カテゴリーアーカイブ:社会の見方

競争優位? スイスの海運会社

2016年11月1日   岡本全勝

日本の海運大手3社が、コンテナ船事業を統合すると報道されています。世界ランキングでは、日本郵船が11位、商船三井が14位、川崎汽船が16位です。統合しても、世界第6位だそうです。
ところで、世界1位はデンマークの会社ですが、第2位はスイスの会社とのこと。海のない山国のスイスに、本社を置いているということですか。へえ~ですね。(2016年11月1日)

鎌田先生の力作、2

2016年10月29日   岡本全勝

本の帯には、ゴーギャンの名画「我々はどこから来たのか。我々は何者なのか。我々はどこへ行くのか」が、3巻に分けて、カラーで印刷されています。それが、この3冊の内容を表しています。 心憎いですね。
なお、先生からは、「お忙しい方は、下巻の「長めのあとがき」から読み始めると良いかと思います。私が読書法で推奨している方法ですが、先に「あとがき」を読んで、概要・著者の人となり・本の成立などを知っておくと、本文を読破しやすいというノウハウです」との助言も来ています。
ええ、私も本を買うとき、あるいは買ったときは、表紙の次は、奥付を見て著者を確認し、次にまえがきとあとがき、そして目次を読みます。(2016年10月29日)

鎌田先生の力作、地球の歴史

2016年10月27日   岡本全勝

鎌田浩毅・京都大学教授が、中公新書を一気に3冊も出版されました。「地球の歴史、上中下」(2016年、中公新書)です。これは、お勧めです。
1 宇宙の誕生から、地球の誕生、人類の誕生、さらには未来の地球まで、130億年を超える壮大な物語が、3冊の新書に要約されています。分厚い本、専門書はあるのでしょうが、これだけコンパクトな本は見当たりません。これだけで、お得です。
2 単に事実の羅列でなく、切れ味良い切り口で、宇宙の誕生、地球の誕生、大陸や大気の誕生と循環が説明されています(すみません、まだ上巻しか読んでいないので)。
先生の言によると、科学的ホーリズム(全体像)、長尺の目、歴史の不可逆性、現場主義の、4つの視点だそうです。
例えば、地球の誕生からの分化が、次のように図示されます(p113)。46億年前に火の玉地球から、45億年前の水惑星、そして陸・水惑星になり、25億年前に生命の惑星になり、1万年前から文明の惑星になります。まあ、その図を見てください。
3 地質学や古生物学が統合され、地球科学になりました。その後、地球だけでなく惑星を研究することで、地球惑星科学になります。天文学、物理学、科学、さらには分子生物学まで取り込んで、地球と生物の進化学になっているのです。
スケールと視野の広さ、そしてそんなところでつながっているのだという意外さに、びっくりします。 私流に理解すると、鍵となる概念は、時間と空間、分化と関連ですね。
4 私たちが学生時代に学んだことが、時代遅れになっています。科学によって、ここまでわかるようになったのかということは、驚きです。私たちが学生の頃は、地学はつまらない学問だと思っていました(失礼)。この本を読むと、わくわくしますよ。
5 随所に、「へ~」が現れます。地球が水球だということは知っていましたが、鉄の惑星だと知っていましたか。月があったことで、今の地球があることも。P波が縦波で、S波が横波ということは学びましたが、S波は物体がねじれるように伝わるので、液体や気体では伝わらないのだそうです。Pがprimaryの頭文字、 Sはsecondaryの頭文字だったのですね。習ったのかもしれませんが、忘れていました。な~んだ。
6 それにしても、よく一人で、これだけの幅広いことを書かれましたね。もちろん、それぞれの分野の知見を拾っておられるのですが、その範囲が半端ではありません。執筆に8年かかったそうです。納得します。
7 そして、いつものように、鎌田先生のわかりやすい語り口です。たくさんの図表がついています。それぞれに出典が書いてあり、先生がわかりやすいように改変しておられます。巻末には、索引と参考文献もついています。高校や大学の教科書になるでしょう。

先生はこれまでに、専門の火山学だけでなく、古典や勉強術まで、たくさんの本を書いておられます。でも、この3冊は間違いなく先生の代表作になるでしょう。「著者インタビュー」もお読みください。
ぜひ、今週末に本屋に行って、3冊買ってください。私も、今日も早々と風呂に入って、続きを読みますわ 。(2016年10月27日)

辞書の販売部数の減

2016年10月20日   岡本全勝

朝日新聞10月17日夕刊「辞書、紙の逆襲 読ませる英語、部数伸ばす」に、次のような数字が載っていました。
・・・全国出版協会・出版科学研究所の「出版指標年報」によると、1993年に約1500万冊だった紙の辞書の推定販売部数は、2000年代に入ると電子辞書に押されて急減。12年には約600万冊にまで落ち込んだ・・・
学生は昔も今も、辞書を買うと思うのですが。買わなくなった人は、どのような人たちでしょうか。(2016年10月20日)

名著の位置づけ

2016年10月8日   岡本全勝

玉木俊明著『歴史の見方 西洋史のリバイバル』(2016年、創元社)が、面白かったです。ヨーロッパ経済史が専門の著者が、西洋史について、特に日本における西洋史の盛衰について書いた本です。
第1部は、近代西洋経済史のいくつかの名著についての書評です。これが、単なる内容の紹介でなく、その本が書かれた時代背景や現在から見た限界を書いているのです。これは、勉強になります。
私たちも、それぞれの分野で名著を読みますが、それがなぜ名著なのか、その本を読んだだけではわかりません。それまでの通説を打ち破ったり、パラダイムを変換したりしたことが、名著に位置づけられるゆえんでしょう。単にそれまでの学界の研究成果をまとめただけでは、概説書や教科書です。そして、その後の研究によって、その名著がどのように乗り越えられたか、今もなお影響力があるとするなら、それはどの部分なのか。門外漢には、わかりません。
玉木先生の試みは、優れたものだと思います。名著=正しいと思っていた私たちに、「あの名著も、その後の研究で、間違っていたとわかった」「このような点が、欠落していた」など厳しい指摘がありますが、それが勉強になります。
第2部は、近代西洋経済史の主要な論点の解説と、日本人が西洋史を研究し日本語で論文を書くことの意味を論じています。これも、一読をお勧めします。これも、興味深いです。
ラース・マグヌソン著『産業革命と政府―国家の見える手』(邦訳2012年、知泉書館)が紹介されています。「神の見えざる手」は、アダム・スミスが『国富論』で主張した市場経済の機能ですが、それだけでは経済の発展はなかった、国家の介入が必要であったことを主張したものです。「国家の見える手」は、よい表現ですよね。使わせてもらいましょう。(2016年10月8日)