カテゴリーアーカイブ:社会の見方

マルク・レヴィンソン著『例外時代』

2017年12月11日   岡本全勝

マルク・レヴィンソン著『例外時代』(2017年、みすず書房)が勉強になりました。副題に「高度成長はいかに特殊であったか」とあります。20世紀後半の世界各国の経済を、経済成長という観点から分析したものです。
第2次世界大戦から1973年(石油危機)までを第1期とし、世界の多くの地域で異常なほどの好景気が見られた時期とします。
1973年から世紀末までの第2期は、成長が失速し、国によっては破綻します。

日本の高度経済成長については、私たちもよく知っています。そして、バブル崩壊後の低迷も。
この本は、世界各国(先進国、中進国、後進国)を各章ごとに取り上げ、成功と失敗を記述しています。よくこれだけ調べたものだと、感心します。そこから見えてくるのは、日本の経済成長も、決して唯一のものではなかったと言うことです。そして、戦後の世界各国での経済成長は、歴史的には例外の時代だったということです。
世界的視点から見ることで、日本の姿が相対化されて理解できます。長い歴史から見ることで、その時期の位置づけが分かります。

お勧めです。
みすず書房は、良い本を出しますねえ。

悪質クレーム

2017年12月11日   岡本全勝

12月4日の日経新聞夕刊くらし欄に、「そのクレーム 悪質の恐れ」が載っていました。副題は「ミスした従業員の解雇要求 傲慢な態度+「社長を呼べ」」です。悪質なクレームの例が載っています。
・「土下座して謝れ」と求める
・「担当者をクビにしろ」と要求
・「法律を変えろ」など実現不可能な要求
また、対応が膠着状態になってから20分程度を超える拘束で疑わしくなり、30分を超えると問題視になる可能性があるとも書かれています。
詳しくは、記事を読んでください。

労働組合UAゼンセンの「悪質クレームの定義とその対応に関するガイドラン」も紹介されています。
役所でも困っていることもあるでしょう。

自治体と企業との連携

2017年12月6日   岡本全勝

福島県と三井住友海上火災保険が、包括連携協定を結びました。大震災からの復興と地域の活性化のため、さまざまな協力をしようというものです。
資料を見ていただくと、具体的には次のような項目が並んでいます。
・会社のお客様向けウエッブ配信サービスを使って、県の情報を定期的に配信すること
・ロボット分野での、事業者の紹介
・会社の県内代理店(620店)を活用した地域見守り活動
・県内市町村の業務継続計画策定への支援

企業は、さまざまな道具や技術を持っています。それを、地域の活性化に活かそうというものです。ありがたいことです。
ところで、自治体は、企業がどのような技術を持っているか、何を提供してくれるか、情報を持っていません。他方で、企業は、持っている技術を使って、どのように地域に貢献できるか、よく分かりません。
課題は、自治体と企業を結びつけることです。
具体的に取り組みが成果を上げれば、世間の人に認知され、他の企業にも広がると思います。

「先送り」から「先取り」へ

2017年12月5日   岡本全勝

12月2日の日経新聞1面「ポスト平成 新しい日本へ」、原田亮介・論説委員長の「「先送り」から「先取り」の時代へ」から。
・・・平成が2019年4月末で終わる。何度も危機に見舞われた停滞の時代である。1945年以降の昭和が復興と高度成長の時代だったのとは対照的だ。
経済の停滞は金利の動きで明らかだ。長期金利は改元の翌年秋、8%台のピークを付けた。その後は急坂を転げ落ちるように下がり続け、山一証券などが破綻した97年に1%台に突入した。以後20年、超低金利がすっかり定着したのである。
停滞が続いた理由は何か。不良債権問題が典型だが、政府も銀行も企業も、問題解決を「先送り」し、無駄に時間を費やしたからではないか。
地価がまた上がるという希望的観測に頼ったり、自らの責任を免れるために痛みを伴う解決に逃げ腰になったり。結局、金融危機から脱出するのに平成の前半15年間が、まるまる消えていった・・・

「先送りから先取りへ」は、簡潔で良い表現ですね。原文をお読みください。

1997年11月26日の取り付け騒ぎ

2017年11月28日   岡本全勝

11月26日の朝日新聞経済面、原真人・編集委員の「あの日恐慌寸前だった」から。
・・・戦後日本で最も経済破綻が近かった日をあげるなら、ちょうど20年前の1997年11月26日である。多くの銀行で深刻な取りつけ騒ぎが起き、金融恐慌寸前となった。報じられなかった事実もふくめ、当事者たちの記憶をたどって改めて歴史に刻みたい。これからの私たちのために・・・

・・・「日本経済はこのまま破綻してしまうのだろうか」。30年の記者生活で、そんなことを考えたのは後にも先にもあの日だけだ。
そのまま取り付け騒ぎを記事にしたら預金者に不安が広がり、全国の金融機関に連鎖する可能性が高いと考えられた。朝日新聞は、現場の写真も含め、記事にするのを見合わせた。報道協定はなかったが、結果的にほぼすべてのマスメディアが同じ判断をした。
いま同じ騒ぎが起きたらどうか。インターネット社会では誰もがツイッターやユーチューブで情報発信ができる。取り付け情報の拡散は止めようがない。マスメディアの配慮などまったく役に立たないだろう。その結果何が起きるのか、私たちにもまだわからない・・・

事実の回顧とともに、マスコミの役割についても、考えさせられます。
原文をお読みください。