カテゴリーアーカイブ:社会の見方

難民鎖国・日本

2008年7月27日   岡本全勝
22日の日経新聞経済教室、滝澤三郎・国連難民高等弁務官事務所駐日代表の「難民受け入れへの日本の対応」から。
・・難民保護には、難民を自国で受け入れて保護する直接的方法と、難民を大量に受け入れる発展途上国へ資金援助する間接的方法の二つがある。日本の難民政策の特徴は、間接的難民保護の比重が大きく、難民受け入れが制限的な点にある。
受け入れ数の少なさは、世界的に有名だ。日本は1978年から2006年にかけてインドシナ難民11千人を受け入れたが、1981年に加入した難民条約のもとでは、今日までに451人の難民を受け入れたにすぎない。このため毎年難民を数千人受け入れている欧米諸国をはじめとする世界には、日本が「難民鎖国」をしていると映り、人道問題に対する関心の薄さ、国際的な責任分担姿勢の欠如、日本の「鎖国性」の象徴と考えられてきた。これは日本のイメージを悪化させる高い「機会費用」といえよう・・

歳出歳入一体改革

2008年7月23日   岡本全勝
22日の経済財政諮問会議で、2011年度までの財政収支見通しの内閣府試算が公表されました。経済成長率を下方修正したので、2011年度での収支は悪化しています。
骨太の方針2006」(最終ページ)で決められた、14.3兆円の歳出削減を行った場合、名目成長率が3%以上で、国と地方を合わせた基礎的財政収支は、3.9兆円の赤字になります。すなわち、目標である基礎的財政収支を黒字にするためには、3.9兆円の増税が必要になります。「骨太の方針2006」のもう一つの案である11.4兆円を削減した場合は、3%成長でも6兆円、名目成長率が1%代半ばでは7.9兆円の増税が必要です。
「これで大幅な増税が必要になった」と読めるような新聞報道もありましたが、「骨太の方針2006」でも、2~5兆円の増税が必要でした。昨年の試算では、経済成長が見込まれたため、赤字幅=増税必要額は小さくなっていました。それが大きくなった、と言うことです。

増税についての世論調査

2008年7月22日   岡本全勝
21日の東京新聞が、時事通信社の世論調査結果を載せています。消費税引き上げについて、賛成が42%、反対が54%です。2006年調査では、賛成31%、反対65%でしたから、かなり差が縮小しています。
しかし、「あなたは増税に賛成ですか」と聞かれれば、大概の人は「反対です」と答えるでしょう。「増税しないと、大きな借金を毎年、子や孫に残しています」という説明付きで、「それでもあなたは、増税に反対ですか」と聞いて欲しいです。
22日の朝日新聞は、「にっぽんの争点」で、「一からわかる消費税」を特集していました。わかりやすい解説ですが、ここでも、現在の財政が大幅な赤字で、将来世代に大きな負担を残していることを書いていませんでした。

日本の売り込み

2008年7月20日   岡本全勝
19日の朝日新聞に、アメリカの編集者であるステーリさんが、「日本の小説、海外に売り込む仕掛け必要。作品には世界に訴える力」を書いていました。日本の小説が英語に翻訳されて海外の書店に並ぶ機会は、とても少ないのだそうです。
・・日本の出版業界に欠けているのは、積極的なプロモーションだ。日本文学の英文情報を充実させ、海外の出版社に売り込めばいい。日本のアニメーションや漫画が欧米で受け入れられた結果、「日本の小説も若者に売れるのではないか」「村上春樹に続く大物を探そう」という考えが海外の出版社に潜在的にある。
・・ソニーやトヨタという工業製品に続き、和食や漫画が国際化した。次は日本文学の番だ。小説という日本の精神文化の世界に、海外の文学ファンを呼び込もうではないか・・
工業製品はモノであって、言葉がいらないから、性能で売れた。ポケモンは、暴力場面がないとともに、「ピカー」としか言わないから(日本語をしゃべらないから)海外で売れた、という説があります。もっとも、ピカチュウ以外の登場人物は、しゃべってますが。アニメや漫画は、絵とストーリーで理解でき、「深い言葉」がいらないので、日本語でも翻訳が簡単なのでしょう。
海外で闘わない「業界」に共通するのは、国内で一定の市場があり経営が成り立つこと、そしてそれに安住していることです。

ミスによる事故の原因究明

2008年7月6日   岡本全勝
6日の朝日新聞「耕論」は、ヒューマンエラーの責任として、業務上の個人のミスと刑事罰について、3人の方の意見を載せていました。
柳田邦男さんは、高裁判決文の「初歩的なミス」「あってはならない誤り」を批判し、ミスに初歩的、専門的の区分はない、ヒューマンエラーを絶対許さないとの前提で安全対策を考えたら、そのシステムは崩壊すると述べておられます。「人間は間違える」ことを前提に、対策を考えるべきと主張しておられます。そして、現場の個人を厳罰に処しても、関係者が萎縮し、事故の背景や構造が分析されない、不利益なことを黙秘すると真相究明ができないことを指摘しておられます。
池田茂穂さんは、検察の限界を述べておられます。その際、「日本の行政はどちらかというと、消費者より製造者の側に立っている場合が多いように思う。国土交通省や航空・鉄道事故調査委員会は事実を解明すると言っているが、実際はこうしたさまざまな力学の中で真実が隠され、核心に迫れていないのではないだろうか」と指摘しています。
佐藤健宗さんは、刑事裁判ではできない事故調査を、第三者機関が行う必要を述べておられます。そして、アメリカに比べ、国交省の役人が調査官になるようでは、中立性に疑問が残ると述べておられます。
詳しくは、原文をお読みください。