カテゴリーアーカイブ:社会の見方

外国人に通じない和製英語

2021年3月23日   岡本全勝

このホームページ定番の、カタカナ語批判です。3月20日の日経新聞別刷り「プラス1」(これもカタカナ語です)に「外国人に通じない和製英語」が載っていました。
・・・日本で生まれた和製英語は外国人に通じない。クイズで約1000人の読者に尋ね、正しい英語だと勘違いした人が多い順にランキングした・・・
順に並べます。
リフォーム、リストアップ、ライブハウス、フライング、マンツーマン、キーホルダー、アフターサービス、ワインクーラー、フライドポテト、コンパニオン。

あなたは、どれくらい知っていましたか。
このような言葉は、主にマスコミを通じて覚えるのでしょう。間違った英語を教えるマスコミの罪は大きいです。変なカタカナ語で新製品を売る企業も同罪です。新製品には、モノやサービスだけでなく、概念もあります。ソーシャルディスタンス、クラスター、SDGSとか。
カタカナ語乱造者

戦後民主主義の罪

2021年3月22日   岡本全勝

戦後民主主義」の続きです。
戦後民主主義は、日本に、民主主義、自由と法の下の平等、平和をもたらし、ひいては豊かさと安定をもたらしました。戦前と比べると、その功績は大きいです。クーデターや政治を巡る暴力的事態が起きなかったことも、成果でしょう。
そのような功績を残しつつ、いくつもの問題を抱えていました。また抱えています。それが「戦後民主主義」と、カギ括弧付きで語られるゆえんです。

平和主義について。
戦争放棄という理想は良いのですが、まだ現実世界はそれを実現する条件がそろっていません。北朝鮮が核開発を進め、ミサイルが日本上空を飛び越えます。中国軍は装備を増強し、日本領海をかすめます。
戦後民主主義の柱であった一国平和主義は、まことに身勝手な話でした。国内でも警察のない社会は理想ですが、現実的ではありません。
国連には加盟するが国連憲章の義務は果たさないという矛盾にも、目をつむります。(国連憲章第45条 国際連合が緊急の軍事措置をとることができるようにするために、加盟国は、合同の国際的強制行動のため国内空軍割当部隊を直ちに利用に供することができるように保持しなければならない。)

戦後民主主義の残る二つも、実質的であったか、定着したかという点で、疑問があります。
基本的人権も、大学の憲法で詳しく教えられますが、それは西欧の歴史が主で、国内での人権蹂躙については知らん顔を続けます。その一つの象徴が、ハンセン病患者です。憲法学の教授は、これについて発言してきませんでした。「憲法を機能させる、その2
代表制民主制についても、例えば、政権交代なく半世紀が過ぎました。アジアでは、日本より先に、韓国と台湾で平和的に政権交代が実現しました。その他の点で代表制民主制がどのような成果を残したかは、議論されるべきです。この項続く

「戦後民主主義」

2021年3月20日   岡本全勝

山本昭宏著『戦後民主主義-現代日本を創った思想と文化』(2021年、中公新書)が、お勧めです。特に、日本の近過去を知らない若い人に、読んでもらいたいです。国政、論壇だけでなく、国民の意識や生活にまで目を配った、すばらしい分析になっています。

敗戦で、占領軍によってもたらされた憲法によって、民主主義が国民に受け入れられます。代表制民主制、基本的人権、平和主義(戦争と軍隊の放棄)です。
その後、代表制民主制と基本的人権は大きな争点になりませんが、平和主義は日米安保条約改定などで大きな争点となります。そして、革新勢力と呼ばれる側が「憲法を守れ」と、保守勢力と呼ばれる側が「改憲」を主張する「ねじれ」が続きます。

その後は、国民がこぞって経済成長に邁進し、憲法議論は棚上げ状態になります。米ソ対立、中国や北朝鮮が脅威にならないという国際条件も、それを支えます。
自国を他国(アメリカ)に守ってもらう、海外の紛争には関与しない、という一国平和主義を続けます。

そのご都合主義が破綻したのが、1991年の湾岸戦争です。最も多くの石油を輸入していながら日本は、そこでの紛争解決に軍隊を送ることができず、支援もお金だけ(後に掃海艇を派遣)で、国際社会から軽蔑される事態となりました。石油を買うためのタンカーは送るのに、支援物資を運ぶ輸送船は危険だからと航海を拒否するのです。この点は、岡本行夫さんの著作などを読んでください。「湾岸戦争での日本の失敗」。この項続く

著者は、1984(昭和59)年生まれだそうです。私は1955(昭和30)年生まれです。1960年の安保闘争は知りませんが、その後の日本の歩みは体験しました。彼にとって、昭和後期は体験していない時代です。よく調べたものです。

日本の暗黙の秩序、成長を阻害

2021年3月18日   岡本全勝

3月6日の朝日新聞オピニオン欄「考・わきまえる」、宋文洲さんの発言「暗黙の秩序、成長の足かせ」から。
・・・「わきまえる」という日本語の定義を、私たち外国人に説明するのは難しい。「それぞれの立場(プレース)に従って」という訳し方では真意が伝わりません。「秩序(オーダー)に従って」が正確だと思います。「階級」とも言える。つまり、会社内の役職のように男女にも上下の階級があるとの前提で、「おまえの階級に合わせて物を言え」というのが、今回のわきまえる問題の本質なのでしょう。
この秩序や階級は、性別の問題に限らず明確に日本の社会に存在しているのに、外からは隠れていて見えません。なぜそのような暗黙の秩序があるのか。それは日本では、自ら社会の上下をひっくり返すような「革命」を経験したことがないためです・・・

・・・日本の戦後の高度成長は、GHQによって旧体制が一掃されたためにもたらされました。ソニー創業者の盛田昭夫氏やパナソニックの松下幸之助氏も旧体制では下っ端に過ぎなかった。でも、従来の秩序がひっくり返ったから、クリエーティブな人材が輩出し、経済も活性化したのです。しかし、秩序の根っこを自らの手で切らなかったため、効果は30年しか持たず、新たなわきまえが形成された。だからその後、経済は低成長に陥っているのです。
そのような今の日本でビジネスを成功させたいのならば、上手にわきまえたふりをすることが必要です。ベンチャーで成功したソフトバンク創業者の孫正義氏や楽天の三木谷浩史氏もそうでしょう。見た目からわきまえていない人は、周囲の支持を得られないから結果も出せません。
今こそ暗黙の秩序を壊す志の高い人が求められています。若い人は表面ではふりをしても、心では決してわきまえないで。力をつけて成功し、わきまえる必要を一切なくしてほしい。日本はもう変わらないとあきらめていましたが、今の若い人の間に、変革のマグマがたまってきている兆しも感じています・・・

大倉集古館、陶磁器の悲劇

2021年3月14日   岡本全勝

先日、大倉集古館の「海を渡った古伊万里~ウィーン、ロースドルフ城の悲劇~」に行ってきました。
「オーストリア、ウィーン近郊にたたずむロースドルフ城には、古伊万里を中心とした陶磁コレクションが多数所蔵され、かつてそれらは城内を美しく飾っていました。ところが、第二次世界大戦後の悲劇により、陶磁コレクションの大半は粉々に破壊されてしまったのです。本展では、佐賀県立九州陶磁文化館所蔵の古伊万里の名品とともに、ロースドルフ城の陶磁コレクションと破壊された陶片を展覧し、さらには、日本の技術により修復した作品などを初公開いたします」

日本と中国から海を渡り、数百年大切に保管されていた名品が、無残にも粉々にされました。戦争とはいえ(戦闘は終わっていたのでしょうが)、理解のない兵によって壊されます。持って帰るには不適だったのでしょう。
彼らにすれば、「ドイツは、膨大な数の殺人をした。私たちは、物を壊しただけだ」と言うでしょう。しかし・・・考えさせられます。21日までです。

大倉集古館は、ホテルの建て替えと合わせて、改修されました。引家をしたのです。そのビデオを見ることができます。すごいことをするものです。