カテゴリーアーカイブ:人生の達人

情報を上げたいと思わせるリーダー

2022年11月19日   岡本全勝

11月10日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」、村木厚子・元厚生労働事務次官(下)から。

――情報を上げたいと思われる上司になることが大切だと常々話されています。
「重要な情報が耳に入らずに『自分は聞いていない』という上司がいます。私もそう言いたいときはありますが、自分が部下の立場だったら、本当に大事な人には相談しています。もっとはっきりいうと、役に立つ上司のところには情報を持っていきます。大事なことを聞かされないのはリーダーとして格好悪いことなのかもしれません」

ごきげんだから、うまくいく

2022年11月8日   岡本全勝

10月28日の朝日新聞夕刊、坪田一男・坪田ラボ社長の「なぜ医者から経営者に」から。

・・・先端の研究を進める一方で、同社が掲げるメッセージは「未来をごきげんにする」とわかりやすく、風変わりだ。
ごきげんは自分の理念。「うまくいくから、ごきげん」ではなく、「ごきげんだから、うまくいく」が持論。抗加齢医学の研究で、元気な100歳以上の人に聞きとりを重ねた際、その思いを強めた。多くの人が朝の目ざめや食事などの日常に感謝し、ほがらかにくらしている。「ごきげんだから、長生きする」と考えた。
ごきげんでいる工夫を尋ねると、答えが次々と返ってきた。
夢中になれる好きなことをやる。ごきげんな人とつきあう。メディテーション(瞑想〈めいそう〉)をする。その日あったよいことを三つ書く。夜6時にはブルーライトをさえぎるメガネに変える。夜8時以降、スマホやパソコンを使わない。1日8時間寝る・・・

叱られない職場、若手社員の不満

2022年11月4日   岡本全勝

10月25日の読売新聞連載「コロナ警告 きしむ社会」は、「ゆるい職場 離れる若手」でした。部下職員をやさしく扱うことと、指導しないこととは別です。

・・・東京都内の大手通信会社に勤める入社3年目の男性(24)は、職場に不満をためている。優しい上司は、そのことにおそらく気づいていない。「叱られたことがない」というのが不満の理由だからだ。
2020年4月の入社直後からコロナ禍でリモートワークとなった。上司はパソコンの画面越しに「いいよ、大丈夫だよ」というだけで厳しい指導を受けたことがない。「このままでは自分はダメになる」。男性は転職を心に決めた。
「ゆるい職場」に危機感を抱いた若手社員たちが今、職場を去り始めている・・・

・・・職場に不満を募らせる男性会社員(24)が、大手通信会社からの転職を考えるようになったのは、社外の刺激がきっかけだった。
入社3年目に入った今年度、打ち合わせの場で取引先で働く同年代の男性社員の知識と提案の質の高さに目を見張った。1年目は何の発言もしなかったのに、いつの間にか成長し、差をつけられていた。上司や先輩から丁寧な指導を受けている印象を持った。
自分の職場はリモート勤務が中心で、上司と対面で会った回数は数えるほど。販売促進の業務などに携わってきたが、叱られた経験がなく、力量に自信が持てないでいる・・・

・・・関西在住の男性会社員(23)は21年春、第1志望だった大手旅行会社に就職した。しかし、コロナ禍で業界の業績は低迷。「終身雇用はあてにならない」と痛感した。
会社は従前の対面の窓口販売にこだわり、デジタル化に消極的に見える。社会で通用するスキルが身につかないと焦り、6月から転職活動を始めた。「自分が成長できるなら、今度は小さな会社でもいい」と思う。
古屋さんは「若者にとっての安定の定義は、大企業に勤めることから、どんな状況でも渡り歩けるよう経験やスキルを蓄積することに変わった」と指摘する。

求める働き方が、世代によって二分されている傾向もみえてきた。
プロバイダー大手のビッグローブ(東京)による今年3月の調査では、20歳代の6割が新年度から出社頻度を「増やしたい」と回答したのに対し、30~50歳代は逆に7割が「増やしたくない」と回答。仕事に慣れたミドル世代は子育てや介護、副業などに充てる時間が確保できるリモート勤務を好む傾向も浮かぶ・・・

昇進すると見えてくるもの

2022年11月3日   岡本全勝

10月27日日経新聞夕刊「私のリーダー論」、村木厚子・元厚生労働事務次官の「リーダーに求められる「聞く力・伝える力」」から。

「私も自分はポストに追いついていないと感じていました。係長になったときは今ならいい係員になれる、課長補佐に昇進したときは今だったらいい係長になれるのにと思いました。ポストによって、見えてくるものが違うからです。昇進は階段を上るのに似ています。下にいたら背伸びしたり、ジャンプしたりしないと見えないものが自然と見えてくるようになるのです」

「少し力が足りないと思っても、そのポストに就いたからこそ力がつくことがある。私は他人と競うのは得意でないのですが、自分の成長という物差しであれば、それを励みに頑張れると思いました。そうして手応えをつかみ、ようやく自信がついてきたのは40代になってからでした」

社員獲得、世界との競争

2022年10月29日   岡本全勝

10月19日の日経新聞に「GAFA予備校 NTTが返上へ」が載っていました。
・・・約30万人の従業員を抱える日本最大級の会社、NTTが攻めの働き方・人事改革に取り組んでいる。飛行機通勤を含むリモートワークを認め、年功序列を廃止して20代でも管理職に就けるようにする。米グーグルなど巨大IT「GAFA」への人材流出が続き、存在感低下は日本経済の低迷と重なる。人事に精通した島田明社長の下で、グローバルでの復権に向けた土台作りを急ぐ・・・

NTTで技術者としての基礎を学んだ後に、GAFAに代表される海外IT大手に転職していく社員が多いのだそうです。それを「GAFA予備校」と揶揄されるています。1990年代に入りバブルが崩壊するまで、NTTの時価総額は世界一でしたが、今は120位に沈み、グーグルの親会社アルファベットの時価総額の13分の1になっています。
通信の主役が電話からインターネットに代わり、通信ではなくアプリやクラウドサービスが価値を生み出すようになりました。
人材の流出は、その変化を表しています。ただし、最初から海外IT企業に就職するのではなく、NTTを「予備校」として転職するのは、最初からそれを狙っているのか、途中で見切りをつけるのかのどちらかでしょう。

記事では「公社時代から続く保守的な社風は「官僚以上に官僚的な組織」(業界関係者)とも言われる。安定志向の強いグループ30万人を擁する巨大組織を変えるのは容易ではない」と指摘されています。
若手の転職が続く霞が関も、同じ課題があります。違いは、NTTは社長以下が危機感を持って対応しようとしていることと、それに失敗すると会社がつぶれることです。それに対し、霞が関では危機感はあるようですが、統一的対応はされているように見えず、倒産する恐れもありません。