カテゴリーアーカイブ:人生の達人

総花と優先順位と、切る勇気

2020年10月16日   岡本全勝

半年ほど前に書いて放置してあったのですが、「政策の階層」を書いていて思い出しました。

仕事をする際に、やるべきことの優先順位をつける必要があります。
個人でも職場でも、やるべきことややりたいことは、たくさんあります。能力ある人は、そうでない人よりも、たくさんのことを処理することができます。とはいえ、一人でできることは、限られています。すると、優先順位をつける必要があります。
そして、組織として仕事をする場合には、部下や関係者に、優先順位を示す必要があります。

何でもかんでも取り組むというのが、総花(そうばな)です。それに対し、どれを優先するか順番をつけるのが、優先順位です。
優先順位をつけるということは、優先しない項目を決めるということです。すると、その項目の関係者からは、反発が出ます。そこを説得し、納得させる能力があるかどうかが、次の課題になります。すなわち、優先する順位をつけることより、捨てる順位をつけることが重要なのです。
この項続く

人事異動と面談

2020年10月15日   岡本全勝

10月6日の日経新聞夕刊Bizワザは「人事面談 意思を明確に」が載っていました。
・・・「異動はまず面談から始まる」。企業人事に詳しい神戸松蔭女子学院大学の楠木新教授はこう話す。多くの企業では仕事の目標を設定する面談の際に、キャリアの希望や可能な勤務地を尋ねる。そこで「遠慮して明確な希望を伝えない人が多いが、どこでどんな仕事をしたいのか、きちんと話すべきだ」と強調する・・・

・・・実際に異動の打診を受けたときはどのように受け止めればいいか。人材紹介を手掛けるクライス・アンド・カンパニー(東京・港)の丸山貴宏社長は「異動は社内転職として前向きに捉えるべきだ」と話す。特に若手は「身分を保障されて新しい仕事や能力を身につけられる。こんなにありがたい機会はない」と指摘する。
打診された異動が希望通りではない場合も少なくないだろう。怒りや不安が募るだろうが、楠木教授は「退社などすぐに極端なことを考えるべきではない」と話す。自分の適性を他人の方が分かっていることも多いためだ。
まず、上司に異動の理由や自分に期待していることなど、聞きたいことは全て確認しよう。それでも納得できない場合は「異動先の仕事は嫌だ」など否定的な言葉は使わずに「今の職場でこう活躍したい」などと伝える。もちろん家庭の事情など、どうしても受け入れられなければはっきり話そう・・・

どうしても意に沿わない異動ならば、転職も選択肢の一つだ。クライス・アンド・カンパニーの丸山社長は転職の前提として「現在とは違うやりたい仕事があること。もしくは、異動前の職務を今後も続けたいという強い思いがあること」を挙げる。企業が中途人材を評価するのは能力と仕事への思いだ。
まずは世の中で自分の能力や思いがどう評価されるか。他社の知り合いや人材会社に話を聞くなど、情報を集めるのが先決だ・・・

 産業医の奥田弘美さんは、次のようにおっしゃっています。
・・・仕事がどうしても面白くなければ、お金を稼ぐためと割り切るといい。自営業の人以外は組織の中で働く。若い人を中心に仕事を生きがいや自己実現の手段と考える人は多い。ただ、常に思い通りの仕事を任せてもらえることは絶対にない・・・

勤め人には、とても役に立つ教えです。原文をお読み下さい。
人事担当者の悩みの一つは、社員の自己評価と周囲の評価がズレることです。本人は自分のことを1.5倍に評価し、他人を3割減(0.7倍)に評価すると言われています。拙著『明るい公務員講座 管理職のオキテ』第10講。

転職の手続き

2020年10月12日   岡本全勝

9月29日の日経新聞夕刊Bizワザに「いざ転職、退職のマナーは 予定逆算、書類の確認を」が載っていました。

会社による解雇、本人の希望による転職が増え、終身雇用慣行が崩れています。さて、転職するとなったら、現在の勤務先にどのように伝え、どんな手続きが必要となるのか。そんなこと、誰も教えてもらっていませんよね。勤務先にも、聞きにくいでしょう。

記事には、勤務先・上司に退職・転職をどのように伝えるかという礼儀作法と、必要な書類も書かれています。離職票、雇用保険被保険者証、源泉徴収票、年金手帳などです。
日経新聞は、役に立つことを教えてくれますね。

仕事人。輸入した外車を運ぶ

2020年10月8日   岡本全勝

9月28日の朝日新聞夕刊「凄腕しごとにん」は、小田巻幸子さんの「整備工場まで運んだ新車、約37万台」です。
輸入した外車を、陸揚げした港の埠頭から、整備工場まで一台一台、運転して運ぶのが仕事です。それだけ聞くと簡単なようですが、そうではないのです。何が大変か。記事をお読みください。

さらに、次のような工夫もしておられます。さすが仕事人。
「新車を傷つけないよう、外側にファスナーの金具やボタンがない制服を着用している。面ファスナーで止めたり、生地の中にボタンをしまったりしている。夜間の事故防止のため、反射材も縫い付けてある」

失敗した際の償い

2020年10月4日   岡本全勝

原子力災害伝承館が伝えることと残っていること」の続き、その2です(その1事故後の対応検証)。
もう一つ残されていることは、事故・失敗を起こした後の、責任の果たし方についてです。これについては、このホームページ「責任をとる方法」1~4で整理しました。特に「責任を取る方法2」の表「失敗した際の責任の取り方」をごらんください。

事故を起こしたことは批判されることですが、いくら努力しても起きた事実は変えることができません。しかし、その後の被害拡大を抑えることや、再発防止、そして被害者への償いなどは、関係者の努力が問われます。この点について、政府、特に経済産業省はどの程度、責任を果たし、償いをしたでしょうか。
前回述べた、事故後の対応について対応について検証がされていないこと、そしてその後の責任の果たし方が明確に示されないことの理由の一つが、その担当組織であった原子力安全・保安院が廃止されたことだと、私は考えています。「お取りつぶしのパラドックス」に書きました。

原発事故及びその後の対応について、政府は国民の信頼を大きく失いました。例えば「第2回 双葉郡住民実態調査」(2018年1月、福島大学うつくしまふくしま未来支援センター)は、大震災発生当時、双葉地方7町村に居住していた全世帯を対象にした調査です。そこでは、いくつかの組織について「どのくらい信頼しているか」を聞いています。
それによると、「信頼していない」+「あまり信頼していない」の回答が多かったものは、東京電力(76%)に次いで、政府(69%)、学者・研究者(50%)の順になっています(P22)。自治体やマスコミなどに比べ、格段に低いのです。
官僚は、改めて自覚すべきです。この落ちた政府への信頼を、どのように回復するか。それは、責任の取り方を、被災者や国民が評価してくれるかどうかによると思います。

さて、そのような視点からは、県が伝承館をつくり、東電が廃炉資料館をつくりました。では、国はどのように、この失敗を後世に伝えていくのでしょうか。
その3に続く