カテゴリーアーカイブ:社会の見方

サイバー攻撃・その2

2012年10月17日   岡本全勝

青木節子慶応大学教授は、次のように述べておられます。
(国際的な取り組みに関して)
・・北大西洋条約機構(NATO)加盟国などの政府・軍関係者や研究者、産業界などがエストニアの首都タリンに集まって、過去4回にわたり「サイバー紛争会議」を開いている・・ここでは、サイバーに関する問題を既存の国際法に当てはめていくとどうなるか、という問題を話し合っている。たとえば、サイバー攻撃でどれほど甚大な被害に遭えば、国家が(同様のサイバー攻撃力や通常の防衛力を使って)自衛権を行使してよいのかといったことだ・・
ただ、条約を作るわけではなく、西側の国々がこうした被害を受けたら自衛権を行使するぞ、という一つの基準を示すことで、一定の抑止力を生み出すことを狙っている。会議に中国は参加していない。

(サイバー攻撃を仕掛けた組織や人物を割り出すことは可能か)
・・各国は詳細を明らかにはしていないが、サイバー攻撃がどこから来たものなのかは、瞬時にとはいかないが、かなりの確率でわかるようになっているようだ。攻撃のルートをたどるサイバー鑑識という手段に加え、(スパイなどを使った)従来型のインテリジェンスの手法も組み合わせて攻撃主体を割り出しているとみられる。このため、攻撃を受けた国は、自国の情報収集体制の全容を相手国に知られないようにするため、どの国が攻撃してきたかをつかんでも、あえて公表しないことが多いようだ・・

ところで、今日の夕方、復興庁のインターネットやメール機能が停止しました。「すわ、サイバー攻撃か」と緊張しましたが、しばらくして、電源の一部が停電したことが原因とわかりました。
なにせ、明日は参議院決算委員会が開かれ、復興予算の使い道などが審議されます。夕方は、ちょうど質問通告が次々と出ている時間帯で、国会と文書のやりとりを行っていました。これから、答弁案作りに入るところでした。「パソコンが使えないと、困ったことになるなあ」と、対策を考えました。
私が若いときは、メールもファックスもなく、電話で聞き取り、手書きで答弁案を作っていました。あの状態に戻るのか、それとも内閣府のビルに移動してパソコンを使わせてもらうのか・・。それにしても、これまでの答弁資料や各種の資料が、パソコンから取り出せません。これは困ります。
迷惑メール対策は、いろいろと打っているのですが、今後は、本当の攻撃や事故にも備える必要があります。

サイバー攻撃

2012年10月16日   岡本全勝

10月14日の日経新聞「サイバー攻撃、どう対処」から。
名和利男サイバーディフェンス研究所情報分析部長は、
・・2000年代の前半ごろまでは、いわゆるハッカーが自らの技術力を単に誇示するための攻撃が多かった。攻撃者は少なく、実害も大きくはなかった。これに対し、近年は攻撃の傾向が変わった。まず、20代から30代の若者が、職がないとか、収入が少ないといった不満を解消するためにサイバー攻撃に走っている。彼らは「ハクティビスト」(ハッキングする活動家)と呼ばれ、実害も大きい。
以前は、多くの人が同じ種類のコンピューターウイルスに感染した。だから共通のワクチンソフトが有効だった。これに対してハクティビストは、特定の目的のために標的型攻撃メールというマルウエア(悪意あるソフトウエア)を作って、政府や企業など特定のネットワークに潜入し、データ抜き取りやシステム破壊をしている。こうした攻撃は、簡単には発見されない仕組みになっている。存在が判明しているマルウエアは、全体の数%しかないと、多くの専門家は見ている。
(最悪の場合は)
・・インターネットが使えなくなったり、エネルギーの安定供給が阻害されたり、金融が混乱するなどの事態が想定される。当たり前のサービスが受けられなくなる。医療システムが攻撃を受ければ、生命にかかわる事態にもなる・・

日本サッカー成長の理由、現実が漫画を追い越した

2012年10月14日   岡本全勝

10月10日の読売新聞論点スペシャルが、日本のサッカーが力をつけたことを取り上げていました。ワールドカップやオリンピックでの活躍、世界の頂点に立つ欧州名門クラブへの日本選手の移籍や活躍、「どれも一昔前には想像すらできなかった。成長の理由は何か・・」。

岡野俊一郎元日本サッカー協会会長は、
・・世界のサッカー界は、今の日本を驚異と感じている。50年ほど前、日本代表コーチだった頃、世界のサッカーを見て回った。欧州はもちろん、アジアの強豪国との差も大きかった。マレーシア、インドネシアなどには、勝てる気がしなかった。
アジアで勝ちたい、という方針で選手の強化に力を注いだ。東北など各地域に選抜チームを作り、若い世代にエリート教育を実施した。Jリーグが誕生すると、日本サッカーは実力を開花させた・・
現段階では、欧州や南米から認められたとはまだ言えない・・

サッカー漫画「キャプテン翼」の作者、高橋陽一さんは、
・・サッカーを好きになったきっかけは、高校生の時に見た1978年のW杯アルゼンチン大会。こんな大会に日本が出場して、優勝争いができれば良いな、と願って1980年から「キャプテン翼」を描き始めた・・
でも現実を見ると・・漫画が現実に少し追い越されたかなという感じもする。日本サッカーは徐々に、順調に成長していると思う。
日本の若い世代の考え方も変わってきた。Jリーグができた頃は、そこでヒーローになりたいという子が多かったと思う。でも今は、小学生も中学生もJリーグを飛び越して、世界に行くんだという気持ちでやっているように感じる。
「キャプテン翼」に影響を受けたという海外の選手も多い。イタリアのデルピエロ選手、スペインのラウル選手、バルセロナのメッシ選手やイニエスタ選手などだ。フランスのアンリ選手は僕に会いたかったようで、サインも求められた。
海外でも人気が出たのは、初めからW杯を意識して世界基準で描いたことが良かったのかなと思う・・

現実が漫画を追い越すとは、すごいことですよね。もちろん、夢だけでは実現しませんし、子どもや若者があこがれるだけでも実現しません。ここまでには、関係者の大変な努力がありました。メキシコオリンピック(1968年)での銅メダル獲得以来、長く低迷の時代が続きました。その後、トップ選手の育成だけでなく、裾野を広げ、さらにはJリーグという「ビジネスモデル」を立ち上げ、と。
弱小な競技が、日本でも最大級のスポーツ(競技人口も観客動員やテレビ放映でも)になるとともに、国際大会ですばらしい成績を残し、さらに世界で戦う若者を育てるまでになりました。この過程を、一つのビジネス、あるいは国家戦略として見ると、日本が世界で戦う際の一つのモデルがあると思います。
高校時代にサッカーボールに触れましたが、才能がないことを直ちに自覚した、元サッカー少年より。今や誰も信じてくれませんが、ゴールキーパーをしていました。

高齢先進国日本、その2

2012年10月10日   岡本全勝

オショティメイン氏は、次のようにも、話しています。
・・UNFPA(国連人口基金)の大きな使命は、人口爆発を防ぐことだった。過去60年間で、合計特殊出生率は、6.0から2.5へと半分以下になった。私たちは、産む、産まないは女性が選択すべきだという考えを広め、女性差別をなくすように求めて、出生率を低下させてきた。だが、それが高齢化社会をもたらしたわけではない。
高齢化は、衛生、環境、栄養、医療、保健のすべてを改善してきた結果、我々が勝ち取ったものだ。まさに祝福すべき成果なのである。
とはいえ、各国政府が必要な社会制度を整えなければ、たちまちさまざまな問題が噴出するだろう。素晴らしい制度を持っている日本でさえ、不断に努力する必要がある・・
日本は、世界のお手本になると期待している・・

出生率が、6.0から2.5へとなったのは、すごいですね。お母さんが産む子どもの数が、6人から2.5人に減ったのです。日本では、2人以下になっています。それでも人口が爆発的に増えているのは、寿命が延びたからです。特に、子どもの死亡率が減りました。
それを成し遂げた条件は、オショティメイン氏が述べているとおりです。日本も、戦後半世紀で(実際はもっと早く)それを達成しました。拙著『新地方自治入門-行政の現在と未来』で、解説しました。昭和30年代の保健婦さんの活動や、農水省が進めた生活改良普及員の貢献などは、今の若い人は知らないでしょうね。

交付税課の課長補佐の頃、1990年代ですが、中国共産党の視察団に、お話をしたことがあります。話題は、「日本はどのように地域間財政格差を緩和しているか」でした。
私の答えは、「工業再配置、公共事業による地方振興、それに国庫補助金と地方交付税による財政補填」です。
すると、幹部の方が質問しました。「日本では、人口移動を規制していないのか?」と。私は、「日本では、規制していない。その結果、都市部への人口集中や太平洋ベルト地帯への人口移動は起きた」と答えました。
彼の反応は、交付税制度に対する高い評価と、「中国とインドでは、人口爆発を防ぐこと(一人っ子政策)と、都市部への人口集中を緩和することが、人口政策の2大課題である」とのことでした。

高齢先進国日本

2012年10月9日   岡本全勝

10月6日の朝日新聞オピニオン欄、ババトゥンデ・オショティメイン国連人口基金事務局長のインタビューから。
・・国際高齢者デーの10月1日、国連人口基金は・・報告書「21世紀の高齢化、祝福すべき成果と直面する課題」を東京で発表した・・
日本は世界一の高齢社会だ。高齢者比率は、2012年の統計で31.6%で、世界で唯一30%を超えている。だが今回日本を選んだ理由は、それだけではない。
例えば「敬老の日」の存在は、世界が見習うべき慣行だ。60歳を超えても働き続けられるし、起業したければ融資も受けられる。国民すべてが加入する医療保険システムや年金制度、支援が必要な人たちを登録し、必要に応じてケアを提供する介護保険システムもある。認知症の対策を全国規模でとっている点はとりわけ評価できる。大切なのは、高齢者をコミュニティーの一員ととらえる考え方だと思う。こうした日本の取り組みは、途上国の多くにとって非常に参考になる。ぜひ広く世界に伝えてほしいと願っている・・

高齢社会については、日本が世界の最先端を走っています。そしてその対策も、たぶん先頭を走っています。上に引用したように、国際機関からも評価してもらっています。この日本の経験を、諸外国に「輸出」しましょう。かつて日本が、先進諸国にいろんな技術や社会制度を学んだように。