カテゴリー別アーカイブ: 仕事の仕方

生き様-仕事の仕方

復興政策を社会の中に位置づける

東日本大震災の復興に携わって、あるときから、次のようなことを意識しました。被災者支援や復興の課題を成し遂げることが任務なのですが、もう少し広い視野から、私たちの仕事の意義を考えてみたのです。

すると、「この仕事を、社会と歴史の中で、どこに位置づけるか」だと気づきました。「一生懸命取り組みました」「これだけ公共施設が復旧しました」という努力と成果を書き記すことも重要です。しかし、それに留まらず、大震災と原発事故とそこからの復興という取り組みを、社会の中で位置づけることです。
そこには、同時代の出来事として私たちの意識の中でどこに位置づけるかと、歴史の中でどのように位置づけるかが含まれています。参考「位置づける

まず、災害についてです。大津波は、千年に一度と評されました。原発事故は、日本では初めて、世界でもチェルノブイリと並ぶ歴史に残る最大級の事故でした。そして未曾有の被害は、報道によって、国民の意識の中に位置づけられました。これが、大震災の天災と事故との位置づけです。

次に復興政策は、日本社会、日本の行政の中で、どこに位置づけるのか。政治課題としては、「東北の復興なくして日本の復興なし」と、安倍総理が位置づけました。基本法も作られました。復興庁は、他省庁より一格上に位置づけられました。特別会計もつくって、予算上も位置が与えられました。法律、組織、予算などの位置づけがはっきりしました。この項続く

平時、緊急時、変革期で異なるリーダーの役割

11月12日の日経新聞夕刊「私のリーダー論」は、数原英一郎・三菱鉛筆 会長の「平時・緊急・変革期で臨機応変」でした。
「三菱鉛筆の数原英一郎会長は1987年に社長に就任した。長年トップを続ける中でリーダーの役割は「平時」「緊急時」「変革期」で変化すると考え、状況に応じて使い分けてきたという」

――緊急時と変革期の違いは何でしょうか。
「緊急時は火事のようなもので、今何が起きているのか誰でも分かります。火が出ているのが一目瞭然ですから。社長だったとき、バブル崩壊とリーマン・ショック、そして東日本大震災と3回の危機に直面しました。特に短期間で大きな影響が出たのはリーマン・ショックでした」
「我が社でも物の動きがすっかり止まりました。日本中が慌てたし、我が社も慌てました。そうした危機の時は色々な意見があるかもしれないけど、会社がまとまることが重要だと思います。強いリーダーシップを取る必要がありますね」
「一方で変革期は世の中のパラダイムシフトが起きているけれども、その影響がすぐには分からない状況です。例えばベルリンの壁が崩れたときも、その場ではすぐにどういう影響が出るのか分かりませんでした」
「新しい市場が新興国にできるとか、そうした国が競合になるとか、そういう変化は何年もかけて試行錯誤するうちに、後から分かってくるのです」

――どのようなパラダイムシフトがありましたか。
「3回経験があります。グローバル化と円高、デフレです。バブル崩壊前まではインフレ気味だったのが、デフレに変わって文具の流通も変わりました。国内の文具店は多いときで3万店程度はありましたが、今は4分の1くらいまで減ってしまいました。そのような環境変化に対してどうするか、リーダーが考えて方向性を出すべきです」

お詫びと筋肉の関係

先日、霞が関時代の知人と、回顧談をしていました。彼も現役時代、何度も頭を下げる仕事をしていました。お互い、お詫びの多さの自慢です(笑えない話です)。

彼はあるとき、ぎっくり腰のように身体の筋肉が固まり、痛くてたまらなくなったことがあるそうです。整体(カイロプラクティック)に行ったら、太ももの後ろの筋肉が大きくなっていると指摘されました。
整体師が、「あなた、しょっちゅう頭を下げていませんか?」と質問したそうです。それが原因で、太ももの後ろの筋肉が大きくなり、そして身体の筋肉の平衡が崩れて体が固まったそうです。

私も頭を下げまくりましたが、筋肉痛にはなりませんでした。考えられる理由は、次の2つのうちどちらかです。
1 彼の方が、私より多く頭を下げた。
2 私の方が多かったけれど、私は熟達していた(彼は、まだ未熟だった)。
(もう一つの説は、私の筋肉は喜んで動いたが、彼の筋肉は嫌々動いた。)

ただし近年、太ももの後ろの肉が、目に見えて落ちてきました。加齢によるものと考えていましたが、頭を下げる機会が減っていることも、要因かもしれません。

新しい時代の社長の働き方

コロナウイルスの感染拡大で、在宅勤務が進められています。企業の幹部もその例外ではありません。それどころか、部下に示すために、率先して取り組んでおられるようです。
10月27日の日経新聞、テレワークできてますか(6)「対面重視 社長もやめた 工夫次第で会社は回る 現場を信頼、権限委譲」に、西井・味の素社長、小路・アサヒホールディングス社長、原・MS&ADホールディングス社長の1日が、日誌形式で載っていました。

これは、勉強になります。もちろん、公務員と社員の違い、平職員と社長の違いは大きいです。でも、日本を代表する会社の社長が、一日をどのように使っているのかを知ることは、参考になります。
とんでもなく責任があり、とんでもなく忙しい社長、しかも世界で事業を展開しています。その方々が、どのように効率的に時間を使っているか。この記事だけではわかりませんが、それは、仕事の処理の仕方であり、部下の使い方です。

気持ちよく頭を下げる

このホームページでは、お詫びの仕方も指南しています。ところで、頭は、お詫びのときだけに、下げるものではありません。お願いする際にも「よろしくお願いします」と、お礼の際にも「ありがとうございます」と言って頭を下げます。

お願いは、簡単なものから難しいお願いまであり、こちらの緊張度合もさまざまです。でも、お礼の際には、気持ちよく頭を下げることができます。

参考、拙著『明るい公務員講座』194ページ「頭は下げるもの、口はお礼を言うもの」