カテゴリー別アーカイブ: 生き方

生き様-生き方

発達障害の疑い、9%

8月20日の日経新聞夕刊「発達障害の診断、受ける? 保育士らの意見も参考に」、榊原洋一さんの助言から。

我が子が「発達障害かもしれない」と感じても、診断を受けるか迷う親は多いだろう。明確な症状があるわけではなく、個性との区別もつきにくい。診断を受けるタイミングや「誤診」を疑った場合の対応などについて、小児科医でお茶の水女子大名誉教授の榊原洋一さんの助言を紹介する。

発達障害とは注意欠陥多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラム障害(ASD)、学習障害(LD)の総称だ。生まれつき脳の心理的な過程に偏りがあることが原因だと考えられている。
文部科学省の2002年の調査では、通常学級の小中学生のうち発達障害の可能性があるのが6.3%で、22年調査では8.8%に上昇した。発達障害には遺伝子が関与していることを踏まえると、実際には有病率が上がったのではなく、社会的な認知の広がりや診断基準の変化などが影響しているとみられる。ただ我が子について悩む親も増えたのではないか。

一方で発達障害は多くの場合、例えば肺炎であれば高熱が伴うといったような分かりやすい症状がない。「思い過ごしかもしれない」「この子のキャラクターではないか」などと考えて、診断を受けるべきか逡巡することになる。
このような場合に参考になるのが、保育園や幼稚園の保育士・先生や、学校の先生、学童保育の担当者などの意見だ。集団の中での行動を見ているので、一人ひとりの特徴をよく把握している。
「かんしゃくがなかなか収まらない」「友達と遊びたがらない」など、気になる点があれば、こうした身近な専門家の意見を聞いてほしい。やはり可能性があると言われたら、小児神経科や児童精神科を受診するといいだろう。

日本人の死生観

6月30日の読売新聞読書欄に、岡美穂子(歴史学者・東京大准教授)による佐藤弘夫著『激変する日本人の死生観 人は死んだらどこへ行けばいいのか 第2巻』の書評が載っていました。
・・・著者に 拠よ ると、中世人の理想的な「死後」が極楽浄土への往生であったのに対し、近世人は自分が生きていた世界、子どもや孫たちが暮らす場所により近いところで「仏さま」として過ごすことを理想と考えるようになったという。その理由として中世の「生」は飢餓や貧困、病気などに満ちた厳しい場所であったのに対し、比較的平穏であった江戸時代の現世が「生まれ変わっても良い」と思える場所になっていたことが挙げられる。現在日本人の家庭の多くにあるように、江戸時代に仏壇が普及したのは、その時代の死生観に基づくと考えれば合点がいく・・・

それで納得できました。葬式や法事の際に、お坊さんは、亡くなった仏さんは西方浄土に生まれ変わるとおっしゃいます。とても遠いところだそうです。ところが、お盆などでは、仏さんは自宅に帰ってきます。近くにいて、私たちを見守ってくれているとも言われます。
なんでだろう、と思っていたのです。

幸福はよき人間関係から

6月29日の朝日新聞夕刊に、ロバート・ウォールディンガー、米ハーバード大教授の「人生を追跡調査、幸福のカギは」が載っていました。
・・・85年以上、約2600人の「人生の追跡調査」で幸福度を探る研究を続けている米ハーバード大学。研究の結果、ウェルビーイング(心身の健康や幸福)は、良き人間関係によって育まれることが分かってきたという。研究を担うロバート・ウォールディンガー教授(精神医学)に、幸せになるためのヒントを聞いた。

ハーバード大学が1938年から行っている「成人発達研究」は、卒業生を含め、貧困層から富裕層、子どもから大人まで幅広く調査しているという。
対象者には約2年ごとに生活状況などを聞く質問票を送り、5年ごとに健康診断のデータを集める。約10年ごとに対面で幸福度などをヒアリングし、さらにその配偶者、子どもなど3世代へと調査が広がっていく。
「現在、約2600人が調査対象になっており、こうした追跡調査は前例がなく、史上最長です」とウォールディンガー教授。

調査では、良い人間関係が、心臓病や糖尿病、関節炎の発症を抑制するなど、健康にも良い影響を及ぼしていたことがわかった。
一方で「慢性的な孤独感」は、肥満の2倍健康に悪く、1年あたりの死亡率を26%高めるという。
ウォールディンガー教授は研究成果をまとめた著書「グッド・ライフ」(辰巳出版)の中で「将来のウェルビーイングは予見できる」と記している。
研究チームは被験者たちの人生を80代まで追跡した時点で、中年期の状況から将来、健康で幸せな生活を送る人とそうでない人を予見できるか、検討してきた。
被験者の50歳時の全データを集めて分析すると、老年期の状況を予見できたのは、「コレステロール値ではなく、人間関係の満足度でした。50歳の時の人間関係の満足度が高い人ほど、精神的、肉体的にも健康な80歳を迎えていました」と説明する・・・

・・・定年が迫ってくると、人生に対する後悔や焦り、むなしさが生じがちだ。こうしたミッドライフクライシス(中年の危機)をどうやって乗り越えればいいのか。
「親友を探すことです」とウォールディンガー教授はアドバイスする。ある調査会社が「職場に親友はいますか」と世界中でアンケートしたところ、3割がいると回答したという。
「管理職によっては、従業員同士が仲良くなるのを警戒し、生産性を下げると言う人もいますが、実際は逆。親友がいると回答した人の職場での幸福度、生産性は他よりも高く、転職願望が低い結果となりました」
注目すべきは、親友がいると答えた女性たちは、意欲的に仕事に取り組む人の割合が2倍になっていたという事実だ。
「つまり、雰囲気のいい職場はストレスが少ないため、健康的に働くことができ、生産性も上がり、幸福度が高まると言えます」・・・

世界に広がる日本語「いきがい」

4月23日の朝日新聞に「地球の反対側のにほんご:上 IKIGAI 海越えて、世界に広がる日本の心」が載っていました。

・・・「あなたの生きがいは?」
そう問われると、何を思い浮かべるだろうか。
「生きがいということばは、日本語だけにあるらしい」。ハンセン病治療で知られる精神科医の神谷美恵子は、1966年の著書「生きがいについて」(みすず書房)でそう語る。続けて、「こういうことばがあるということは日本人の心の生活のなかで、生きる目的や意味や価値が問題にされて来たことを示すものであろう」と考察する。
ただ、生きる意味が問題になるのは、日本人の心のなかだけではない。いま、この「生きがい」という日本語は、世界でそのまま“IKIGAI”として広く使われるようになった・・・

・・・ “IKIGAI”の言葉が伝えられたのは、ブラジルだけではない。東京在住のスペイン人作家、エクトル・ガルシアさん(43)が16年に出版した自己啓発本“IKIGAI”は、米国など70カ国で、500万冊以上売れている。
ガルシアさんは04年に来日し、12年に日本人女性と結婚した。日本語を学ぶ中で、「わびさび」「もののあわれ」「生きがい」など、気になる言葉が次々と出てきた。スペイン語にはない言葉だった。

本の構想が生まれたのは13年ごろ。旅行に来た友人のスペイン人作家と神奈川県に行った。江の島を歩きながら「生きがい」について話すと、友人も同様に関心を持っていることが分かり、一緒に本を書くことになる。長寿の村として世界的に知られる沖縄の大宜味村にヒントがあると考え、2人は村に住み込んで住人ら100人に話を聞いた。
村の人々の「生きがい」の秘訣は、毎朝畑に出て自然に触れること、友人と会うこと、笑うこと、腹八分でいること――。難しく捉えることなく、「畑仕事」や「家族」など、ささやかな日々の暮らしに「生きがい」を見いだしていた。
村人の生き方を本で紹介すると、米国やインド、トルコといった国々で爆発的に売れた。ガルシアさんはこう話す。「政治や経済の状況が悪くなると、人生に悩む人も増える。だから今、『生きがい』が注目されているのだと思う。ぜひ、それぞれの『朝起きる理由』を見つけて欲しい」・・・

500万冊とはすごい。キリスト教文化圏では、生きる意味はキリスト教が教えてくれたからでしょうか。

アメリカ議会で妻を褒める

岸田首相が4月11日に、米議会両院会議で演説しました。「未来に向けて~我々のグローバル・パートナーシップ~」(For the Future: Our Global Partnership)(演説は英語で行われ、和文は日本政府が翻訳したもの)。その第3段落です。

”And let me introduce my wife, Yuko, who is in the gallery. The fact that I married Yuko should give you great confidence in all my decisions. ”

「そして、ギャラリーにいる妻の裕子をご紹介します。私が裕子と結婚したという一事をもって、私の決断全てが正しいものであると、皆様に信用いただけるのではないでしょうか。」

私も、日経新聞夕刊1面コラムにキョーコさんを3回も登場させてあきれられたり、他人様の前で妻のキョーコさんを褒めるのですが・・・