カテゴリーアーカイブ:行政

国と地方の関係、課題

2023年12月26日   岡本全勝

12月25日の日経新聞経済教室は、砂原庸介・神戸大学教授の「国は国民と直接的関係築け 国と地方のあるべき関係」でした。
・・・1990年代後半の地方分権改革から20年以上がたつ。分権の実現度を巡る評価は分かれるかもしれないが、現在では地方のことは地方で決めるという、地方分権の考え方が広く受け入れられているといえよう。
他方で、2020年からのコロナ禍では、保健所を通じた感染症対策の場面をはじめ、給付金やワクチン接種など公共サービス提供なども含めて、地方分権の「行き過ぎ」のために中央政府が実現すべき施策が阻害されているという主張もみられた。地方自治体が独自性を発揮しようとすることが、中央政府の国レベルでの方針と齟齬を生むというのである・・・

詳しくは原文を読んでいただくとして。表題にあるように、中央政府が国民から離れてしまっていないかは、大きな問題です。
以下、とりあえずの私見を述べます。
1 分権改革以来約20年が経過し、課題は「さらなる分権」ではなく、自治体が得た権限をどのように運用するかです。
2 この20年でわかったことは、何でも分権すればよいものではないです。東日本大震災で、多くの人が理解したと思います。他方で公共事業の補助金と箇所付けなどを、まだ国が握っています。
3 国と地方自治体との「役割分担」という視点で、常に見直す必要があるのでしょう。特に、内政事務・国民や住民相手の仕事をどう分類するかです。国が統一的に処理する方がよい事務と自治体に任せたらよい事務の切り分けです。
4 その際には、自治体の「地域の総合行政主体」の機能をどのように発揮させるかが重要でしょう。
5 他方で、現場を持たなくなった中央政府に、どのようにして国民との関係を持たせるかが課題になっています。連載「公共を創る」でも指摘しましたが、現場経験がない官僚にどのように現場をわからせるかという課題です。

政治の話はタブーではなくなっている

2023年12月25日   岡本全勝

12月8日の朝日新聞オピニオン欄「政治って遠い存在?」、横山智哉・学習院大学教授の発言から。

・・・「政治の話はタブー」という通説がありますが、政治の話は案外避けられていないことがわかっています。私の研究では、家族や友人などの身近な人と政治の話を交わすことへの抵抗感は、「ほとんど感じない」と「あまり感じない」の間に平均値がありました。スポーツや芸能など他の話題とほとんど差はありません。
また国際調査によれば、友人と政治の話を交わす割合が、日本は約40年間の平均値が約57%で、諸外国の平均値は約66%です。

ある話題をタブーと感じる理由は、意見の相違から対人的な感情摩擦や対立が起きるのを懸念するからです。それは政治の話題に限らず、好きな野球チームが違う場合の会話などでも同じです。一方で、親しい間柄だからこそ政治の話を安心して交わすことができるといった側面もあります。
どのような会話の内容を「政治」の話題と捉えているのか。回答してもらった内容を集約すると、主に政党や外交、税金などの6項目でした。たとえば「消費税やガソリン税などの日常生活に関わる税金の話」「物価の動向」という内容です。人々の政治の話には多様な話題が含まれるのです。人々は、政治をどこか遠い世界の話だと、疎遠に思う一方で、身近な話題を通じて、自分と政治のつながりを認識してもいます・・・

政治家が政策議論を戦わせない、安倍首相の責任

2023年12月23日   岡本全勝

12月22日の朝日新聞「政治とカネを問う」に、御厨貴先生の発言「カネでなく、言葉で政治取り戻せ」が載っていました。この記事は自民党の派閥による裏金疑惑に関してですが、少し異なった視点からの発言部分を紹介します。

・・・政治家が政策について意見を戦わせる、本当の意味での議論をやらなくなって久しい。こうした状況を招いた背景として、私は安倍晋三元首相の責任が大きいと思います。後継者を育てず、長期政権の間にスキャンダルが起きても、選挙に勝つことでチャラにしました。野党やメディアが追及しても明確な答えを与えない。その結果、国会審議も空洞化していきました。

カネではなく、言葉によって政治の力を取り戻さなければなりません。右肩上がりの経済が終わり、人口が減っていく中で、10年、20年先のこの国をどうするのか。そういう議論を政治がもっとすべきです・・・

そういえば、国会での党首討論(国家基本政策委員会)も、最近は開かれていません。

地方創生「小さな拠点・地域運営組織」

2023年12月20日   岡本全勝

地方創生が、地域の交流拠点作りに乗り出しています。「小さな拠点・地域運営組織の形成(小さな拠点情報サイト)

「人口減少や高齢化が著しい地域においても、必要な生活サービス機能を維持・確保し、地域における仕事・収入を確保するため、地域住民自らによる主体的な地域の将来プランを策定し、地域課題の解決に向けた多機能型の取組を持続的に行う組織である「地域運営組織」の形成を促すとともに、各種生活サービス機能が一定のエリアに集約され、集落生活圏内外をつなぐ交通ネットワークが確保された拠点である「小さな拠点」の形成を推進しています。」
(役人らしい長い文章で、一度読んでも内容は把握しにくいですね(苦笑)。この文章を英語に訳せと言われたら、私は困ります。)

右側の動画「地域運営組織編」には、先日紹介した矢田明子さんのコミュニティケア(コミュニティ・ナース)も出てきます。

子ども食堂9千か所に

2023年12月19日   岡本全勝

子ども食堂が、全国で9131か所になったそうです。これは全国の公立中学校の数に匹敵します。読売新聞12月18日の「子ども食堂、中学校数並みの全国9131か所に…コロナ禍後の活動再開が運営後押し」。「むすびえ」は、全小学校区での設置を目標にしています。その目標では3割達成です。

「むすびえ」の発表資料によると、次の通り。
・2023年度調査では、1,768箇所の増加となり、コロナ前を含めても過去最大の増加数となりました。総数では9,131箇所となり、全国の公立中学校と義務教育学校の数を合わせた9,296箇所とほぼ並ぶ箇所数となりました。

・小学校区に対する充足率(校区実施率)の全国平均は30.56%で、初めて30%を超えました。
上位は「沖縄県」56.70%、「鳥取県」54.62%、「東京都」51.26%となり、上位3都県はすべて50%を超える結果となりました。一方、充足率が低いのは、「長崎県」13.10%、「秋田県」15.34%、「福井県」(17.89%)でした。

・さらに、充足率(校区実施率)は重要な指標であるものの、他方で小学校の統廃合が進んでいる都道府県ほど充足率が見かけ上高く出るという不都合も生じかねないため、人口比指標(人口10万人あたりのこども食堂数)も併せて発表しています。人口比は、「沖縄県」(21.27箇所)、次いで「徳島県」(15.44箇所)、「鳥取県」(15.19箇所)が上位となりました。一方、人口比が少なかったのは、「長崎県」(3.68箇所)、「秋田県」(4.04箇所)、「千葉県」(4.61箇所)でした。