カテゴリーアーカイブ:著作と講演

JICA上級国家行政研修講師

2024年12月9日   岡本全勝

今日12月9日は、国際協力機構(JICA)の上級国家行政研修の講師に行ってきました。参加国は、バングラデシュ、ブータン、カメルーン、エジプト、ガーナ、ラオス、マーシャル群島、モーリタニア、モーリシャス、フィリピン、タンザニアで、合計13人でした。

国家の発展に果たした行政機構の役割が主題です。質疑の時間を長く取ったのですが、良い質問が続き、充実しました。
日本の経済発展の秘訣とともに、行政が機能するにあたっての背景、すなわち日本の倫理や信頼の強さに関心があるようでした。
今回も、喜んでもらえたようです。前回と今回の経験を踏まえて、次回は資料や説明内容を少し変えましょう。

Public Administration in Japan』をインターネットで無料で読めると紹介したら、「本は買えるのか」との質問がありました。

連載「公共を創る」第206回

2024年12月5日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第206回「政府の役割の再定義ー内閣の政策立案と「官邸主導」」が、発行されました。政治主導がうまくいっていないことについて、「官邸主導」の問題を議論しています。

首相が新しい発想で新しい政策に取り組むことは、重要なことです。しかしその際には、唐突に指示を出すのではなく、しかるべき手順を踏んで政策に作り上げることが必要です。
中曽根康弘内閣の臨時行政改革推進審議会、橋本龍太郎内閣の行政改革会議など、歴代首相は、内閣の方向性を考えるための大きな視野の「知恵袋」を持ち、そこでの議論を通して自らの内閣の方針とその策定過程を国民にも開示してきました。

省庁改革では、重要事項を審議するために「重要政策に関する会議」をつくりました。一般的な審議会では、首相や大臣が外部有識者から成る審議会に審議事項を諮問し、報告を受けます。しかし重要政策に関する会議では、主に首相が議長になって審議を進めるのです。
経済財政諮問会議はその一つで、経済財政政策に関する重要事項について調査審議します。小泉純一郎首相がこの会議を活用し、毎年夏に「骨太の方針」を策定することで、官邸主導の予算編成と政策決定を行いました。
その後も経済財政諮問会議は開かれ、「骨太の方針」はつくられていますが、かつてほど活用されていないようです。

官邸主導の問題の一つは、首相が次々と指示と目玉政策を出すのですが、それぞれの政策の評価がなされないままに、次の政策が提示されることです。
しばしば、首相が記者会見で目玉政策を発表したり、会議の場で指示を出したりする映像が流れます。それは、首相の政治主導ぶりを見せる良い方法ですが、政治主導は指示を出すことだけでなく、それが適切だったか、そして良い成果を生んだかによって判断されなければなりません。

JICAサヘル諸国研修講師

2024年12月4日   岡本全勝

今日12月4日は、国際協力機構のサヘル諸国研修の講師に行ってきました。幡ヶ谷のJICA東京です。参加者は、ブルキナファソ、ブルンジ、チャド、コートジボワール、マリ、モーリタニアからの10人です。資料と通訳は、フランス語です。

この内容は「強靱な国・社会づくり研修」で一度経験済みで、今回はそれを基に、焦点を絞って話すことができました。前回は3時間、今回は2時間なので、要領よく話す必要もありました。東洋の貧しい島国が、150年間でどのようにして豊かな国になったか。写真と図表が伝わりやすいです。

120分のうち30分を質疑応答にあてる予定でしたが、冒頭に「途中でも質問してくれ」と言ったら、どんどん質問が出ました。ある研修生が「これでは、講義が進まないので、質問は最後にしたら」と発言するくらいでした。

行政だけでなく、日本社会や経済の問題まで。さまざまな質問が出るので、私のこれまでの知見が役に立ちます。それぞれ簡単に答えるのは難しいのですが、簡潔に話さないと伝わりません。そこで、エイヤッと割り切りって、お話しします。

連載「公共を創る」第205回

2024年11月28日   岡本全勝

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第205回「政府の役割の再定義ー「官邸主導」の問題点」が、発行されました。

第2次安倍晋三内閣は、首相の政治主導が際立ちました。それは「官邸主導」と呼ばれましたが、これまで目指された政治主導とは違っていました。
首相が記者会見や施政方針演説で「唐突に」大きな政策を打ち出すことで、国民への訴求力は高まったと思われます。しかし事前に関係者による討議を経ていないので、その問題点や実現過程について十分な検討がなされていない恐れもあります。そしてその唐突さは、予測が立たないことで、官僚たちを右往左往させたようです。
また、官邸の判断と違う政策を大臣以下の判断では実施できなくなってしまうことから、各省の官僚たちが政策を考えなくなり、「指示待ち」になってしまったともいわれます。

例えば、新型コロナ感染初期の一斉休校も混乱を引き起こしました。
2020年2月に、安倍首相が感染拡大防止のために学校の休校を打ち出しました。この判断は正しかったと思われますが、その唐突さが問題を生じさせました。首相がその方針を表明したのは木曜日の夕方で、休校は翌月曜日からでした。
保育園や学校、学童保育が休みになると、働いているお父さんとお母さんのどちらかが、仕事を休んで面倒を見ることになります。それぞれ、月曜日の仕事の予定が入っていたでしょう。せめて週の前半から、休校の可能性とその理由、実施の際の問題点などを公表しておいてもらえれば、対応策を講じることもできたでしょう。