「連載「公共を創る」」カテゴリーアーカイブ

連載「公共を創る」目次7

目次6」から続く。「目次1」「目次2」「目次3「目次4」目次5
全体の構成」「執筆の趣旨」『地方行政』「日誌のページへ

12月7日 170政府の役割の再定義ー官僚の人事政策─その現状
12月14日 171政府の役割の再定義ー官僚に求められる能力─その変化を巡る考察
12月21日 172政府の役割の再定義ー官僚に求められる「交渉能力」とは
(2024年)
1月11日 173政府の役割の再定義ー成熟社会において官僚に求められる能力とは
1月18日 174政府の役割の再定義ー課題解決型思考と構想力
1月25日 175政府の役割の再定義ー官僚の職場を巡る課題─その解決に向けて
2月1日 176政府の役割の再定義ー官僚の長時間労働を減らす三つの方法
2月8日 177政府の役割の再定義ー官僚の「やりがい」を巡る考察
2月15日 178政府の役割の再定義ー職員育成の見直しに向けて
3月7日 179政府の役割の再定義ー公務員の「身分」を巡る考察
3月14日 180政府の役割の再定義ー管理職、どう育てるか?
3月21日 181政府の役割の再定義ー管理職が果たすべき「役割」とは?
4月4日 182政府の役割の再定義ー幹部官僚の職責
4月18日 183政府の役割の再定義ー「蟻と鷹の目」で見た幹部官僚の職責
4月25日 184政府の役割の再定義ー戦後日本の転換点を巡る思索
5月9日 185政府の役割の再定義ー広く日本の在り方を考える必要性
5月16日 186政府の役割の再定義ー幹部官僚としての心構え
5月23日 187政府の役割の再定義ー震災復興、政治主導の在り方と官僚の仕事
6月13日 188政府の役割の再定義ー重ねた被災地訪問と信頼関係の醸成
6月20日 189政府の役割の再定義ー原発事故への対応と復興庁の発足
6月27日 190政府の役割の再定義ー復興庁の「社風」と「これまでにない危機」への心構え
7月4日 191政府の役割の再定義ー幹部官僚の自覚と教育訓練
7月11日 192政府の役割の再定義ー行政組織のパラドックス
7月18日 193政府の役割の再定義ー日本全体の中長期的な課題と対策の検討を
8月1日 194政府の役割の再定義ー幹部官僚に必要な能力と企業幹部との違い
8月8日 195政府の役割の再定義ー官僚への信頼を取り戻すには
8月29日 196政府の役割の再定義ー転換を迫られる公務員の人事政策
9月5日 197政府の役割の再定義ー成熟社会の到来と変化する国のかたち
9月12日 198政府の役割の再定義ー官僚という職業を選んでもらうために
目次8へ続く」

校閲さんの驚異

連載「公共を創る」の執筆裏事情です。毎回難儀しながら書き上げていること、そして右筆が内容を精査するとともに文章を磨いてくれていることは、「連載「公共を創る」執筆状況」でしばしば紹介しているところです。

もう二人、お世話になっている人がいます。一人は編集長です。私の原稿を適当な長さに切って1回分に収め、3本目の表題を作ってくださいます。
もう一人は、校閲さんです。文章の間違いを正すとともに、読みやすいように加筆してくださいます。それが、神業なのです。
毎回、鋭い指摘を受けて、倒れています。先日は、図表を撃たれました。「調査対象30か国中32位」という表記があったのです。この図表は、この3年ほど講演会で使っていたのですが、ついぞ気がつきませんでした。「そんなのも気がつかないのか」とあきれるでしょうが、間違いとはそんなものです。

「職人の矜持」と言えば良いのでしょうか。脱帽です。
文章も、多分もっと気になるところがあるけれど、執筆者の意向を尊重してくださっていると思われます。「遠慮なく手を入れてください」とお願いしたら、ズタズタになるかも。
私が執筆する際に、「どうせ直してくださるので、原稿はいい加減でも良いか」と思ってはいけないのですよね(苦笑)。

で、全体を振り返ると、執筆割合度は次の通り(編集長を除く)。
私60%、右筆30%、校閲さん10%でしょうか。

連載「公共を創る」第169回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第169回「政府の役割の再定義ー日本型の雇用・職場慣行がもたらした悪影響」が、発行されました。日本経済と官僚が昭和の素晴らしい発展の後、この30年間に停滞したことに、共通の理由があることを説明しています。それは、新たな目標の設定の失敗とともに、日本型の職場慣行です。

前回説明したように、日本の職場慣行(係で仕事、引継書、人事課による人事異動など)は、経済成長期に誠に効率的でしたが、大きな欠点も持っていました。目標を変えるときに、うまくいかないのです。職員も上司もそれに慣れていません。そして近年はパソコンが一人一台行き渡りました。係で仕事をすることから、事実上個人で仕事をする形に変わっているのです。しかし、職場のやり方は従前の係単位を続けています。そして、上司が指示を出すこと、職員が上司と打ち合わせることに慣れていません。ここに、不慣れな職員が悩むことになります。

さらに、人事異動を人事課に依存している仕組みでは、職員の仕事や職場に対する満足度が下がり、技能についても自ら研鑽しないのです。これらは「昭和の経済成長の終わり」と「長い明治時代の終わり」を表しています。

連載「公共を創る」第168回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第168回「政府の役割の再定義ー日本の経済と働き方の特徴」が、発行されました。

行政機構の目標と評価について、官僚の説明責任を論じています。官僚ももっと自分たちの仕事を記録して、公表すべきだということです。私が素晴らしいと感じた著作を挙げました。一つは、黒江哲郎・元防衛事務次官の「防衛事務次官 冷や汗日記 失敗だらけの役人人生」です。この本については、このホームページでも紹介しました。
もう一つは、大村慎一・前総務省新型コロナ対策等地方連携総括官兼地域力創造審議官の執筆による「新型コロナウイルス感染症対策に関する地方連携推進の取組」です。これについては先月紹介したばかりです。

続いて、日本の経済発展と停滞の原因が日本型の職場慣行にあるとして、その説明をしています。日本の経済力、生産性の低さ、長時間労働を説明するために、図表も付けてあります。

連載「公共を創る」第167回

連載「公共を創る 新たな行政の役割」の第167回「政府の役割の再定義ー組織における評価のあり方」が、発行されました。行政が国民の期待に応えるよう方向転換するために、行政組織にも目標設定と評価の仕組みを導入すべきであることについて議論しています。

各省が出す白書は、政策の動向と成果を整理したもので有用ですが、組織や政策の中長期評価には、1年単位ではなく、5年や10年での評価が必要でしょう。その際に、自己評価も価値がありますが、第三者による評価も重要です。

政策や組織の評価を行うのは、それらが与えられた目標を達成国民の期待に国民の期待に応えているかを判断するためです。そのような評価は、各政策と組織を単体として、かつ時系列で見て課題解決の状況を知ろうとするものです。
他方で評価には別の機能もあります。複数の政策を並べて評価し、資源(人と予算)をどのように配分するかを考えるというものです。もっとも、これは異なった政策目標間の比較であり、数値化による比較は不可能です。

組織の業績評価について、もう一つの評価があります。それは、何を達成したかでなく、何をしなかったかに注目するものです。「新しい社会の課題に答えていない」という官僚批判は、何を達成したかではなく、何に取り組んでいないかによるものだと考えられます。各省が「これをしました」「あれもやりました」と実績を誇っても、国民が期待している新しい課題への取り組みを行っていなければ評価は上がりません。これを防ぎ、是正するためには、どのようにすればよいのか。
まずは、各局長が所管範囲を見渡し、新しくどのような問題が生じているかを発見し、取り組むべき課題として俎上に載せることとでしょう。