり込み、摂食障害になったり、過度な美容整形を行った女性の事例が紹介されています。
29日第2回は「ゲーム依存 入院3か月」で、インターネットゲームの中毒になり、医療センターに入院した事例が紹介されています。画面にはまる仕掛けがされていて、若者がのめり込んでしまうのです。

学校教育で、予防策を教えることが必要です。しかし日本の教育界は、そのような対応が遅くて、不得手なのです。

女性の昇進を阻む男性たち

2023年3月22日   岡本全勝

3月9日の朝日新聞「「彼らは僕の薫陶を受けてる」 昇進阻んだ男性ネットワーク」から。

・・・大手電機メーカーで成果を出しても課長より上に昇進できず、年下にも抜かれた女性の問いに、上司はこう答えたという。
「君を部長にする気はない。だって、MBA(経営学修士)、持ってないじゃない」
周りの部長の男性たちを見渡しても、MBA取得者は見当たらない。
「MBAを持ってる人、いないじゃないですか」
「彼らは僕の薫陶を受けてるからね。君にはそういう教育をしていない」
「僕の薫陶」という言葉の向こうにある男性ネットワークの存在に、がくぜんとした・・・

・・・日本での賃金や昇進における男女格差は大きい。
経済協力開発機構(OECD)によると、男性の賃金の中央値を100とした時の女性の値(2021年)は日本が77・9。内閣府によると、民間企業の女性管理職比率(課長相当職)は21年時点で12・4%。いずれも先進国最低レベルだ。
格差は経営トップ層にも。企業統治助言会社「プロネッド」によると、東証プライム上場企業の取締役に占める女性の割合(22年)は1割を超えるものの、大半は社外取締役の起用によるもので、内部登用の女性の取締役は1・5%。内部昇格で取締役になれる女性は極端に少ない。
なぜか。女性が育児などを過度に担ってキャリアを断念する場合だけでなく、そうした制約がなくとも昇進の壁に阻まれて、「将来の役員候補」となるべき女性が次々に脱落させられている構図がある・・・

非正規公務員

2023年3月20日   岡本全勝

3月9日の朝日新聞「非正規公務員、女性しわよせ DVの相談員、低待遇に疲弊「限界」」から。

・・・公務員の非正規雇用への置き換えが進み、大半を女性が占めている。専門的な知識が必要な仕事でも低賃金で、多くが有期雇用だ。ジェンダー不平等を解消する旗振り役であるはずの自治体で格差が生み出され、「官製ワーキングプア」と批判されている。

「もう限界だ」。広島県内の自治体で婦人相談員の仕事を約8年続けてきた藍野美佳さん(54)は2021年春、退職を決意した。DV(家庭内暴力)に苦しむ女性を支援する仕事に使命を感じていたが、非正規の待遇の悪さに追い詰められた。
月14万円あまりの給料から税金や家賃、光熱費などを引くと、手元にほとんど残らない。夜はファミレスやホテルで清掃の仕事をし、週末もバイトを入れた。「相談員の仕事を続けるためだった」と話す・・・
・・・難しいケースをいくつも抱えて過労に陥り、最初の3年で2度、医師から就労不能の診断を受けた。しかし、わずかな傷病手当しか出ず、十分に休養することもかなわなかった。
コロナ禍では「夫に居場所を知られずに給付金を受けられるか」という相談が増え、心身が限界に。「仕事に見合った待遇を」と自治体に求めたが、財政難を理由に変わらない。一方で、定年を迎えた男性の正規職員が年収500万円超で再雇用されたと知り、離職に傾いた・・・

・・・1990年代半ば以降、公務員の削減が進んだ。自治労の調査では、94年に328万人だった公務員は2016年には274万人に減った。一方、定数外職員は約3倍の64万人に増えた。女性が多い事務職員や保育士、図書館職員が非正規に置き換わり、相談業務の多くも女性が非正規で担う。20年の総務省の調査では非正規公務員の4分の3を女性が占めた。
公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)の調査では、非正規公務員の79%が年収250万円未満。回答した705人のうち、92%が女性だった。
賞与を出せるなど、待遇改善を図るとして、会計年度任用職員制度が導入されたのは20年。だが、時給や労働時間を切り下げた自治体が多く、収入増にはつながっていない。「契約更新は2回まで」という自治体も多く、今春は雇い止めが大量に起きるとみられる・・・

介護離職対策、悩みの相談

2023年2月15日   岡本全勝

2月1日の日経新聞「介護離職は心のケアで防げ コマツが相談会、満席続く」から。

コマツが介護を理由とする離職の防止に向け、社員の心のケアに取り組んでいる。専門家による相談会を毎月開き、悩みを打ち明けやすくする。会社に相談できずに介護をしている社員は想定以上に多いと判断し、「離職予備軍」の増加を防ぐ。介護離職は2010年代から急増し、近年は年間約9万〜10万人に達する。会社を支えている40〜50代の社員を失うことは大きな痛手で、対策は待ったなしだ。

コマツは18年から約2万4000人の社員を対象に、外部の専門家に介護の悩みを相談できる個別相談会やセミナーを開いている。月間10人の相談枠は昨年12月〜今年2月まで満席が続く。追加の駆け込み案件も多く、需要が高まっている。
外部委託先のNPO法人「となりのかいご」代表理事の川内潤さんらは、のべ約470人の社員の声を聞いてきた。相談者は40〜50代が多く、10人に1人ほどは「いずれ会社を辞めなければならないのか」などと離職への不安を口にするという。
コマツは社員の介護負担の増加について早くから危機感を持っていた。「多くの社員が介護に携わる時代になる」とみた労働組合が介護休業の延長を提案。11年には法律が定める通算93日よりも多い最長3年まで休めるようにしたほか、手当など金銭面も手厚くした。
ところが17年ごろに制度の利用状況を調べると、休業者は5年間でわずか18人。実は会社に相談せずに週末などを使って介護をしている社員が予想以上に多いのではと思い直した。「真の需要に寄り添えていないのでは」と感じた同社が着目したのが、本音を打ち明けやすい環境の整備だ。
介護はプライバシーに関わる問題で、社内では打ち明けにくい面もある。コマツは外部の専門家による相談会にすることで心理的なハードルを下げた。会社には匿名で参加できるのも利点だ。
「親不孝介護」などの著書もある川内さんは、「優秀な社員ほど一人で解決しようとして悩みを抱え込み、突然の離職に至るケースも多い。『プロに任せられることは任せ、親とは適切な距離を保つべきだ』などと助言している」と話す。
相談者からは「自分の生活を優先していいんだと気づいた」「自分が深刻な状態にいることが理解できた」との声が上がるなど、悩みを打ち明けて心の負担が軽くなった人が多いもようだ。現在、コマツの介護離職は数年に1人程度という。石田さんは「介護需要が拡大するなかでもリスクを抑えられているのでは」と手応えを感じている。

「隠れ介護者」の存在は根深い問題だ。仕事と介護の両立を支援するリクシス(東京・港)によると、「介護が理由とカミングアウトしないまま辞めたり、辞めずとも有給休暇などで両立に励むケースが多く、実態を把握できている企業はほとんどない」という。
最大の壁は心理的な要因だ。「職務を奪われるのでは」「賃金に響く」といった不安から、会社への説明に及び腰になるという。特に50代などは「育休世代と違い、仕事を長期で休んだ経験がないことも影響している」(リクシスの佐々木裕子社長)。本音を引き出すため、心理的安全性をどう担保するかが課題だ。