非正規公務員

3月9日の朝日新聞「非正規公務員、女性しわよせ DVの相談員、低待遇に疲弊「限界」」から。

・・・公務員の非正規雇用への置き換えが進み、大半を女性が占めている。専門的な知識が必要な仕事でも低賃金で、多くが有期雇用だ。ジェンダー不平等を解消する旗振り役であるはずの自治体で格差が生み出され、「官製ワーキングプア」と批判されている。

「もう限界だ」。広島県内の自治体で婦人相談員の仕事を約8年続けてきた藍野美佳さん(54)は2021年春、退職を決意した。DV(家庭内暴力)に苦しむ女性を支援する仕事に使命を感じていたが、非正規の待遇の悪さに追い詰められた。
月14万円あまりの給料から税金や家賃、光熱費などを引くと、手元にほとんど残らない。夜はファミレスやホテルで清掃の仕事をし、週末もバイトを入れた。「相談員の仕事を続けるためだった」と話す・・・
・・・難しいケースをいくつも抱えて過労に陥り、最初の3年で2度、医師から就労不能の診断を受けた。しかし、わずかな傷病手当しか出ず、十分に休養することもかなわなかった。
コロナ禍では「夫に居場所を知られずに給付金を受けられるか」という相談が増え、心身が限界に。「仕事に見合った待遇を」と自治体に求めたが、財政難を理由に変わらない。一方で、定年を迎えた男性の正規職員が年収500万円超で再雇用されたと知り、離職に傾いた・・・

・・・1990年代半ば以降、公務員の削減が進んだ。自治労の調査では、94年に328万人だった公務員は2016年には274万人に減った。一方、定数外職員は約3倍の64万人に増えた。女性が多い事務職員や保育士、図書館職員が非正規に置き換わり、相談業務の多くも女性が非正規で担う。20年の総務省の調査では非正規公務員の4分の3を女性が占めた。
公務非正規女性全国ネットワーク(はむねっと)の調査では、非正規公務員の79%が年収250万円未満。回答した705人のうち、92%が女性だった。
賞与を出せるなど、待遇改善を図るとして、会計年度任用職員制度が導入されたのは20年。だが、時給や労働時間を切り下げた自治体が多く、収入増にはつながっていない。「契約更新は2回まで」という自治体も多く、今春は雇い止めが大量に起きるとみられる・・・