カテゴリー別アーカイブ: 明るい課長講座

生き様-明るい課長講座

職場での面談、2つの場合

公務員の業績評価に際し、期首と期末に上司との面談が行われます。私は、この仕組みはよいことだと評価しています。
導入当初は「面倒だ」と思いましたが、部下に今期の仕事の目標を確認する、そして達成度を確認する上で、必須です。「ふだん一緒に仕事をしているから大丈夫」ではないのです。

他方で、上司には言いにくいことがあります。上司と部下がうまくいっていない場合、その面談は形式的になります。
極端な例が、上司が原因となって部下が心を病む場合です。上司は、自分は正しく、部下ができが悪いと考えます。しかし実態は、上司が悪く、部下が被害者の場合もあります。
さて、このような場合に、面談をどのようにしたら機能するようになるのか。難しいですね。

「誤解を与えたとすれば申し訳ない」

5月31日の朝日新聞オピニオン欄、松田謙次郎・神戸松蔭女子学院大学教授の「「誤解を与えて申し訳ない」えっ、受け手の問題?」から。

・・・誤解を与えたとすれば申し訳ない――。もはや釈明の言として定着した感のある言葉ですが、耳にするたび、釈然としない思いがこみ上げます。えっ、それってこちらの誤解だったの!? 社会言語学者の松田謙次郎・神戸松蔭女子学院大教授(61)に、謝罪表現について聞きました・・・

・・・政治家や企業トップの謝罪会見で、相変わらず頻繁に登場する言い回しですね。「舌足らずだった」なども含めて、こうした表現を私は「フェイク謝罪」と呼んでいます。差別発言でも軽率な発言でも、問われているのは発言者の考えでありスタンスなのに、表現の稚拙さの問題にすり替えてしまっている。さらには、受け手の側が文字どおり「誤った理解」をしているのであって自分は非難されるいわれはない、という責任転嫁と加害の上塗りにすらなってしまっています。
ホンネをポロリと漏らしてしまったという意味での失言は、どの国の政治家にもあります。その場合、米国などでは、過ちを認めて撤回するか、認めず開き直るかのどちらかのようです。発言内容の問題性に向き合わぬまま、謝罪になっていない謝罪の言葉だけ述べて穏便に済ませようとするのは、極めて日本的な政治戦術だと思います・・・

・・・フェイク謝罪を謝罪表現として定着させないためには、このコミュニケーションを成り立たせない、共犯関係に陥らないことが大切。話し手が使ったら、国民もメディアも即座に「誤解とはどういう意味ですか?」「それなら発言の真意は?」と、ツッコミを入れることを忘れないでください・・・

人事評価の公平性と透明性

5月22日の日経新聞女性欄「昇進 周囲が納得の評価に 女性が活躍する会社資生堂1位」から。

・・・厚生労働省の21年度調査によると、企業における課長以上の女性管理職比率は12.3%。資生堂の37.6%(23年1月時点)は平均値を大幅に上回る。管理職となる女性本人の意識付けに加えて、同じ職場で働く周囲の社員への納得感を高める働きかけがカギのようだ。

23年1月、資生堂では30歳の女性管理職が誕生した。男性の管理職が多い部署での若手女性の抜てき。周りの社員はどう見るのか。上司にあたるストラテジープランニング室の大島洋視室長は「彼女の能力や成果が正当に評価された結果だ」と話す。
女性活躍は、女性だけの問題ではない。女性管理職を増やす際には同じ職場で働く社員たちの納得感が伴わなければ「数合わせ」「お飾り」などの評判が立ち、社員の士気も下がりかねない。

社員の納得感をつくるために肝となるのは人事評価の公平性と透明性だ。資生堂は16年から年に数回の「カリブレーション(基準合わせ)会議」を実施する。部内の管理職が15人ほど集まり、部下の評価と育成計画をすり合わせる。部下1人につき5分ほどの時間をかけて複数人で話し合うことで、個人の感情や人間関係といった属人的な要素が評価に入り込む余地を与えない。会議後には部下に直接フィードバックもする。
さらに、周囲の社員が肌感覚でも昇進に納得感を持てる仕組みも取り入れる。管理職候補には管理職試験と並行して、昇進後の業務負荷がかかる仕事を一定期間任せる。部署横断型のプロジェクトリーダーを務めるなど、難易度の高い仕事をこなす姿を周囲の社員にも見せる・・・

多くの組織で、管理職は部下を評価する訓練を受けていません。評価基準はあるのですが、具体に当てはめるとなると、難しいです。そして、ある人を、その上司一人で評価することが多いです。資生堂の複数人で議論すること、それを部下に直接伝えることは、よい方法です。

職場の害虫とカビ

原発再稼働、組織風土を問題視」の続きにもなります。
職場の困りごとを議論していたときに、「害虫とカビ」という表現を教えてもらいました。指導者論や管理職の教科書には、部下を優秀に育てることは書かれているのですが、困った職員をどう扱うかについては記述が少ないです。でも、多くの上司は、それに困っています。研修でもあまり教えてもらえません。

で、「害虫とカビ」についてです。「2:6:2」の法則(仕事のできる職員、普通の職員、困った職員)は、『明るい公務員講座 管理職のオキテ』にも書きました。その困る職員と、困った職場についてです。
その中でも職場に悪影響を与える職員は、いわば害虫です。少々どぎつい表現ですが。害を与えないように指導する必要があり、場合によっては、「取り除く」必要があります。懲戒処分の対象です。

それに対し、特定の職員が悪いのではなく、職場の習慣が好ましくない場合があります。規律が緩んでいたり、規律違反が伝統になっているような職場です。職務怠慢、パワハラ・セクハラ、性能偽装、風通しのよくない関係・・・のような社風です。それを「職場にカビが生えている」と表現するのです。
「風通しがよい職場」とは、良く言ったものです。風通しのよい職場には、カビは生えません。
もっとよい表現があれば、教えてください。

在宅勤務の長所短所

5月18日の朝日新聞オピニオン欄「在宅勤務、これからは」から。
鬼頭久美子さん(サイボウズ チームワーク総研コンサルタント)の「孤立感なくす多様な場を」
・・・サイボウズは10年以上前からテレワークを採り入れています。3年間のコロナ期間を経て、現在の出社率は15%程度になっています・・・
・・・職場の一体感を得る点では、やはりオンラインはリアルに勝てないなと感じています。オフィスという同じ空間にいると、「忙しそう」「ゆったりしてる」とか、共感してくれているのを感じるとか、同僚の様子や気持ちが伝わってくることがある。仕事を進める上で、相手の状況を理解しながら接することはとても大切です。
コロナ禍で在宅勤務が続く中、社内では業務直結のやりとりしかないことで、「寂しい」「承認されている感覚がない」といった声が聞かれました。これでは仕事のやる気にも悪影響が出かねません。
一方で、仕事上の議論をある程度深めたり、アイデアを出したりすることは、オンラインでも十分にできると感じています。私は企業向けにテレワークのお手伝いをする業務を担当していますが、テレワークの利点は、働く場所を柔軟に選べること。通勤や打ち合わせ場所への移動に時間を取られず、効率的です・・・

落合恵美子さん(京都産業大学客員教授)の「柔軟性が幸福度を変える」
・・・「ステイホーム」が呼びかけられ、学校も一斉休校となった2020年4月、「自分もしくは同居家族が新型コロナの影響により在宅勤務を経験した人」を対象に緊急のウェブ調査を行いました。
当時、学齢期の子がいる知人女性はみんな仕事と家事育児の両立に悲鳴を上げていたのに、政治家もメディアもそれがあまり見えていないようでした。公的な言論の場で、この状況が語られていないのはたいへんな見落としではないかと考えたのです。
在宅勤務で家事と育児の負担が増えた、とより多く調査に答えたのは、やはり子どもを持つ女性でした。「子どものいる女性」の36%が家事育児に「困った」と回答したのに対し、「子どものいる男性」では15%に過ぎなかった。自由回答によると、多くの女性が睡眠を削って仕事をこなしていました。
共働き家庭では、同じ在宅勤務なのに夫の仕事が優先されていた。仕事の邪魔なので外出してと妻子に頼んだ、という男性すらいました。日本の住宅事情も影響しているのでしょうが、海外でも在宅勤務は妻の負担を高めたという調査結果が出ています。

女性は不安定な雇用形態であることが多い上に、家族の感染でケアをする役割も回ってくる。コロナで一番割を食ったのは、在宅勤務ができない上に有給休暇も取れずに収入が途絶え、なかなか復帰もできなかった非正規雇用の女性たちでしょう・・・