カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

相手に聞いてもらう話し方

9月16日の日経新聞「私のリーダー論」は、石坂産業・石坂典子社長の「「恥をかく」ことで人は育つ」でした。前回9月9日の続きです。

父から事業を引き継ぎますが、最初の10年は代表権のない社長です。やり方を変えるためには、代表権のある会長の父に、すべて了解を取る必要があります。ところが父は、長い話を聞くのは苦手、仕事を中断されるのも嫌いです。まあ、これはどこの組織の上司にも共通することですが。

石坂さんは、毎朝短時間、話を聞く時間をつくってもらいます。話を聞いてもらうためには、提案の優先順位を考え、厳選して簡潔に話し、了解を取り付ける訓練をします。
このあたりは、拙著『明るい公務員講座』第3章が参考になります。私も、上司に説明を聞いてもらう訓練と、部下の話を聞く訓練をしてきましたから。

ほかにも、参考になる経験が書かれています。原文をお読みください。

在宅勤務の負の影響2

在宅勤務の負の影響」、今回は組織に与える負の影響です。
「在宅勤務でも以前と同様に成果が上がっている、経費削減になっている」と思っていませんか。それは、短期的に正しくても、長期的には間違っています。在宅勤務では、職員育成にも問題が出て、組織としての力が低下します。

前回述べたように、新入社員や異動してきた社員の不安があります。そしてその人たちは、職場での十分な訓練を受けることができません。与えられた、そして自宅でできる仕事をしているだけでは、職場の技能は向上しません。非正規社員が仕事の技能を身につけることができなかったように、彼らも職場での仕事の訓練を受けていないのです。

在宅勤務で仕事ができ、職場の能力が向上するなら、拙著「明るい公務員講座」3部作を含め、本屋に並んでいる職業人向けの啓発や技能向上の書籍の多くは不要になります。そうでしょうか。

職員の評価も、どうするのでしょう。オンラインでの成果物を評価するだけでは、社員の能力を評価できません。学校の試験のように、紙で評価できるものではありません。
すると、以前から知っている気心の知れた部下を高く評価する傾向になるでしょう。新人には、可も不可もつけることが難しく、5段階の3ばかりをつける恐れがあります。

一部の在宅勤務に向いている仕事を除き、多くの職場で、在宅勤務はコロナ対策の緊急措置と考えるべきです

在宅勤務の負の影響

新型コロナウイルス感染症対策のために、在宅勤務が進んでいます。「在宅でも仕事はできる」という意見もあります。それに向いている仕事もあるでしょう。しかし、在宅勤務は、社員と組織の双方に負の影響を及ぼしています。
まず、社員についてです。

社員は、仕事をするためだけに職場に来ているのでしょうか。そうではないでしょう。
同僚や上司、部下との会話が重要であり、楽しみです。仕事に関することでも、画面を通しては聞きにくい、聞くほどのことではないことも多いです。また、仕事以外のことでも、たわいないことから相談事まで、ちょっとしたことを話したいのです。
会社で社員を個室に一人ずつ入れて、「これだけのことをしなさい。わからないことがあったら聞いてください」と仕事の指示をしたら、いじめになるでしょう。在宅勤務は、それに近いのです。

多くの職場で、仕事のやり方は、すべてが記述できるものではありません。引継書と手順書でできる仕事ばかりではありません。
仕事に慣れた経験者なら、仕事で悩んでも切り抜ける方法を身につけているでしょう。しかし、新入社員や人事異動で来たばかりの社員は、誰に相談してよいのか、何を相談してよいのかわからないのです。精神的に不安になっている社員も、多いのではないでしょうか。

この問題は、児童や学生が学校に登校せず、自宅学習する場合にも言えます。子どもも大学生も、教室での勉強以上に、友達とのおしゃべりや遊びが楽しく、それが成長につながるのです。ひとりぽっちでは、さみしくなります。この項続く

最低支店長から社長に

9月15日の日経新聞「失敗のススメ」は、「悔しかった「最低支店長」の烙印 井村屋G社長の挫折」でした。肉まんやあずきバーで有名な井村屋の中島伸子社長が、職員から最低の評価を受けながら、そこから立ち直り、社長になる話です。

・・・社会人にとって自分のマイナス評価につながる「失敗」はなるべくしたくないもの。しかし会社人生で致命的ともいえる失敗をしながら、それを糧に成長した経営者がいる。部下の離反、海外事業の撤退、巨額損失……。失敗から何を学び、どう立ち直ったのか。6人の失敗経験を振り返りながら、逆境をバネに成長するヒントを探る。
「会社にいない方がいい」。支店長時代に部下の大半からそのような烙印を押された・・・

関東支店長の時、約50人の部下に匿名でアンケートをした際のことです。自分への評価を5段階で聞いたら、約40人が1点「いないほうがよい」か2点の「たいしたことない」をつけました。落ち込んだ中島さんは、上司に辞表を提出します。しかし専務は「社員に聞いてどうする。評価はお客さんに聞くもんや。そんな辞表は受け取れない」と一蹴されます。
中島さんは、自分のやり方を見なおします。それまでは前任者のトップダウン式を踏襲していましたが、現場に社員と一緒に赴いて取引先の話を聞くようにしました。
自分視点の考え方を捨てると、見える風景が変わりました。関東支店を建て直し、その後は出世を続けて、社長になります。
ぜひ、原文をお読みください。

オンラインでの謝罪

9月14日の日経新聞夕刊Bizワザは「誠意伝わる服装や場所で オンラインで謝罪」でした。お詫びは対面でするのが基本ですが、コロナ下では、ビデオ会議システムでお詫びする機会も増えているようです。
といっても、私が経験したお詫びも、目の前には記者たちがたくさんいましたが、その向こうには県民がいました。カメラを見て話すのは同じです。オンラインでの謝罪は、相手の顔が見えるということです。

記事には、参考になる点が書かれています。和田裕美・ビジネスコンサルタントの「原因や対策、説明を明確に」も勉強になります。
お詫びの機会はない方がよいのですが、今やどの組織でも管理職に必須科目になりました。読んで勉強しておいてください。